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港区の狂戦士、剛田力一  作者: つなまぐろ
22/27

[第5回]30階まで※縛りあり/剛田力一 ①

 「はい、開けたぞー」


 "おはー"

 "切裂姫と何話したん?"

 "そうだぞ答えろ血涙"

 "なんの縛りをすんの"


 そういえば霧崎さんに、昨日のこと配信で話していいか聞いてなかったな。


 いいや、やめておこう。サプライズでガンド・ルーラーと戦った方が盛り上がるだろ。


 「今日は20から30階層までの階層主を倒していく予定なんだが、【高揚(ハイボルテージ)】を使わないで倒すことにした」


 "えー、なんでさ"

 "そのスキルがあったから格上倒せてたくね?"

 "まだ20レベだろ?"

 "ニキなら行けるで!"

 "切裂姫のおかげでプチバズりして調子乗ったろw"

 "漢だな"


 20階層の階層主でも適正レベルは30。


 昨日のことがあったから俺は縛りをしたわけだが、そんなこと視聴者が知るはずもない。傍から見たら舐めプだったり、調子に乗ったと捉えられてもおかしくないな。


 【高揚(ハイボルテージ)】があったから格上を倒せていたってのも事実だしな。

 

 「【高揚(ハイボルテージ)】がなかったら弱いとか言われたくねぇからな。ここいらで一度、認識を改めさせねぇと」


 俺は最強ってのになりたくて探索者を始めたんだ。好き勝手言われたままじゃいられない。


 生憎負けず嫌いなもんでね。


 「ま、それは置いておこう。雑談配信じゃねぇからな」


 そんなわけで、俺は今20階層にいる。


 辺り一面、見事に砂。砂漠のステージだ。


 一応オアシスみたいなところから配信を始めているが、それでも暑い。俺の他にも二パーティほど休憩をとっていて、過酷な環境だと分かる。


 ちなみに配信を始める前、ここで配信してもいいか確認は取ったからな。


 「砂漠だから見通しが良いわけだが、多分あれだよな」


 "どっかのパーティーと戦ってるな"

 "複数体いる感じの階層主か?"

 "んなこと言ってたら倒されたな"

 "ミイラ軍隊だっけ"


 配信を始める前から行われていた、どこかのパーティーと階層主との戦闘がちょうど終わったようだ。


 視聴者が言うにはミイラ軍隊とかいう名前の魔物らしい。なるべく見ないようにしていたが、軍隊と言うにはかなり荒ぶった攻撃をしていたな。


 とにかく、倒されたのなら新しいのを探さないと。魔物は人のいないところでリポップするから隅っこの方にいるんだろうな。


 「あ、天上天下唯我独尊の剛田力一だ」


 "雑になりすぎでやんす"

 "草"

 "もうやらんでええやろw"


 一応自己紹介はやらないと、初めて見に来てくれた人は分からないからな。正直、名前を言うだけでいい気がしなくもないが。


 今はそんなことどうでもいいか。


 とりあえずいい感じの砂丘を登って、全体を見渡してみよう。




 配信を始めた場所は上へと続く階段の近くにあったんだが、真反対のところでリポップしていた。


 砂漠はほとんど遮蔽物がないから、魔物がどこにいるか分かりやすい。なるべく避けるように進んだが、鳥系の魔物だけはどうしようもなく交戦した。


 そして今、目の前にはミイラ軍隊がいる。


 人型に近いが横這いになっていて、脚が四本に腕が二本の四足二手歩行。その手には二刀のサーベルが握られている。十体ほどいるが、軍隊とかいう割には指揮系統がいなさそうだ。


 「30レベの探索者の攻撃ってどれくらいが平均なんだ?」


 とりあえず自分のも確認っと。


─────────

名前:剛田 力一

レベル:20←17

体力:377/377←338/338

魔力:83/83←71/71

攻撃:136←121

敏捷:97←83

耐久:107←94

器用:75←66

知力:40←36

スキル:【高揚(ハイボルテージ)】【硬化】【連撃】【不倒】【耐久I】

─────────


 "前衛の攻撃は155くらいだな"

 "ソロは伸びやすいからいい線いってるんか?"

