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港区の狂戦士、剛田力一  作者: つなまぐろ


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7/10

[第2回]ポーション買ったから6階層/剛田力一 ②

 洞窟、森、沼地ときて、7階層は遺跡になっている。


 年季を帯びた石造りの遺跡で、壁に取り付けられている松明が通路を照らしてくれているようだ。


 「遺跡ってなんだかワクワクするな」


 "わかるわー"

 "なんでダンジョンに遺跡があるんだよ"

 "宝箱があったらロマンのある話なのにな"


 しばらく道なりに進んでいると、ギャッギャと聞き慣れた声が聞こえてきた。柱の影から覗き見ると、10匹近くのゴブリンが焚き火を囲んでいる。


 ゴブリンがどうやって火をつけたかは知らないが、経験値になってもらおう。


 腕に【硬化】を使い、ゴブリンたちに襲撃を仕掛ける。


 すると、ゴブリンたちは面白い反応を見せた。

 

 俺に気づくと、流れるように盾役と攻撃役に別れて迎え撃ってきたのだ。1、2階層にいた時よりも確実に知能が上がっている。


 しかしまあ、残念。木の盾と棍棒じゃ相手になりませんとも。


 強化された拳で盾を割り、棍棒を叩き折り、武器が無くなったゴブリンたちを蹂躙した。知能やステータスが上がれど、ゴブリンはゴブリンだな。


 久しぶりに魔石以外のものが落ちていると思い見てみると、ゴブリンの耳が落ちていた。ゴブリンの耳ってなんだよ。何に使うんだよ。


 もしかすると4階層でドロップしたグレーウルフの牙は、それなりにいいものかもしれない。初心者用の武器の素材になるだろうからな。


 ドロップ品は記念として家に持ち帰ったけど、今度まとめて売却しようか。


 

 その後もズンズンと通路を進んでいき、同じようなゴブリンの群れを破壊していく。魔力が足りず【硬化】は使えないが、特に影響はなかった。


 せっかくの遺跡でワクワクしていたんだが、相手がゴブリンばかりじゃ飽きてくる。遺跡といえばゴーレムとかガーゴイルだろ。


 「遺跡って割には何もないな?」

 

 "せやな"

 "隠し部屋とかないんか?"


 隠し部屋かー。珍しい魔物や遺物が見つかることがあるらしいが、簡単に見つけられるはずもない。

 

 「いいなーそれ、歩きながら探してみるか」


 でもまあロマンって大事だよな。

 

 とはいえ、どうやって見つければいいんだ?こういうのってだいたい壁とか床にヒントがあるもんだよな?


 うーん。考えるよりも、いろいろ試してみるか。



 「無理だ、さすがに諦めよう」

  

 特にあてもなく壁を叩いたり、床を踏みつけながら移動しているがなんの反応もない。

 

 今は探索のついでに探しているけど、時間のある時に隠し部屋耐久配信をしてもいいかもしれないな。

 

 とはいえ諦めきれず壁を叩いたりしていると、どこからともなくゴブリンの集団が寄ってくる。こんなに音を出していたら当たり前か。


 いつも通りゴブリンを突き、叩き、投げとばす。


 ───ガコンッ


 「おっ!きたんじゃねーか?」


 ゴブリンを投げつけた壁の一部が、僅かにへこんだように見える。


 それを機に地面が揺れ、隠し部屋への通路が開かれる───


 はずもなく。

 

 隠し部屋探索モードではなく、普段の俺ならば回避できていたであろう。


 「あ、落とし穴か……」


 地面が開き、重力に逆らうことなく落ちていく。


 体感として30メートルほど落ちただろうか。ようやく地面が見え、着地する。


 完全に衝撃を逃すことはできず、体力が50ほど減ってしまった。イノシシの最後っ屁もそうだけど、被ダメージの仕方がしょうもない。


 「回復ポーションって美味いんだな。びっくりしたわ」


 2本ある回復ポーションのうち1本を飲み干す。回復薬、薬というイメージが強かったためかなりの衝撃だ。


 "えぇ、なんで冷静なんだよ"

 "そんな悠長なこと言ってる場合じゃないんじゃない?"

