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紡ぎ合う世界の救世主  作者: 綿時 緋沙
聖なる集い編
210/256

第189話 ドーベル家とのお茶会


 城のお茶会用の部屋で催されることになったレスティオ主催のお茶会。

 参加者はドーベル家のヴェンジャミン夫妻、デュール夫妻、ヴェンジャミンの息子でハイネルの父にあたるユーグランスとハイネル。

 そして、レスティオから名指しで指名を受けて側仕えとして同行してきたバウル・ハルヴァーニと妻のヴェルフィア、長子アゼル、末子ラグナ。

 招待状に名指しで指名されたのはドーベル家よりハルヴァーニ家の方が多く、ヴェンジャミンは真意が読み取れないままバウルに同行を命じて連れて来た。

 本来であれば使用人の為だけに馬車一台を追加するなどあり得ないと思うものの、聖騎士直々の招待と思えば断れないのが聖を関する国の民であると自分をなんとか納得させていた。


 主催であるレスティオの隣には聖騎士に関わることを中心的に担うロデリオが座り、二人の後ろには側近たちが並ぶ。

 レスティオの護衛は当然直属の護衛騎士となったクォート、シルヴァ、ジェウが顔を揃えた。


「本日は突然の招待にも関わらず、ご足労頂き感謝します」

「いえ!レスティオ様に御声掛け頂けるなど光栄の極みにございます」


 まずは初対面の者たちと挨拶を交わし、お茶を勧める。

 バウルたちにもヴェンジャミンたちの後ろに席を用意してお茶と菓子を振る舞っている。

 レスティオが持ち帰った茶葉で淹れられたお茶はルカリオのおかげで香りも味わいも良い出来だった。

 菓子として用意したのはゾフィー帝国のクッキーと、レスティオが厨房で練習がてら焼いたフィグと茶葉のケーキ。


「迎年祭の後、暫くお姿が見られなくなっていたと噂に聞き、身を案じていたのですよ」

「あぁ、暫く遠征が続いていまして。実は、そこで色々とあって、話したいことや渡さなければならない物を預かってきたので、こうして招かせて頂く運びとなりました」

「ほぉ、それは一体……もしや、プレア様に纏わることでしょうか」


 ヴェンジャミンの視線がレスティオの奥、ラハトが控える側に置かれた布に覆われたなにかへと向けられる。

 ドーベル家と言えばプレア・レドランドだろうという発想にレスティオは苦笑した。


「ある意味では。その前に、改めて、皆様にご挨拶申し上げたく存じます」

「え?」


 入室した時から続く丁寧な姿勢と物言いには違和感を感じていたヴェンジャミンは身構えた。


「もしやと思いながら胸に秘めておりましたが、私の祖母の名はヴィヴィアン・ドーベルと言います。先日、ドーベル家の血筋の方に違いないと確証が得られました」

「なっ、なんと……」

「ヴィー姉様は先の召喚の儀で亡くなったはずではっ!?」

「ヴェンジャミン大伯父様、デュール大叔父様。召喚の儀とは、異世界とこの世界を繋ぎ、人を招く行為。ならば、この世界から異世界へと人が渡ることも神の意志があれば叶うことだったのです」

 

 そう言って、ラハトに声を掛け、奥に置いていた物の中からハンカチを受け取る。

 そして、そのハンカチの刺繍が見えるようにヴェンジャミンとデュールに差し出した。


「先日、ヴィアンナ聖王国の神殿に招かれた際、神域より私の祖国へと一時の帰還が叶いました。その際に御祖母様より預かったものです。信じて頂けないでしょうか?」

「そ、そんな……信じますとも!なんと、我がドーベル家の者が聖騎士様の祖母となろうとは……」

「聖女の血筋と語っては参りましたが、聖騎士様とのご縁、たいっへん、嬉しく思います」


 ヴェンジャミンとデュールが身を乗り出して喜ぶ中、ユーグランスは開いた口が塞がらないまま、言葉を無くしていた。ハイネルはそんな父の姿に恥ずかしさを感じて肩に手を置いていたが、その手に気づく気配もなかった。

