[第2回]ポーション買った。6階層から/剛田力一 ⑥
俺が倒してやるって思ってたけど、ユウキくん強くね?魔法使いからバフを貰って、ギラッギラに輝いてるし。
細身のくせに大剣使うのも、アンバランスだが様になっている。
あ、大剣が光って斬撃が飛んだ。主人公属性ありすぎだろーが。
"普通に強いな"
"なんか勇者みたいだな"
とはいえ、怒涛の攻撃を受けてもリザード・ブッチャーは平然と対応している。見た目はパワー型のくせに、槍の使い方が上手い。
リザード・ブッチャーは身体がデカい分リーチも長いのだが、ユウキくんは飛ぶ斬撃を放ちながら上手くリーチを補っている。
───その時だ。
ユウキくんの全身を包んでいた光が、フッと消える。
後ろを見ると、バフをかけていた魔法使いが肩で息をしている。魔力切れかスキルの限界か。
その瞬間を狙ってか、リザード・ブッチャーが一気に距離を詰める。穂先が蛇のようにしなり、ユウキくんの肩口を破壊した。
「ぐっ……!!」
「大丈夫かユウキ!」
「一度回復の時間だ!アユム、時間稼ぎを!」
アユムと呼ばれた斥候がリザード・ブッチャーと相対し、残りのメンバーが後方で回復する。
戦いながら回復するものだと思っていたから、なかなかにシュールな光景だ。
まあ、ちょうどいいか。時間稼ぎなら、俺が加わってもいいだろう。
やっと戦えるぞ、リザード・ブッチャー。
最高の30秒を楽しもう。
「【高揚】」
ドクン、と心臓が強く脈打つ。鼓動が一段階早くなり、身体から深紅のオーラが溢れ出る。
「待たせたなあ、トカゲ野郎ォ!!」
"待ってました!"
"ハイボルテージきちゃー!"
"笑っている君が素敵だ"
"もしかして……ネキなのか?"
"魔物に漢を見せてやろうぜーー!"
地面を蹴り、真正面から突っ込む。反撃なんか気にしない。
リザード・ブッチャーは弱点を狙い槍で突いてくるが、半身で受け流し懐に潜り込む。
そのまま拳を叩き込むが、あまり効いているようには見えない。だが、【高揚】と【連撃】でそのうち無視できなくなる。
「何やってるんだ君は!!」
おっと、ユウキくんが気がついた様だ。でも今は俺のターンだからちょっと待っていてくれ。
殴る。蹴る。突く。
致命傷を躱しながら、ひたすら手数を重ねる。
撃ち合っていると次第に動きに余裕ができ、攻撃で相手の身体を弾くようになってきた。
リザード・ブッチャーは何かがおかしいと思ったのか、槍の振りが少しづつ荒くなる。
「ほらほらどうしたァ!そんなもんか!?」
挑発しながらさらに踏み込む。拳がめり込むたび、ミシミシと嫌な音を放ち始める。
残り時間はあと少し。
もはや【連撃】がどこまで影響しているのか分からないが、鱗の鎧には亀裂が走っている。
心臓の鼓動が、血液が、俺の全てが加速する。
リザード・ブッチャーはもはや槍を投げ捨て、牙を剥く。小型のドラゴンのように噛みつき、なぎ払ってくる。
しかし、俺は止まらない。
止められない。
リザード・ブッチャーの攻撃をすべて受け止め、弾き返す。完全にステータスで上回っている。
───バギィッ!!