 "ニキの場合、5は毎回増えてるよな?"

 "30レベともなればスキルで強化もするからあんまり参考にしない方がいいと思う"


 あー、そっか。


 レベルが上がればスキルの数が増えて、その分スキルによる強化度合いも大きくなるのか。


 「ごちゃごちゃ考えるより、まずはやってみろだな」


 【高揚(ハイボルテージ)】を使わないと決めたせいか、いつもより慎重になっている気がする。ダメだな、強くなるって言うやつがこんな消極的じゃ。


 「行くぜ、ミイラ共」


 今出せる全速力でミイラの一体に接近する。


 さすがに気づかれるが、反応を遅らせられれば十分だ。


 硬化させた拳で、勢いよく振り抜かれたサーベルを受け流す。少し体勢が崩れたところを、一度本気で蹴り飛ばす。


 ミイラだからか、そこらにいる魔物のように簡単に吹き飛んでいく。階層主の中だと倒しやすい部類だろうな。


 他のミイラの様子を見ると、九体のミイラは今にもこちらに飛びかかってきそうな雰囲気だ。


 「よしっ、来いや」


 ミイラたちは一斉に跳躍すると、身体を回転させながら飛びかかってくる。サーベルがあるせいで、手裏剣のような見た目になっている。


 恐らく、体の軽さを回転と速度で補っているのだろう。受け流すことは出来るが体勢が崩れ、そこに後続のミイラ達が突っ込んでくる。

 

 「なんでミイラがこんなアクロバティックなんだよ」


 "きめぇーww"

 "でも攻撃は重そう"

 "めっちゃ余裕そうに避けるやん"

 "漢……"


 余裕そうに避けてるって言われているが、実際にそうなんだよな。


 昨日の霧崎さんとの模擬戦で、速さには目が慣れてしまった。霧崎さんは全く本気ではなかったが、それでもこいつらの攻撃よりかは断然速い。


 なんかヌルゲーになりそうな気がしてきたな。


 ミイラ達は俺に避けられると、素早く旋回してもう一度突っ込んでくる。そのうちの数体を、タイミングを見極め打ち上げた。


 宙にいる時は避けらんねぇのよ。マジで。


 遅れて突っ込んできたミイラ達の攻撃を逸らし、宙にいるミイラに命中させる。流石にそう上手くコントロールはできなかったが、これで二体は倒せた。


 倒しやすい部類ってことには変わりないが、こういう倒し方になるのはちょっとな。殴れば吹っ飛びはするが、打撃が効いている感じじゃないから仕方ないんだが。

 

 作業ゲーは好きじゃないがやるしかないか。




 "硬すぎー"

 "gg"

 "打撃しか攻撃手段ないのエグい"

 "だいぶ時間かかったなw"

 

 意地張って殴って倒すとか言わなくて良かった。


 同じやり方で残り一体まで減らしたが、ここからがきつかった。殴って吹き飛ばすことを繰り返し、回転する状態を解除したはいいものトドメが刺せない。


 硬化させた拳に【連撃】も乗っているはずだが、全く倒れない。


 もちろんミイラも反撃するため、避けては受け流し攻撃を加え続けた。そして、追加で魔力を50消費したところでようやく消滅した。


 "今調べたら物理耐性Ⅲ持ってるって"

 "その代わり斬撃とか魔法は通りやすいってさ"


 「サーベル持ってなかったら、対俺用の魔物じゃねぇか……」


 "てかニキ目良すぎ"

 "分かる"

 "反射神経がバグってるよな"

 "レベル30ワイ氏、速すぎて受け止めることしかできんかったで"


 反射神経には自信があるが、今回ばかりは流石に霧崎さんのおかげだ。今日はまだコメントを見かけていないが、やっぱり忙しいんかね?


 今思えば、S級の人が真昼間から連日俺の配信を見ていたことになるのか。霧崎さんの他にもいたりしてな。


 ……そんなわけないか。

チャンネル登録者数:312 高評価数:21 視聴者:130



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