第27話 公爵令嬢は大興奮
(あああああ!! カッコ良かったですわ~!!)
クラリッサはベッドで悶えていた。
森のお屋敷から戻ってきて、夕食も終えて、あとは寝るだけ。
いや、寝るにはまだ早い時間帯。
自室にはマリアとヴィヴィアンが控えている。
「ヴィヴィアン!! わたくしのアリスさんはとっても素敵でしょう?」
「……左様で」
クラリッサは今日の出来事を振り返る。
* * *
いつまで経っても戻らないアリスさんが気になって、クラリッサは飛び出した。
付いていたのがマリアなら力が強いこともあり、振り切ることは出来なかっただろう。ヴィヴィアンがまだクラリッサに慣れていない証拠でもある。
(あ、いましたわ……)
裏門近くで、アリスさんは小さな子供と話していた。
「で、何をしに来たって?」
「本のつづきがよみたくて」
「……どうやって本を読むんだ?」
「? ……こうページをひらいて……」
「それは分かる。だが、書庫まではドアがあるだろう?」
「しょこ?」
子供は『書庫』が分からないのか、首を傾げている。
「本があるところだ」
「あ……えっと、ニコがカギをあけてくれるんだ」
「ニコ?」
アリスさんが問えば、子供は騎士の隣に立っていたもう一人の子供を示す。
「……人の家の鍵は勝手に開けてはいけない」
「……そうなの?」
「そうだ」
「……ごめんなさい。でもニコはわるくないんだ。ぼくが本をよみたいって言ったから」
「それでもダメだ。ニコはきっと知っている」
「……ごめんなさい」
ニコではなくその子が謝るので、クラリッサとしては許してあげたいと思ってしまう。
「来い」
そう言うと、アリスさんは子供を連れてお屋敷の方へと歩いていく。
「おい!!」
もう一人いた大きな子供が声をあげ、ニコも慌てたようにアリスさんたちの後をついて行こうとするが、騎士とロビンが二人を押さえた。
クラリッサはもちろん、アリスさんを追いかけた。
* * *
ベッドでクッションを抱えて、クラリッサはゴロゴロした。
「それでね……書庫でルカが読みたがっていた本を一緒に探して」
「……ええ」
「次に来るときはきちんと騎士に言って許可を貰えって」
「甘くないですか?」
マリアが口を挟んだので、クラリッサは睨んだ。
「優しいと言ってくれないかしら? それに、鍵を開けたニコには注意したし、態度の悪いガイにも『こんな危険なことはするな。悪事を働けば突き出されても文句は言えない』って怒ってたわ!!」
その時のアリスさんのカッコよさときたら、クラリッサはうっとりする。
ガイ、ルカ、ニコの三人に厳しく接しつつも、彼らが正面から来るのであれば、受け入れ、本を読ませるとまで言ったのだ。
「アリスさんは、厳しくて優しいのです」
出会った頃を思い出す。
クラリッサにもとても厳しくて、それでいて優しかった。
「それが、アリスさんの魅力ですの!!」
直接の触れ合いは確かにドキドキするけれど。
アリスさんがアリスさんであればあるほど、キュンキュンさせられるんだと知った。




