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港区の狂戦士、剛田力一  作者: つなまぐろ


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[第2回]ポーション買った。6階層から/剛田力一 ④

 「ゴブの臭いがするな」


 魔法陣に乗ったと思ったら、いつの間にか上に戻されていた。同じ遺跡で、ゴブリンの臭いがすることから恐らく合っているだろう。


 7階層のどこに飛ばされたか分からないため、適当にほっつき歩く。あわよくば8階層に着いてほしい。


 拳を怪我しているが、ゴブリン程度ならどうとでもなるだろう。


 "よく躊躇なく魔法陣に乗れたなw"


 「乗る以外に道なかったろ」


 ゴーレムたちが出てきた通路はいつの間にか塞がれていた。だからもう乗るしかなかったよな。うだうだしてても仕方ないし。


 "早く怪我治したほうがいいんじゃない"

 "帰らないの?"


 治したいのはやまやまなんだが、配信始めて2時間も経っていない。


 「探索者に魔石渡したら、ポーションくれると思うか?」


 "どうだろ"

 "ゴーレムの魔石がそこそこの大きさだったからいけるかもしれないね"

 "でも他の探索者に不用意に近づかないってルールなかったっけ"


 あー、協会の受付で言われた気がするな。ダンジョン法に規定されてない暗黙の了解ってやつ。優しそうな探索者がいたら声をかけてみるか。


 

 

 ゴブリンを蹴り飛ばしながらテキトーにほっつき歩いていると、上に続く階段が見えてきた。


 8階層に降りたいと思っていたんだが、真逆に来てしまったようだ。


 "反対やったなw"

 "どんまーい"


 協会の地図に位置情報があれば、今頃は着いていただろうに。ライブ配信ができるんだから、地図に位置情報を同期させることだってできると思うけどな。

 

 "6階層にたむろしている探索者に回復薬のこと聞けば?"


 さっさと8階層に行こうとしていたが、言われてみればそうだ。沼地を通った後に、装備の手入れをしている人がたくさんいるじゃんか。


 今日は楽しい戦いもできた訳だし、なんて都合のいい日だろう。


 とりあえず、


 「配信してたら迷惑かかるかもしれないし、映像と音切るわ。ちょいと待っててな」


 "いってらー"

 "気遣いのできる漢やで"

 "この優しさも漢らしい……"

 "配信者はこうあるべきだよな"




 「回復薬タダで貰ったぞー」


 "おかえりー"

 "タダ?10万やぞ?"

 "恫喝したんか?脅したんか?"


 「そんなことしねーよ」


 ……。

 

 とは言ったものの、似たような感じになっちまったんだよな。


 階段を上がるとごつい探索者ばかりだったから、唯一見つけた優しそうな人に声をかけたんだよ。そしたら急に「すみませんでした!」って回復薬押し付けられてどっか行っちまった。


 丁寧な物腰で話しかけたんだが、何がダメだったんだろうな。やっぱりこの格好だと怖がられちまうんかな?


 おかげでほとんど元通りになったし、今度あったらしっかり倍にして返さねーと。

 

 さて、気を取り直して8階層に行きましょうか。




 「何があったんだろうな?」

 

 8階層に辿り着くと、辛うじて先と同じ遺跡であることが分かった。と言うのも、壁も天井も崩れており原型を留めていないからだ。


 他にも、足元には草木が生い茂っていたり、ダンジョン内のはずだが夜空が見えていたりする。


 ってことは、さっき落とされた地下は8階層だと思っていたが7階層の一部だったのか。


 "幽霊出てきそう"

 "ダンジョンってすげー!"

 "年中満月らしいよ"


 待てよ?夜の遺跡っていかにもゴーストが出そうなんだが、攻撃手段がない。


 魔法以外は効かないらしいし、出たら逃げるしかないんじゃ……。


 ま、出たらその時はその時だ。新しいスキルを試したいから今は放っておこう。


 「視聴者さんたち、魔物の名前だけ教えてくれね?」


 "はいよー"

 "シャドウウォーカー"

 "後ろかな"


 視聴者に言われ後ろを振り返ると、人型の影がこちらを覗いていた。


 「物理効かなそうだな」


 "効くよ"

 "人型の何かが影みたいなのを纏ってるだけなんよ"

 "まんま暗いところを歩く人って意味なんよw"


 「効くのかよ……じゃあ」


 「──────!」


 試しに拳を叩き込むと、手応えもなく吹き飛んだ。


 一撃かよ……。やっぱ、攻撃のステータスが毎回6とか7伸びてるのがおかしいんだろうな。


 「おーおー、ゾロゾロとおいでなすって」


 崩れた壁の向こうからシャドウウォーカーが大量に現れる。いくら出てきたって弱かったら意味ないんだけどな。


 こいつとかゴブリンとか、だんだん面倒くさくなってきたから飛ぶ斬撃とか出せないもんかね。


 そんなことを考えながら、片手間に掃討する。


 本当だったら【連撃】の威力を試したかったんだが、弱すぎてよく分からなかった。


 攻撃を重ねるほど火力が上がるスキルなんだが、何発も殴れる相手じゃないとバフの乗りがわかんねぇな。ラージボアみたいな魔物に遭わないといけなさそうだ。



 

 「ざけてんじゃねーぞテメェ!!」


 階段の方へ歩いていると、面白そうな声が聞こえてきた。


 野次馬根性を剥き出しにして、できるだけ近づき聞き耳を立てる。まばらに瓦礫が散っていて隠れるのにもってこいだ。


 「俺たちが倒したんだからさっさと魔石よこせって」


 「テメーらが勝手に割り込んでトドメを刺したんじゃねーか!」


 「うん、だからそう言ってるよ?」


 「俺たちだけで勝てるとこだったんだ!」


 「そう言いながら毎回引率の教師に助けられてたじゃないか」


 「……!!」


 「卒業できたのだってたまたまだろ?」


 4人組のパーティー同士が揉めているな。見た目と話の内容からして、探索者高校の同級生か何かか?


 "いけ好かない方イケボだわ"

 "なおいけ好かん"

 "どうやって反論するんだ!?ワクワク"


 「何やってるのケイタ!」


 「やめろバカっ!」


 あ、叫んでた方が剣を抜いたんだが。

チャンネル登録者数:46 高評価数:58 視聴者:72



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