表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
港区の狂戦士、剛田力一  作者: つなまぐろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/8

[第2回]ポーション買ったから6階層/剛田力一 ①

少し短めです。

 「天上天下唯我独尊!剛田力一です……」


 配信を始めてすぐに口上言っても意味ないじゃん。まだ誰もいないじゃんか。


 待機枠作ってないし、時間を告知した訳でもないんだから。そもそも昨日の視聴者が今日も来てくれるとは限らないよな。


 "一番乗り〜"


 「あ、昨日来てくれた人。今日もありがとなー」


 見覚えのある名前の人が来てくれた。1人来てくれるだけで安心するし、リピートしてくれるってのは嬉しいもんだな。


 「誰かさんがバカにするから、魔力ポーション3本も買っちまったよ。30万だってさ」


 "gkbr"


 「低級だから1本10万だけど、中級は一気に100万に跳ね上がるのな。びっくりしたわ」


 "ポーションってかさばるからな"

 "魔力が10回復する低級が10万円で50回復する中級が100万円……"


 ほんと、探索者協会は抜け目のない商売をしていることで。


 そんなふうに雑談をしていると、視聴者が10人集まったようだ。


 「んじゃあ、探索始めていくぜー。剛田力一だ。夜露死苦!」


 "??"

 "ん???"

 "初見"


 「お、初見さん見に来てくれてありがとなー」


 ダンジョンの壁を背景にして俺を映していたドローンカメラを、手動で反転させる。俺を追尾するよう設定しているため、こういう時は少し手間だ。


 「見てみろよこれ。面倒くさそうな階層だと思わないか?」


 "あ、うん"

 "ねえ、口上は?"

 "天上天下〜みたいなやつは?"


 「恥ずかしくなった」


 "漢の中の漢?"


 う、うるさいやい!


 そんなことより画面を見てくれよ。見渡す限り、一面の沼地だ。


 俺が来ている港区ダンジョンが不人気な理由である。


 6階層のほとんどが沼地と化しており、他には点々と岩場があるくらいだ。簡単に言えば、装備が汚れてしまうのだ。


 そのため、港区の探索者協会では洗浄の魔法が書かれたスクロールを1つ5万円で販売していた。


 消費アイテムのため、行きと帰り用に買って10万。


 収入の少ない初心者には不向きなダンジョンがここである。


 ただ、そんな沼地には利点もある。


 探索者はこのエリアを極力急いで抜けようとする。そのため魔物が倒されることが少なく、適正レベルの俺からしたら美味しい狩場なのだ。


 「うお、気持ち悪ぃ」


 足を動かしていないとすぐに沈んでしまう。後で洗えるとしても、気持ち悪いもんは気持ち悪い。


 この階層は有名だから知っているけど、7階層から先のことはあんまり調べてないんだよな。昨日探索をしてみて思ったんだけど、 知っていることってつまらないんだよね。


 ───ベシッ

  

 沼の中から大砲のように飛んできた魚を叩き落とす。


 今の魔物も、来るとわかっていたから対処できた。知らなくても反応はできていたと思うが、危なかっただろう。


 もっとヒリつきが欲しいんだよな。


 「てか多いな、量おかしいだろこれ」


 歩き始めて5分ほど経つが、既に10匹は確実に倒している。


 叩き落とすだけで終わるから楽なんだが、このままいくとレベルが上がってしまう。絶対にステータス盛れないだろこいつ。


 「ちょっと逃げるわ。レベル上がっちまう」

 

 "探索者初日で階層主倒したやつが魚から逃げとるww"

 "そいつ魔物だけどギミックの認識でいいぞ"

 "ゴブリンよりも遥かに少ない経験値量だったはず"


 なんだ、大した経験値じゃないのか。それならこのままでもいいけど……。

 

 いや、他の魔物を探そう。こいつを倒していても、俺も視聴者も面白くない。


 駆け足で移動を始めると、魚は俺の後方を通り過ぎていくようになった。なかなかシュールな映像が撮れていることだろう。


 「あ、ザリガニ」


 走っていると、ザリガニのような魔物を発見する。ただ1メートル以上あり、ハサミの奥に砲身のようなものが見えている。


 "シュートクレイ、泥を放ってくるよ"

 "どちらかといえばシャコじゃない?"


 「あ、すまん!緊急の時以外はネタバレ禁止で頼む!」


 シュートクレイが放ってきた泥を躱し、接近する。


 何故かむき出しになっている腹目掛け、拳を打ち込もうとする。すると、シュートクレイはハサミを持ち上げ迎撃の構えをとってきた。


 「【硬化】」


 拳が岩のように変化し、ガチガチに固まる。


 「やろうぜ、インファイト」


 まずは様子見として、ボディへと雑に打ち込む。


 シュートクレイはそれを左のハサミでガードし、右のハサミを振り下ろしてきた。


 「いいねぇ」


 それを左手で受け流すと、低い姿勢で懐へ潜り込む。


 これで終わりかと思ったが、下から尾を打ち上げてきたため回避。素早く横に移動し、尾と腹の隙間に手を差し込む。


 プロレスの技ってかっこいいよね。


 身体を後ろに反らし、シュートクレイを頭から地に叩きつける。


 相手は魔物、足元は泥。ダメージは皆無だが、隙がでかすぎだ。


 腹を押さえ、尾を踏みつけ、無理やり防御をこじ開ける。


 無防備になった腹に拳を振り下ろし、戦闘は終了した。ザリガニだかシャコだか分からなかったけど、面白い魔物だったな。

 

 "特攻服ドロッドロやん"

 "なんでここでバックドロップしたww"


 仕方ないじゃん。漢は急にバックドロップしたくなることもあるだろ、多分。


 "スキル強い?"


 「ああ、強いな。使い勝手がいいしコスパもいい。魔力を10も使うがいいスキルだ」


 配信を始める前に少しだけ試してみたんだがこのスキル、関節を固めても曲げたり動かしたりすることができる。【高揚(ハイボルテージ)】みたいに融通の効かないスキルではなかった。


 1分の制限時間があるが、これからも使えるいいスキルだ。


 「そういえばあの魚襲ってこなかったな」


 "ザリガニが食べ尽くしたんじゃない?"

 "シャコだよシャコ"


 食物連鎖はダンジョンでも健在なんだな。


 とりあえず、背中に泥が入り気持ちが悪いから階段まで急ごう。



 駆け足で進むこと約10分、階段の前にあるスペースに到着。ここだけしっかりとした地面があり、周りで他の探索者たちが泥を落としている。


 見た目がアレなのを理解しているため隅っこの方へ。


 スクロールを足元に置き広げると、直径1メートルほどの魔法陣が展開される。その中に入るとあら不思議。服や身体に付着した泥が嘘のように消え、探索前の姿に元通りだ。


 「馬鹿したせいでスクロール使っちまったから、このまま7階層行くわ」


 "はいよー"

 "バカした自覚はあったのね笑"


 「てか、ネットに6階層は狩場って書いてあったんだけどそれってさ……」


 "嘘やな"

 "ワザップらしいね"


 やはり嘘の情報だったか。


 あの魚は経験値少ないうえに魔石はゴミのような値段。ザリガニはレベル上げするには少しめんどくさい相手だ。


 他にも魔物はいるのだろうが、どうせナマズやカエル辺りだろ。みんな泥を飛ばして汚してくる戦法に違いないね。


 さて、気を取り直して7階層に行きましょうかね。

チャンネル登録者数:23 高評価数:6 視聴者:21



面白かったら評価、ブックマークをよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