大忙しのダンジョン危機管理課
次回は4回目の配信です。
渋谷区探索者協会に隣接した位置に、探索者協会本部のビルがある。そこの12階、ダンジョン危機管理課の荒木は酷く憂鬱な気分になっていた。
机の上には、未処理の報告書が山積みになっている。パソコンには未読のメールが何十件と溜まり、今も増え続けている。
半年ほど前までは、何かしら起きると高ランクの探索者へ依頼を出したり、探索者協会の暗部を向かわせていた。
しかし、最近立て続けに発生しているダンジョンのイレギュラーや、ダンジョン内部で行われている裏の取引への対処が全く追いつかなくなっている。
現場との連携、周囲への報告、探索者との交渉。一つ処理している間に、三つ増えているような有様だ。
そして今日も荒木の元に報告書は届く。
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【ダンジョン異常報告書】
発生日時:2030年3月9日 14時頃
対象:川崎ダンジョン
階層:10階層
■概要
通常通り探索を行っていたパーティーが10階層へ移動した際、本来とは異なる遺跡構造を確認。
さらに進行後、11階層へ続く階段が確認できず帰還。
調査部隊を送ったところ、遺跡最奥にマンティコアと思わしき魔物と下りの階段を確認。
それにより、現在ダンジョンを封鎖している。
■被害状況
なし
■備考
報告書とともに記録映像を添付
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「はぁ?まじかよ…」
マンティコアは深層──61階層以降に見られる魔物だ。10階層にマンティコアがいるなんてことはあってはならない。
「おい!今すぐ多摩川第一ダンジョンのA級パーティーに要請しろ!暗部にも行かせて厳戒態勢で討伐、階段の先の調査をさせろ!」
近くにいた職員が慣れた手つきで端末を操作する。こいつの目のクマ以外は、とりあえずこれでいい。
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【ダンジョン異常報告書】
発生日時:2030年3月10日 23時頃
対象:六本木ダンジョン
階層:55階層
■概要
ある探索者パーティがDチューブで配信を行いながら、階層主:ガンド・ルーラーを討伐しようとしたところ異常個体に遭遇。
通常は、攻撃、耐久、速度を下げる広範囲デバフをかけてくる魔物である。しかし、異常個体のガンド・ルーラーは通常のデバフに加え、強固な身体拘束、魔力吸収が確認された。
S級探索者の派遣を求める。
■被害状況
A級パーティー「輝星」4名 死亡
■備考
状態異常の解除を得意とするヒーラーを大量に派遣して頂きたい。
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A級パーティーが全滅だと…。
ふざけるなっ!!
A級探索者が死亡するのは今年に入って何回目だ!
探索者高校とかいう安全装置のせいで、質の高い探索者が生まれてこなくなっちまったんだぞ!これ以上死なれたら困る!
ただでさえS級探索者から、忙しすぎると小言を言われているのに!
「こっちはこの報告書通り手配しろ!時間のあるやつはDチューブの配信から異常個体の能力を解析しておけ!」
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【ダンジョン異常報告書】
発生日時:2030年3月12日 12時頃
対象:中野ダンジョン
階層:4階層
■概要
スライムが通常の青色ではなく、極めて高い透明度を持つ個体へ変化している。
そのため、踏んだ探索者が転倒する事故が多発。
近くには決まって魔物がいるため、注意。
■被害状況
軽傷者多数
■備考
強さは通常のスライムと遜色なし。
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カロリー低くてよかったぜ…。
いや、初心者の階層で発生しているとなりゃ危険か。あそこは利用者が多いからな。
待てよ?中野なら探索者は多いだろうし、討伐はできないのか?なぜこっちに寄越した?
もうちっと詳しく話を聞いてみるか。
「おい」
「承知しました」
お前それ、読心術とかのスキルに目覚めてないか?
「さてさて、次は───」
港区ダンジョンのリーゼント?こんなしょうもない報告を寄越すな!適当に対処しとけ!
「はい」
まだ何も言ってねーよ。
…お前、一旦寝ろ。
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