 あえて触れずに置こうと決めて、レスティオはヴィヴィアンが召喚の儀の後でどのような人生を過ごし、今どうしているのか語り聞かせた。

 同時に、ロジエーナ・カーストンが従兄弟として転生し、ヴィヴィアンを支えながらレスティオと共に成長してきた話も聞かせ、カーストン家とも深い仲であることを伝える。

 ヴェンジャミンとデュールは一言も聞き逃すまいと真剣に頷きながら話を聞き、時折、感嘆の声を上げた。


「話が随分長くなってしまいました。どうしても、御祖母様の無事をお伝えしたくて……疲れさせてしまったでしょうか」

「いいえっ!むしろ、妹が立派に生きているのだとお聞かせいただけて胸がいっぱいです」

「これからは我々が、ヴィー姉様に代わりレスティオ様をお支えしたく存じます」

「様はお止めください。少なくとも、私的な場では親族として接して頂けたらと思います」


 言いながらレスティオは手を挙げて、ラハトにトレーごと用意していた物を持って来させた。


「時間もあまりありませんので、御祖母様から預かった物をお渡しさせてください」

「は、はいっ!」


 レスティオが立ち上がるとヴェンジャミンも立ち上がった。

 立つか迷う者たちに順番にと告げてレスティオは箱と手紙を手に取った。


「こちらはヴェンジャミン大伯父様へ。私の祖国エリシオール合衆国では時計の細工技術が発展しており、動き出したら壊すまで永遠に止まることがありません。故に、永遠に時が続いて欲しい時、例えば子が生まれた時や恋人と結ばれた時などによく時計が贈られます」

 

 箱の蓋を開け、こちらの世界ではあまり見ないだろう懐中時計の蓋を開けて見せる。

 蓋の裏には『敬愛するヴェンジャミン兄様へ。身体と家族を大事にお過ごしください』とメッセージが刻まれている。


「ほぉ……」

「遠く離れていても、御祖母様もまた同じ時を刻み続けています。良ければ、大事に片付けたり飾るのではなく、ご自身の側に持っていて頂ければと思います」


 ちゃんと時計としても時刻が合っているから使えるのだと、部屋に飾られた時計を示して主張する。

 数字の形は違えど、針が示す位置が同じと分かれば関連付けて認識することは難しくないはずだ。


「有難く受け取らせて頂きます」


 ヴェンジャミンに渡すと、続けてデュールにも同じように懐中時計の入った箱と手紙を渡す。

 細かいドーベル家の構成を知らなかったので、後の者にはヴィヴィアンが持たせてくれたレシピ集をもとに作らせたのだとラッピングしたマカロンを渡す。

 

「それから、バウル」

「はっ、はいっ!」


 微笑ましそうな表情でただ見守っていたバウルは名前を呼ばれて緊張した様子で立ち上がり前に出た。


「御祖母様から手紙を預かっていますので、後ほどお読みください」

「へ?私にもですか……頂戴いたします」


 困惑気味に手紙を受け取り戻るバウルをヴェルフィアたち家族が心配そうに見つめる。


「それから、ヴェルフィア様」

「ぇ、……」

「なにをしている。早く行きなさい」

 

 突然様付きで呼ばれたヴェルフィアは戸惑った顔でレスティオを見つめた。

 ただの使用人であるバウルが呼び捨てされるのは当然のことだが、それを言うならばヴェルフィアも同様のはず。

 主人の急き立てにバウルも急かすが、そのことにすら困惑した顔で立ち上がる。シルヴァも側近としてのポーカーフェイスを忘れて家族に視線を送る。


「御祖母様から、ヴェルフィア様の名前を聞きました。ご自身の出自は御存じですか?」

「わ、私の出自にございますか?私は、そこにおりますデュールとレリスの娘ですが……?」


 ヴェルフィアが視線を両親に向けると、二人は顔を見合わせた。


「デュール大叔父様。私からお話させて頂いてもよろしいでしょうか」

「はい。構いません。ヴェルフィア、よく聞きなさい」

 

