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港区の狂戦士、剛田力一  作者: つなまぐろ


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[第2回]ポーション買った。6階層から/剛田力一 ⑤

 ケイタと呼ばれた剣士が、同じパーティーの重戦士に羽交い締めにされている。


 腕を振りほどこうともがいているが、体格差のせいかビクともしない。

 

 「はなっ、せぇえええ!!!」


 剣士が完全にイッた目で睨みつけるが、いけ好かない男はあくまで冷静だ。

 

 「剣を抜いたってことは、そういう事でいいんだな?」

 

 「───っ!!」


 剣士の男は息を飲む。そしていけ好かない男は大剣に手をかけ───


 「ちょっと待てーい!!」


 これ以上はさすがにやばいと思い、彼らの間に飛び出す。全員の視線が一斉に集まると剣呑な空気が途切れ、「なんだコイツ」という困惑が場を支配する。


 謎のリーゼント男の乱入に、修羅場が混沌と化した。




 ふむふむ、なるほどね。


 結論から言うと、俺はタイミングを完全に間違えたらしい。

 

 剣士を落ち着かせるため、重戦士の男とともにその場を離脱した。残った彼らから詳しい話を聞いたのだが、思っていた展開ではなかった。


 ことの次第はこうだ。


 ここにいる8人は幼い頃から一緒にいて、みんなで探索者になると誓ったそう。一緒に夢を叶えようぜ的なやつだ。


 ただ、現実はそんな綺麗にはいかないもの。ケイタくんは絶望的に才能がなかったみたいだ。


 そこで諦めるよう説得したが、なかなか聞いて貰えない。いろいろと試してみたが、探索者になるの一点張り。


 そこで、才能のあるいけ好かない……いや、ユウキくんが、嫌われてでも才能の差を見せつけ諦めさせようとしているらしい。


 うーん、段々と邪魔してしまったことに罪悪感を感じてきた。


 ケイタくんの気持ちも分かるし、彼らの気持ちも分かる。でも探索者である以上、日常的に死と隣り合わせだ。弱いやつから死んでいく。

 

 俺は、頑張ったらなんでもできるって楽観的な思考はしていない。だからこそ、嫌われてでも探索者を諦めさせようとしているユウキくんを素直に尊敬する。

 

 申し訳なくなり謝罪すると、ユウキくんは「こちらこそ心配をかけてしまい申し訳ない。貴方の善意を不意にしてしまい、心より謝罪する」と、イケメンな返しをしてきた。


 やっぱいけ好かん。


 "めっちゃいいヤツらじゃん"

 "残酷だけどしゃーないて"

 "ユウキくんの顔を見せろ!モザイクが憎い!"

 

 その後もいろいろ話していると、


 ───ドォォンッ!!


 背後で爆発音が鳴り響いた。ケイタくんたちが向かった方向だ。


 「───行くよ」


 ユウキくんはすぐさま皆を連れて、爆発がした方向へ駆けていく。少し遅れて俺も向かう。


 すぐに追いつくと、彼らは酷く狼狽した様子だ。


 辺りには重戦士の盾だったものが散乱している。その近くに、2人が壁に打ちつけられたように倒れていた。見た感じ息はありそうだが、今は置いておこう。


 ユウキくんたちは、この惨状を引き起こした犯人の方を見て動かない。


 「なんでここにコイツがいるんだよっ!?」


 斥候の男が叫ぶ。


 そこにいるのは3メートル大の人型のトカゲだ。緑色の鱗を身に纏い、槍を携えている。


 知っているのだろうか。


 "リザード・ブッチャーじゃね?"

 "そいつ10階層の階層主だ!"

 "なんで8階層に!?"

 "面白くなってきたね"


 「リザード・ブッチャー、10階層の階層主か……」


 リザード・ブッチャーは俺たちに狙いを定めており、逃げる選択肢はない。戦うしかないだろう。


 そしたら俺はどうしようか。多対一の一側しかやったことがない。


 「リーゼントの方、レベルをお聞きしても?」


 この状況でもユウキくんは冷静だ。

 

 「さっき9レベになった」

 

 「───ッ!!」


 俺のレベルを聞いて、ユウキくんは考える様子を見せる。


 「コイツは僕たちが引き受ける。貴方は巻き込まれた側だと言うのは重々承知だが、助けを呼んでくれないだろうか?」


 あ、俺のレベル低かったか。


 こういう時は高レベルの探索者の言うことを聞くのがマナーだしな。


 「あいよ。助けが来るまで耐えろよー!」


 「恩に着る!」

 

 そう言い残し、ユウキくんはリザード・ブッチャーへ駆けていく。


 …………。

 

 俺は一度その場を離脱する。


 ドローンから外したスマホで、港区探索者協会緊急連絡先に通報。階層と発生情報を伝える。すると数秒後、8階層でリザード・ブッチャー出現の通知がスマホに届いた。


 よし、これで近くの強いパーティーが助けに来てくれることだろう。


 ユウキくんはそのまま逃げろって意味で言ったと思うけど……ごめんな。



  

 「連絡したから手伝うぜー」


 リザード・ブッチャーと斬り合っていたユウキくんが一度距離を取り、信じられないものを見る目でこちらを見てきた。

 

 「なぜ戻ってきたっ!」


 「いいじゃんか。サポートくらいできるからさ」

 

 え、そんな苦虫潰したような表情しなくてもいいじゃない。


 「無茶だけはするなっ!」


 怒鳴りながらも、再びリザード・ブッチャーへ突撃した。


 "さすがにユウキくん可哀想だわw"

 "リザード・ブッチャーの適正レベル17だもんな"

 "あのスキルなかったら俺も切れてるわw"


 たしかに、傍から見たらお荷物だよな。まあ、許可も貰った事だし……重戦士さん、ちょいと失礼して。


 倒れている重戦士の腰に手を伸ばし、魔力ポーションを引き抜く。緊急時だから勝手に貰うけどいいよな?


─────────

名前:剛田 力一

レベル:9

体力:168/234

魔力:30/34

攻撃:71

敏捷:50

耐久:51

器用:40

知力:27

スキル:【高揚(ハイボルテージ)】【硬化】【連撃】

─────────


 これで魔力もほぼ満タン。


 サポートするつったが、前言撤回させてもらうぜ。

チャンネル登録者数:48 高評価数:59 視聴者:82



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