出会いと別れ
今月久々にアップしたにも関わらず多くの人に読んで貰えて嬉しいです。
これからも投稿は不定期になると思いますがよろしくお願いします。
ホムルズと呼ばれた男をジャベリンに運び込んだ後、しばらくしてハンネルが到着した。息を切らせながら診察をしていたが、ハンネルの見立てもやはり光無症だった。
「ホムルズさん……」
パイクが涙を流す。
見た目は本当に寝ているようにしか見えないが、あと数時間もすれば死体となってしまう。
光無症。一体何なんだろうこの病気は。正直言って全く原因が分からない。こうしてただ死体となっていく様を、何も出来ずに見届けるしかできないのだろうか。カイトは腕を抑えながら、呆然と彼らの様子を見つめていた。
「あなた!」
勢いよくジャベリンのドアが開き、中年の女性が入って来た。顔面蒼白の彼女の目には、今にも溢れださんばかりの涙が溜められている。その姿を見たハンネルが静かに口を開いた。
「……奥さんか。残念じゃが光無症のようじゃ」
「!?っ……ああぁぁぁ!」
奥さんが両手で顔を抑え号泣する。
あなたどうして、と声にならない声を上げた。ジャベリンに居た客もいつの間にかほとんど居なくなっている。
「カイトくん……」
「……ご主人を運ぶのを手伝うぞ」
「……うん」
奥さんはレイナにまかせ、パイクと二人でホムルズさんを家まで運ぶ。道中、パイクが口を開いた。
「良く笑う人でな、とにかく明るい人だった」
「……うん」
「ホムルズさんと奥さんが出会ったのもウチの店だったんだよ」
「……そうだったんだ」
「出会いも別れも同じ場所……。残酷だよ、別れの方が必ず後になるのに」
「……」
会話を遮るように激しく勢いを増した雨は、まるで担架に揺られているホムルズの涙のように思えた――
――手伝えることを手伝い終え、部屋に戻った時はすっかり深夜になっていた。雨で冷えた体をシャワーで洗う。
(……光無症か)
目にしたのはあの時の子ども以来だ。原因不明の流行り病だが、やっぱり実際に立ち会うとなんとかならないものか考えてしまう。
最も重要なのは、やはりメカニズムの解明だろう。それがわかれば対策を考えることができる。おそらくこの国の研究者達も必死で原因を探しているはずだ。
カイトはシャワーを止める。体を拭いた後、水を一杯飲んだ。そして、さらに思案する。
(……原因を見つけるためには多くの症例が必要だよな)
その症例を最も集めているところをまず探してみよう。少しは力になれるかもしれない。何より今日のような場面にもう出会したくない。
(明日ハンネルさんに聞いてみようか)
そう思いながら、カイトはゆっくりと寝床についた。
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