 父の真剣な眼差しにヴェルフィアは不安そうに後退る。

 その背を駆け付けたバウルが支えるのを見て、レスティオは手紙と共に懐中時計の入った箱を手に取った。


「御祖母様が召喚の儀に参加することになったのは24歳の時のことでした。未婚の人でしたが、その時、既に一人の子を産んでいたそうです」

「それが、私、ですか?」

「はい。貴方の父親のことだけは、誰にも決して語らないように言われているのでお話しできません。ですが、ヴェルフィア様は御祖母様の娘であり、私の伯母に間違いないと聞いております」


 デュールとヴェンジャミンが頷き、ヴェルフィアは驚きに口元を両手で覆った。


「この世界において、ヴェルフィア伯母様が最も私の血縁者として近い御方なのです。今後は是非、ご家族共々親交を深めさせていただく思います」

「わ、私は、魔力もなく使用人の家に嫁いだ身です。聖騎士様の血縁者だなんて、そんな、恐れ多いこと……それに父は語れぬような御人なのでしょう……?」

「ご自身を卑下なさらないでください。御祖母様は私の御祖父様よりも、今なお貴女の父である御方が忘れられないようで、その魅力を延々語り聞かせてくれたほどです。話せないことが本当に残念でなりません」

「はぁ……」


 思い出してくすくすと笑うレスティオの微笑みにヴェルフィアは思わず見惚れ、頬に手を当てて視線を逸らした。


「私が、貴方様の伯母……ですか……」

「はい。こちらは御祖母様が貴女を想って用意したものです。どうかお受け取り下さい」

「……まだ、気持ちの整理がつきませんが、お心遣いに感謝して頂戴いたします」


 他の誰よりも分厚い封筒の感触を確かめながら、ヴェルフィアは受け取った手紙と懐中時計を胸に抱きしめた。


「そして、残念ながら手紙を記してもらえるほど私は従兄弟たちを知らなかったのですが、愛しいヴェルフィアの子たちへと時計を預かっています」


 シルヴァの家族構成は知っていたから数だけは用意出来た。

 アゼルとラグスに順に時計を渡し、レスティオは悪戯な笑顔でシルヴァへと向き直る。


「ぁ、言っておくけれど、お前を護衛騎士に選んだのは迎年祭より前だから」

「は、はいっ!」

「従兄弟だから贔屓されたという者がいるかもしれないけれど、それは聞き流して、護衛騎士として務めて欲しい。ただ、時には従兄弟として気兼ねなく共に過ごせたら嬉しい」

「畏まりました。レスティオ様の護衛騎士として、従兄弟として今後ともよろしくお願い致します」

 

 シルヴァが受け取ったところで、バウルたちは受け取った物を大事に手にして着席した。

 レスティオは、これで目的は達したと終始黙っていたロデリオに目を向けて頷き合った。


「では最後に私から其方らに忠告させてもらう」


 ロデリオが話し始めると皆緩んでいた表情を引き締めて注目する。

 レスティオは隣に座り直して、ゆったりとお茶を口にした。


「貴殿らがレスティオの血縁者であることは紛れもない事実である。レスティオが望むならば血縁者として親交を深めることは構わない。しかし、今後はレスティオに近づくべく貴殿らに接触してくる不逞の輩が出てこないとも限らない。よって、公表から暫くの間、ドーベルおよびハルヴァーニに関わる交渉や縁談は皇室が預からせてもらう」

