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港区の狂戦士、剛田力一  作者: つなまぐろ
16/27

[第4回]行けるとこまで/剛田力一 ①

 "きちゃー!"

 "おはよう"

 "SNSで告知してくれんのありがたいわ"


 「朝っぱらからよく来てくれたな」


 今は朝の6時なんだが、よくもまあ集まってくれるもんだ。


 本当は15階層のボスを倒すのが目標だったんだが、モチベが高すぎて行けるとこまで行くことにしたんだわ。だからこんな朝早くからの配信になっちまった。


 「ラージボアの時は攻撃手段がなかったから時間かかったけどよ、基本長くても数分で戦闘が終わるわけよ。15階層までじゃすぐに配信が終わっちまう」


 "ってことはつまり?"

 "どこまでいくのよ"


 「文字通り行けるところまで行くつもりだ」


 "長時間配信確定やな"

 "魔力ポーション何個持ってきたん?"

 "階層が下になるほど動けない10分間は怖いな"


 そう、それが問題なんだ。だからしっかり準備してきたわけで。


 「魔力ポーションは中級を2本と低級を2本、回復ポーションは低級を3本だな。」


 おかげでポーチがミチミチ言ってら。


 「それと、これだ。簡易魔物避け結界。」


 "ファーww"

 "お前それ高いだろ"

 "1個300万くらいするだろそれ"


 そう、これ1つで300万するらしい。


 ピンポン玉みたいな形で、地面に投げつけると半径3メートルくらいの魔物避け結界を展開する。30階層くらいまでの魔物には効果があるらしい。


 休憩用で使われることが多いから1時間持つんだが、俺は10分だけしか使わないしもったいないな。


 「母ちゃんが配信見てたみたいでな…。動けない間に殺されたら恥ずかしいって言われて、分けてくれたんだよ」


 "母ちゃん探索者なん?"

 "結構強い感じ?"


 「B級つってたな。ストレスを発散しにダンジョンに行く変人なんだよ」


 "だいぶ強くて草"

 "B級なら簡易結界買う金はあるわなw"


 てか、殺されたら恥ずかしいってなんだよ。昔からなんでもやってみろ精神だったけど、少しぐらい息子の心配した方がいいんじゃね?


 まあ一旦それは置いておくか。


 「そういうわけで、だ。3回は安全に【高揚(ハイボルテージ)】を使えるってことで、早速階層主を倒しに行きますか」


 "んで、ここどこ?"

 "めっちゃビーチじゃん"

 "ここって15階層?"


 そう、今いる場所は既に15階層。

 

 今日は階層主を倒す配信だから、間の階層はすっ飛ばしてきたんだよ。


 「弱い魔物とやり合ってても面白くないんだ。15階層からでもいいだろ?」


 "えぇー"

 "最高やで"

 "じれったいの嫌いだからありがたいわ"

 "もちろんだよ"

 "漢といえば海だな…"

 "楽しそうな君を見たいからね"



 

 海岸線に沿って進んでいく。


 11階層から一気にここまで来たから、レベルが少し足りていない。普通より盛られたステータスも、ここの魔物を一撃で倒すことはできない。


 「かってぇな、こいつら」


 カニと蛇が混ざったような魔物に拳を入れて10発目。ようやく殻が割れ、中身を打ち抜くことができた。


 防御力の高いモブだとは思うが、相当な硬さをしている。階層主もこのタイプだとしたら、それなりに厄介だろうな。


 「てか、今は平日の朝6時過ぎな訳だが、この配信見てる人は休みなのか?」


 "通勤中だよー"

 "今から寝る"

 "ワイは年中休みやな"

 "↑だからいつもいるのか"

 "君が配信をするから休みになったよ"


 いつも来てくれてるエセ関西弁の人はニートだったのか。それにしても、どうしてここまでネタ禁ネキから好かれているんだ?


 「他の配信者がたくさんいる中で、どうして俺の配信を見に来てくれるんだ?」


 "いっ、言わせんなよ恥ずかしい///"

 "同じ漢を目指すもの同士"

 "君は強くなるから"

 "強ぇやつの戦い方なんだよリーゼントニキは"

 "一応言うけどニキのスキルぶっ壊れてるからな?"


 ふむ、なるほど。




 「…なんだ?」

 

 ふと、足元が動いたように感じた。


 地震とは明らかに違うその感覚は、どこか自然のものとは思えない。見た目に変化はないが、何かが地中にいる。


 ───ドゴォオオオオンッ!!


 少しずつこちらに近づいて来たと思ったら、いきなり加速して地中から飛び出してきた。


 白く細長い身体で、その先端部分には全てを飲み込むかのような口がついている。長さは10メートルはあるだろう。


 「これまた気持ち悪いのが来たな。コイツが階層主で間違いないか?」


 "きっしょ!"

 "ワームってデカいとこんなにキモイのか"

 "昨日釣り針につけてたわそいつ"

 "グラインドワームだね。名前の通りだよ"


 よく見たら口から身体の奥まで、歯がびっしりと詰まっている。うわ、尻だと思ってた方にも口が付いてやがる。


 どんな生態かは知らんが、身体全体が口と言ってもいいんじゃないか?


 そうこうしている間に、グラインドワームは再び地中に潜る。少し地面が揺れたと思いきや、すぐに地上へ上がって来た。


 「遠距離攻撃があんのかよ」


 2つの口を地中から出すと、口から土の塊を飛ばしてくる。それを躱して直ぐに距離を詰めるが、その時には既に逃げられていた。


 "戦いづらそうやな"

 "グラインドって英語ですり潰すって意味らしいな"

 "地中から出てきたタイミングを狙うのが良さそうだね"


 【高揚(ハイボルテージ)】を使うにしても、地中に逃げられないようにしてからだな。


 さて、どうするか。

チャンネル登録者数:208 高評価数:9 視聴者:23



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