王立医療専門機関
お疲れ様です。
年末ですねー。
「光無症の症例じゃと?」
「うん。どこに行けば分かるんだ?」
ハンネルの診療所でカイトは昨夜思った疑問をぶつけてみた。むぅぅ、と少し考えた後、ハンネルが語りだす。
「やはり、症例が一番多く集まっているのは『王立医療専門機関』じゃろうの」
「王立医療専門機関?」
「そうじゃ。この国の医療のトップ機関じゃ。そんなことも知らんのか」
アンタこの前、俺は他の世界から来たんじゃないかって言ってなかったっけ?カイトは眉間に皺をよせながらハンネルに問いかける。
「それはどこにあるんだ?」
「貴族街じゃな」
「確か……王宮の東と西にあるんだよな?」
「そうじゃ。東貴族街に行けば分かるじゃろう」
「……ハンネルさんも行ったことあんの?」
「いや、ない。そもそも簡単に入れるところじゃないでの」
「そうか……」
レイナが言ってたな。
身分の差というやつか。
「じゃあ、俺も入れないのかな」
「そりゃあの。……にしても何でそんなことを聞くんじゃ?」
「ん……。やっぱり昨日の件もあって、俺にも何かできないかなと思ってさ」
「なるほどのう。やはりお前にも医者の血が流れておるというわけじゃの」
「違うよ……」
わははとハンネルが笑う。まぁ、医者仲間としてみてくれるのはありがたいけど、目の前にいる男は素人だとちゃんと認識してんのかな。
「ま、手がないわけでもない」
「えっ?」
「お前との共同論文、好評でな。入館申請を出せば通るかもしれん。それくらい反響が大きいんじゃ」
そのことをカイトは身をもって知ることになった。だから、よーく分かってる。
「そもそも王立医療専門機関は、貴族しか入れないの?」
「いや、市民でも実績のあるものは入れるそうじゃ。じゃからワシらも申請は自由にできる」
「なるほど……。じゃあ、申請お願いしても良いかい?」
「たわけ。申請は自分でするんじゃ、書き方は教えてやる」
「えー、ハンネルさんも行くんだからまとめて書いてくれれば良いのに」
「なーんでワシが行くんじゃ。貴族なんか見たくもないわい」
そうか……。どうやらハンネルも貴族が嫌いらしい。普通はそういうものなのだろうか?……まぁ、仕方ない。
「分かったよ。じゃあ自分で書くから教えてくれ」
「……ちょっと待っとれ」
ハンネルはそう言うと奥の部屋に申請書をとりに行った。
(王立医療専門機関か……)
一体どんなところなんだろう。あと気になるのが貴族か……。でも、実績のある市民なら入れるというのなら、そんなに閉鎖的ではないんじゃないか。
カイトが頭の中でいろいろと考えていたその時、静かに診療所の扉が開いた。
「……あ」
「……」
カイトと目が合う。
入り口には銀髪の女性、キール・ブクレシュティが立っていた。
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