「その判断も止む得ないことでしょう。我らも気を引き締め、細心の注意を払う所存ではございますが、皇室が後ろ盾となって下さるならば心強い限りでございます」

「うむ。些末な事であろうと逐次城へ報告を挙げるように。必要と判断すれば、こちらから文官や護衛を派遣させてもらう」


 皇室の仕事が増えたと恨み言を副音声に感じながら、レスティオはハイネルの髪飾りを気にしてそわそわしているユーグランスに目を向けた。


「ユーグランス殿。いかがなさいましたか?」

「えっ!?そ、その……ハイネル。その髪飾りは、縁談に関わることではないだろうな?筆頭護衛魔術師とはいえ、早速、皇族の方の御手を煩わせるなど……」


 青い顔をしたユーグランスにハイネルは呆れた顔をした。

 ハイネルのことは既にレスティオ側には周知されていることであり、ロデリオの後ろでは皇族の側近仲間たちが必死に表情を繕っている。

 その様子を一睨みして姿勢を正すと、ハイネルはロデリオに向き直った。


「レスティオ様、ロデリオ殿下。この場を借りて私から皆様にご報告がございます。よろしいでしょうか?」


 ロデリオはレスティオに判断を委ね、レスティオは当然良いと頷く。むしろ、髪飾りを見れば明らかとはいえ、ロゼアンとの話し合いの結果に興味がない訳なかった。

 礼を言うと、ハイネルは父であるユーグランスの肩に手を置いて宥め、凛々しい表情で宣言した。


「私、ハイネル・ドーベルは、カーストン家当主となられるロゼアンと婚約いたします」

「なっ、ロゼアンっ!?家に逆らい、お前との婚約を破棄した者ではないかっ!」

 

 よりによってと驚くユーグランスに、レスティオは表情が緩みそうになるのを堪える。

 

「待て、ユーグランス。今、ハイネルはロゼアンがカーストン家当主になると言ったか?」

「はい、御祖父様。ロゼアンはカーストン家に伝わる旧アザムガイトの聖女の魔力を色濃く継いでおり、その魔力は当主に相応しきものであると認められました。故に、帝国軍総帥エルリック・カーストンの下に養子に入るのだそうです」

「それは紛れもない事実である。召喚の儀を経てレスティオの従兄弟として転生しその成長を支えたロジエーナ・カーストンに敬意を表して、明後日、聖騎士および皇族立会いの下、謁見の間にてカーストン家当主の就任式を執り行うことが決まった」


 明後日と聞いてハイネルの表情がぴくりと動いた。

 その動きを見て、先程決まったのだ、とロデリオは付け加えた。

 

「皇室としては、共に聖なる血を継ぐ者として両家の縁が結ばれることを喜ばしく思う。カーストン家からはドーベル家へ正式な婚約の申入れをするとも連絡を受けている。しかし、ドーベル家は反対か?」

「いいえっ!私も喜ばしきことと思います。厄災の最中、聖なる血を継ぐ両家の縁は民衆からも祝福されることでしょう」

「しかし、カーストン家当主ということは、ハイネルは嫁ぐということ。ドーベル家の跡継ぎはどうします!?」

 

 困惑の中にいるらしいユーグランスにヴェンジャミンもまた呆れた目を向けて首を横に振る。


「何を言う。跡継ぎ候補ならばヴェルフィアの子らもいる。シルヴァは魔力の素質がないと思いきや、聖なる魔力に似た魔力をしているというではないか。我らが事ではなくハイネルの事を考えよ」

「そうだとも。ロゼアンと言えば、レスティオ様の庇護下で目覚ましく成長し、数々の功績を挙げていることが迎年祭で明らかとなったではないか。魔術学院でも熱心に研究に励む姿を見ている身としては、実に良縁に恵まれたと思うぞ」

「ぉ、お二人が、そのように仰るのならば……異論はありません」


 ドーベル家の二大権力の後押しに負けるようにユーグランスは項垂れた。

 父としては不安があるのも無理はないとクォートやアズルは同情の目を向けた。


「ならば、ドーベル家に就任式の招待状を送ることとしよう。ハイネル、当日はクラディナの筆頭護衛魔術師ではなく、ロゼアンの婚約者として最前列に立て。衣装は、燃えるように紅いドレスが相応しいだろう」

