貴族
宜しくお願いします!
一瞬フリーズした思考が元に戻り、カイトは疑問を口にする。
「どういうことだ?」
「何が?」
パンを食べ終わったレイナが、不思議そうな顔で答えた。
「学校に行くのは貴族だけなのか?」
「当たり前じゃない」
また出た、当たり前。
しらねーよ、おい。初耳だ。
「貴族……俺が?」
いや、待て。
そもそもこの国に貴族がいるのか?カイトは今まで一度も見たことがない。貴族と言うくらいだから、見れば何となく分かりそうな気がするが。
「……貴族って何処にいるんだ?」
「えっ?貴族街に決まってるじゃない」
「その貴族街は何処にあるんだ?」
「王宮の東と西に別れてあるわ」
「そうなのか……でも貴族って見たことないんだけど」
「それはそうよ。貴族が市民街に来るなんてめったにないもの」
「そうなのか……」
知らないことがまた増えた。カイトは眉間を軽く押さえる。貴族に貴族街。正直イメージが湧かない。なんとなくこんな感じなのかなという想像はできるが……。
「でもカイトくんって貴族っぽくないよね」
「一応聞いておこうか……何で?」
「だって、彼らは私達みたいな市民にこんなに普通に話したりしないわ」
「どういう風に話すんだ?」
「えっ、それも知らないの?……あ、そっか。記憶がないんだったね」
「悪かったな……」
「ごめん、私も話したことないからわからないけど、冷たく接してくると聞いたことがあるわ」
「差別か……」
「サベツ?何それ?」
差別ってあれだよあれ。
……説明が難しいな。
「んー、簡単に言うと相手を対等に見ないで見下すってことかな」
「へー、サベツって言うんだ。そういうこと」
「学校で習っただろ?」
「だから行ってないって」
「あ、そっか。すまんすまん」
何で謝ってんだよ……。小さな溜め息がカイトの口から漏れる。レイナと話すと自然とカイトのペースが崩れていく。噛み合っていない訳ではないが、話の論点がズレることが多い。改めてカイトは話をレールの上に戻す。
「それで、貴族は何をしているんだ?」
「何をって?」
「いや、貴族って言うからには普通の人が出来ないようなことをしているんだろ?」
「う~ん……。分かんないわ」
「ああ、そう……」
レイナの話を簡単にまとめるとこうだ。貴族は王宮の東西にある貴族街に住んでいて、この王国のために色んな仕事をしているらしい。そして、貴族以外の人間とは一線を引いている状態だ。要するに何となくイメージしている貴族像で、大体合っているのだろう。
「なるほどね……、良くわかった。ありがとう」
「どういたしまして。遅れるからそろそろ行きましょうよ」
「あ、……ああ。そうだな」
二人は仕度を整え部屋を出た。外は相変わらずの雨である。ギルドに着くまでの間、レイナから貴族についてさらに色々と教えて貰った。
……いくらなんでも俺が貴族ってことはないだろう。話を聞き終えたカイトはそのように感じた。
「あそこだよ。着いちゃったね」
「ああ」
昨日に続いて銃ギルド本部を訪れる。レイナと共に中に入り、指定された部屋の席につく。これから自分の謎がわかるかもしれない。
さぁ、いよいよだ。
お読みいただきありがとうございました。
これからも宜しくお願いします。




