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密会 その2

 アオイが転入して2週間。

 アオイは授業が終わった後、突然トリエラに呼び出されて、屋上へと向かっていた。


 トリエラに呼び出される理由に、見当がつかなかった。

 なんでわたしに構うんだろう?


 ようやく学校という環境に慣れ、周囲から奇異の視線を浴びることも少なくなったのだ。

 できるだけ目立たないように過ごしてきたつもりであったし、勉学もできる範囲で頑張った。成績は振るわなかったが、一夜漬けならこんなものだろうとも思っていた。

 その結果、転入初日に絡んできた連中もわたしのことを気にしなくなり、サヤカの護衛の障害もほとんど無くなったのだ。


 あとは自由になった昼休みの時間を使って避難経路や武器の配置場所、敵の潜入に使われそうな場所をあらかた探って、有事に備えるだけ——のはずだったのだ。

 担任のラーナと呼ばれていた教師に発見され、とても怒られた。作戦の内容は、たとえ教官や家族にも話すわけにはいかないので、『言えない』と言い続けたら、せっかく完成しかけていた地図を没収された。


 校長先生を始めとする学校上層部にはウッズマン大佐が先に説明をしているので問題ないとアオイは思っていたのだが、どうやら下層部の一般教員にまでは情報が入っていないらしい。(秘密作戦だから仕方ないことではある)

 結果、『自由にさせてやりなさい』と言った校長先生にあからさまに嫌そうな顔をしたラーナ教官に地図を返してもらえず、肩を下ろして教室に戻ったらクラスの人達に妙な仕草を見せられ、何が起きたのか理解できないままに呼び出しを喰らったわけだ。


 いつの間にか、待ち合わせ場所の最上階に辿り着いていた。

「……どこにいるんだろう?」

 最上階は、閉鎖されている屋上と、そこに続く階段付きの小部屋しかなかった。

 階段にはトリエラはいなかったし、屋上は閉鎖されているはずだ。

 試しに施錠されているはずの扉と壁の隙間を覗くと、鍵が外れていることに気づいた。ついでにノブを確認。ピッキングの跡は、無い。


 先日確認した時は鍵はかかっていた。つまり、何者かがトリエラに鍵を渡したという事だ。

 アオイは取り敢えず、手持ちの武器の確認をした。懐にしまっている自動拳銃。制服の右の袖口に仕込んだナイフ。スカートの下、太腿部につけられたベルトに3本ずつ付いている投げナイフ。バッグの二重底の下に仕込まれた手榴弾、ピアノ線、各種薬物、予備弾倉。


 全てあることを確認して、ゆっくりと扉を開いた。体を壁に隠して、外の様子を伺う。

 少なくとも見える範囲には敵はいない。

 奇襲に備え、バッグの底から音響手榴弾スタン・グレネードを……


「妙なことしてないで、出てきてくれない?」

 その声が、今まさに音響手榴弾スタン・グレネードのピンを外さんとしていたアオイの動きを止めた。

 左の袖口に仕込んであるホルダーに手榴弾を仕込んで、アオイは屋上に出た。


 そこには機関銃を構えた屈強な大男が沢山——なんてことはもちろんなく、トリエラが1人で佇んでいるだけだった。

「突然呼び出して、ごめん」

「……いや、大丈夫。な、何か?」


「単刀直入に言うよ、立入禁止区域に入らないで」

「……どうして?校長先生から許可は……」

「それでも」

「転入してきた日、『サヤカの力になりにきた』って言ったよね、それなのに、なんのつもり?サヤカに迷惑かけてさ」

 ——わたしが、サヤカに迷惑をかけている?

 アオイにはさっぱり意味がわからなかった。サヤカの護衛の為に動いているのはサヤカ自身も知っているはずだし、護衛の為の情報収集も学校側から許可は貰っている。そしてなにより、嫌なら自分で言えばいいじゃないかと思っていた。


「迷惑なんてかけてない。わたしはサヤカの為に……」

「それが意味わからないの‼︎」

「何も言わずに勝手にさ!自分がスパイかもしれないって言われてるの分かってないの?サヤカだって疑われてる!それが迷惑かけてるんじゃなければなんなの!?」


 アオイは本当に、トリエラの思考が理解できなかった。


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