「畏まりました」

「それから、カーストン家はハイネルが望むならば、近々行われる殿下の婚姻の儀に合わせて儀式を執り行うのもやぶさかではないと伺っております」


 ローマンがロデリオの後ろでにこやかに口添えすると、ハイネルは再び表情をぴくりと揺らす。

 

「……既に枠はないのではなかったですか?」

「第三部は聖騎士様の推薦枠でしたので、余裕がありました」

 

 レスティオの不在が続いたこともあって、第二部を予定していた組を第三部に下げる調整すら行っているところ。

 枠がないからと婚姻の儀はまだ先と思っていたハイネルは短く唸って意を決して顔を上げた。


「わかりました。では、その方向でお願いします」

「ハイネルっ!?まだ、ラーナラにも話していないのに!?」

「お母様が戻り次第きちんとお話しますともっ!」


 レスティオが、母?と呟くとベイルートが腰を折って、ラビ王国の出迎えの使者としてガナルに出ているのだと囁いた。

 彼女なら否とは言うまいとヴェンジャミンは緩く構えて婚姻の儀への参加を認めた。



 



 ハイネル共々ゲストを見送り、ロデリオは姿勢を崩してアズルにお茶のお代わりを用意するよう指示した。


「シルヴァには言っていなかったんだな」

「ん?だって、折角なら驚かせたいと思って」


 背もたれに頬杖をついて笑みを見せたレスティオにシルヴァは頬を掻いた。


「ドーベル家の方が来ると聞いていたのに、ハルヴァーニの家族まで揃っていたことにも驚いたくらいです。光栄なことなのですが、まだ実感は湧きません」

「そういうなよ。俺は兄が出来たみたいで素直に嬉しいんだから」

「ほぉ、兄……」

「シルヴァの方が上なのですか、なるほど」


 敏感に反応したロデリオとローマンにレスティオは口元を押さえて背もたれに項垂れた。

 シルヴァはいくつかと問われて4月で27歳になりましたと素直に答える。

 すると、自ずとレスティオがこれまで伏せていた年齢がそれ以下とその場にいた者たちは理解した。


「まぁ、見た目通りの年齢だったわけだ」

「年齢の計算基準がこの世界と違うことがわかったんだよ。元々はシルヴァより上のはずだったんだ」

「生まれた日以外にどんな基準があるんだ?」 

「内緒」

「ふーん。まぁ、年齢を理由にお前を下に見るような奴はもういないんだ。公表するならしてしまえばいいものを。そこまで隠し通したいものなのか?」


 配ったマカロンの余りをお茶請けにアズルが淹れてくれたお茶を飲む。

 ロデリオの言い分にレスティオは少し考えた。


「まぁ、それはそうなのだけど」

「基準が違うとはいえ、精々26歳というところだろ?」


 多少ずれていようが1歳以上開くことはあり得ないだろうという見解に、レスティオはむぅっと口先をとがらせていく。

 

「24」

「……なにをどうしたら3歳も差が出る計算になるんだ。時間も月日も同じじゃなかったのか」

「色々とあるんだよ俺の世界には。向こうの世界の戸籍上は27歳だし」

「いずれにせよ俺にとっては年下だな」

 

 強気に笑うロデリオに「頼りにしてるよ」と呟いてお茶を飲み干した。

 

「誕生日もついでに公表したらどうだ。お前と関係があると分かった者たちは喜んで祝いの席を設けると思うぞ」

「今年はもう過ぎたし、向こうで十分祝ってもらったから。その内な」

「ふむ。今年は、か。ならば、迎年祭の前には忘れず尋ねるようにしよう。ローマン」

「はい。来年は必ず祝いの席を設けましょう」

 

 教えるなんて言っていないのに。

 笑い合う光景に表情を綻ばせて、レスティオは解散しようと席を立った。

 

 

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