鈍い音を響かせ、鎧が砕け散る。巨体が吹き飛び、衝撃に耐えられなくなっている。
「──────ッ!!!」
苦し紛れの咆哮が辺りに響き渡る。
これでラストだ。
リザード・ブッチャーの懐へ強引に潜り込む。叩かれ、なぎ払われるが、もはや避ける必要すらない。
拳を振り抜くと、砕けた鱗の奥に衝撃がめり込む。
そのままもう一発。
さらに一発。
「ハハハハハハハ───ッ!!」
叩き込む度に身体が軋み、衝撃が重くなる。
「終わり……だ!」
全てを込めた一撃を叩き込む。
───ズンッ。
身体の内部から破裂するような音。リザード・ブッチャーの動きが止まり、地面に崩れ落ちた。
「最っ高……」
"うおおおおおおお!!(2回目)"
"漢おおおおおお!"
"おっほ"
"9レベでやりやがった!"
"ハイボルテージと連撃ヤバすぎィ"
"さすが漢だ……泣"
深紅のオーラが霧散し、全身の力が一気に抜ける。倒れそうになるが、気合と根性で耐えてみせる。
リザード・ブッチャーが消滅すると、いつもの感覚が流れ込んできた。
(ステータス)
─────────
名前:剛田 力一
レベル:13←9
体力:61/286←61/234
魔力:0/50←0/34
攻撃:99←71
敏捷:66←50
耐久:71←51
器用:52←40
知力:31←27
スキル:【高揚】【硬化】【連撃】【不倒】
─────────
なんだ、気合いで倒れるのを我慢してると思ったらスキルかよ。倒れないってのは有難いけどな。
そして毎度恒例の知力はなんと4アップ。最低値を更新したが仕方ない。今回は殴る以外にしてないから甘んじて受け入れよう。
倒れはしないだけで動けない。その場でボーッとしているとユウキくんたちが近くに寄ってきた。
「……凄かったよ」
ありがとう。ユウキくんも勇者みたいだった。
「?」
さすがにテレパシーは通じないか。
「ま……り、ポ……」
「あ、魔力切れかい?すぐに用意するよ」
何とか声を出せたが、あれで通じるとは。やはりイケメンはこうでないと。
魔力ポーションをユウキくんに飲ませてもらう。
?
あれ?回復しない……。
「え?」
??
「なんで治らないんだ?」
分からん。
「回復ポーションもやってみよう」
…………。
「変だな……」
仕方ないからこの状態で待っていると、俺が回復するより先に救援のパーティーが到着したみたいだ。
「この暴れっぷりは……。君たち!ここでリザード・ブッチャーを見なかったかい?」
急いで来てもらったのに申し訳ない。無理言って俺が戦ってから連絡すればよかった。
「はい。リザード・ブッチャーが現れ、私たちが救援要請を行いました。しかし、彼が駆けつけ1人で倒してみせたのです。」
「ふむ、下の階層では見たことないが別のエリアからやってきたのだろうね。もし魔力切れだったらポーションをあげるけど……」
「それは助けられた私たちにさせて頂けませんか?通すべき筋というものがあるので」
「それはいいことだ。それなら、私たちの方から報告は済ませておくから。では」
探索者っていい人ばかりなのか……?
「あ、回復した」
「よかった。これ、低級だけど魔力ポーションと回復ポーション。試してみて」
「助かる」
今度はしっかりと回復した。魔力が自然回復するまで治療できないとは思わなかった。
「あの二人の様子は?」
「2人とも無事だったよ。君の戦いを見て、俄然やる気出しちゃったけど……」
それはすまん。漢ってのは伝播しちまうんだ。
「そういえば名乗ってなかったな。俺は剛田力一、よろしくな」
「私は、俺は白…」
「ちょっと待ってな。配信切るから、そのあと話そう」
ギリギリセーフ。名前を載せちゃってるから、せめて苗字くらいは隠しとかないと。
今日は強いのと戦えたし、知り合いもできていい日だった。かなり満足のいく配信になったんじゃないか?
「さすがに今日はこれがピークだろうし、今日の配信はここまで。ご視聴ありがとうございました。チャンネル登録と高評価、よろしくお願いします。」
あれ?今更だけど2日で13レベまで上がったのか。
チャンネル登録者数:90 高評価数:121 視聴者:380
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