 "専門店だと色んな味のポーションが売っているよ"

 "出口探さないと"


 ポーションにも色んな味があるのか。高そうだが今度その専門店とやらに行ってみるか。


 「落ちたもんは仕方ないだろ。天井も綺麗に閉まってるし」


 周りを見渡すと、先程の遺跡と同じ造りの小部屋に落ちてきていることが分かる。天井も5メートルほどあり、落ちてきた穴は跡形もなく消えてしまっている。壁ジャンで帰れればよかったけどな。


 「まあ、これも一種の隠し部屋だと思って気楽に行こーぜ」


 どうすれば出られるかは分からないが、とりあえず上に続く道を探そう。


 そう思い小部屋を出たのだが、辺りを見ると魔物の気配がなく一本道が続いているだけだった。奥を見ると巨大な広間があり、そこへ行けということだろうか。


 「拍子抜けだな」


 "絶対なんかあるやろ"

 "ネタバレ禁止がこんなに辛いとは思わなかったよ"

 "↑ってことは緊急事態じゃないってこと?"

 "あっ"


 視聴者に心配させるのもなんだか悪いし、別に気にしないさ。昨日もだったけど、この人めっちゃダンジョンに詳しいな?


 広間の前まで着くと一旦立ちどまる。


 通路の左右の壁に、羽の生えたゴブリンのような石像が飾られている。ダンジョンで石像と言えばガーゴイルなんだがこれはどうだろう。


 目の前まで近づいてみても一向に動く気配が無い。本当に石像だろうか。触ったら動き出すとかあるか?


 ガーゴイルだった場合はレギュレーション違反だが、一体壊してみるか。


 「【硬化】」


 バキッと片側の石像を壊してみると、案の定だった。


 「──────ッ!」


 もう片方の石像が壁を離れ、咆哮をあげている。その小さな羽根でどうやって宙に浮いているんだか。


 ただ、スキルを使って殴れば壊れることが分かったなら容易い事だ。


 ガーゴイルの引っ掻きを躱し、カウンターを顔面に食らわす。簡単に首が折れ、岩の身体が地に落ちた。


 「ん?身体が崩れないんだが」


 "まだ倒してないってこと?"

 "本体が操っているとかかな?"


 わからん、こういう時こそあの人だろ。

 

 「ネタバレ禁止を食らってるニキ、出番だぜー」


 "出番よー"

 "……まあいいか。ギミックのガーゴイルと魔物のガーゴイル、2種類いてね。これは前者だよ。"

 "ほへー"


 なるほどね。ギミックのガーゴイルだから灰にならないのか。経験値にも金にもならないと。


 魔力がギリギリになったため、魔力ポーションを2本飲んで回復させる。


 (ステータス)

 

─────────

名前:剛田 力一

レベル:7

体力:205/208

魔力:22/24

攻撃:57

敏捷:40

耐久:39

器用:30

知力:21

スキル:【高揚(ハイボルテージ)】【硬化】

─────────


 【硬化】が有用すぎるし、【高揚(ハイボルテージ)】はしばらくお預けだな。

 

 ガーゴイルの残骸はそのままにして、広間に入る。中央には大きな石が置かれてあり、それ以外は何もない。


 見るからに怪しいが、ガーゴイルのようにアクションを起こさないと反応しないと思い近づいてみる。すると大岩は姿を変え、ロックゴーレムへと変貌した。


 3メートルほどの高さがあり、胸の中央にはコアがはめ込まれている。ゴーレムってのはロマンなんだが、何故こうも弱点を晒すのか。


 ゴーレムに近づくと、両手を勢いよく振り下ろしてきた。


 しかし、全ての動きが遅すぎる。


 漢のロマン、ゴーレム。その攻撃の安直さ、隙の大きさに悲しみを覚えながら、硬質化させた拳でコアを撃ち抜く。


 動きを停止させたゴーレムは、崩れ落ちるように消滅した。


 これならゴブリンの群れの方がまだ面倒臭かったわ。ラージボアはともかく、大きい魔物ってのはなんでこうも動きが遅いのかね。


 "ゴーレム弱スギィ"

 "敏捷の低い探索者なら大変だっただろうね"

 

 これで階段なり転移の魔法陣が現れると思っていると、ゴォオオオッと地鳴りが起こる。広間の左右の壁が動き出し、新たな通路が2つ出来上がった。


 するとそこから、人間を模したようなゴーレムがゾロゾロと現れる。鎧を身につけ盾と剣を装備したそれらは、俺を取り囲み剣を構えた。


 やっと面白くなってきたじゃねーか。

チャンネル登録者数:29 高評価数:10 視聴者:33



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