[第4回]行けるとこまで/剛田力一 ②
グラインドワームは身体を回転させて地中に出入りしている。身体は掴みどころがないから狙うとしたら口なんだが…。
「次外に出てきたら終わらせるわ」
【硬化】を使っても、魔力が45もあれば倒せるだろ。
む、来たな。
足元が揺れ、グラインドワームが近づく気配を感じとる。
「【高揚】」
スキルを発動した直後、地中からグラインドワームが飛び出てきた。それを躱し、着地地点に先回りする。
(【硬化】)
発動したての【高揚】じゃ奴の攻撃を受け止めきれねぇ。だから魔力を10は使うが、【硬化】で耐久を───
「は?」
拳の様子が変わってねぇ?
魔力が減った感じもしないしどういうことだ。スキルが発動しない?
ここはまだ15階層だぞ?スキルに制限がかかる魔物なんて、序盤に出てきていいわけねぇだろ。
くそ、もう【高揚】を使っちまったし1匹目なのに怪我してでも倒すしかなくなったじゃねぇか。
「───ふんっ!!」
回転し鋭利な刃物と化した口を、素手で受け止める。
───ッ!!
さすがに悲鳴なんかはあげねぇが、手が削れてくってのはバカみてぇな痛さだ。
地中に戻ろうとしたグラインドワームの回転が完全に止まり、それを横になぎ倒す。こいつの勢いに吹き飛ばされなかったのは【不倒】の影響か?
"なんで素手で受け止めてんだよ!"
"なんで硬化使わなかったん?"
"火力に全振りしすぎやろw"
"発動しなかったのかな?"
…………。
こうなったらヤケクソだ。
もしかすると回復薬は効かないかもしれねぇし、後で痛みを我慢することには違いねぇんだ。なら、もっと傷を負っても同じことだろ。
もう20秒は経っている。そろそろ俺の攻撃も効くはずだ。
「身体の中からぶち壊してやるよ──!」
グラインドワームの口内に入り、歯でびっしりの壁に拳を叩き込む。
何度も、何度も。
時間が経てば拳が強く硬くなってくる。傷は痛むが、歯がかける感覚、悶える様子を見るたびにそれを超える快感が押し寄せてくる。
"なんでそんなに笑えるんだよ痛えだろ"
"尊い、メロい"
"ネキが最近言葉を覚えた幼児みたいになっとる"
「楽しいなあ!虫ケラァアア!!」
はははっ!!
「なんだよお前、口の中はリザード・ブッチャーより柔けぇじゃねぇか!歯がありゃ殴られないとでも思ったか!?」
グラインドワームは体内にいる俺を仕留めようと、身体を回転させてすり潰しにかかる。
だが、もう遅すぎる。
俺を倒すのなら、体内を殴られる痛みに怯まず潰しにかかるべきだったんだ。
「もう痛くも痒くもねぇな──!」
"いや、痛てーよ"
"なんか血が出過ぎてゾッとするわ"
"強がりなんかまじなんか分かんねぇなw"
回転なんざ気にもせず殴り続けていると、残り時間を10秒も残して灰と化した。
おっ、魔石と一緒に歯が落ちている。階層主のドロップは初めてだが、あんなに数があったんだ。安そうな気がする。
そんなことしている場合じゃなかった。簡易結界を使うにしてもこんな浜辺じゃ流石に見つかるだろ。
とりあえず近くの岩場に隠れねぇと。
「はい、休憩終わり」
"早く回復しろって"
"見てるだけで痛てーよ"
"不倒って以外と便利なんじゃねーか?"
"ステータスどうなった?"
そういえばレベルの上がる感覚があったな。15階層の階層主はどれくらいレベルを上げてくれるのかね。
(ステータス)
─────────
名前:剛田 力一
レベル:16←14
体力:122/325←122/299
魔力:0/63←0/55
攻撃:117←105
敏捷:79←71
耐久:88←76
器用:63←57
知力:35←33
スキル:【高揚】【硬化】【連撃】【不倒】【耐久I】
─────────
ゴリ押しで倒すと、やっぱり知力が上がらない。完全に諦めきれない俺がいる。
新しいスキルは【耐久I】か。純粋に耐久を1.1倍にするんだが、【耐久I】とあるように、ⅡやⅢもあるレベルアップ型のスキルだ。
攻撃上がるのが来れば良かったが、まあ可もなく不可もなくって感じか。
「2レベ上がって【耐久I】が手に入ったな」
"ぐあー耐久か"
"耐久ゲットしたってことはやっぱり痛かったんじゃねw"
"攻撃I欲しかったな"
"持っておいて損はないからええやん"
まあ、俺はソロだし持っている分にはいいか。
「じゃあ次は20階層までひとっ走りな」
気になるものがない限りは、全部無視して突っ切ろう。
"手!手!"
"回復しろって"
あ、忘れてたわ。
今更だが、【高揚】でステータスを強化した時の攻撃の最大値が800オーバーってやばくね?
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