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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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99/101

99 規格外

「カミナ、流星群は使ってみたのか?」

「使ってないよ。多分200ぐらいじゃ強すぎる魔法だと思う」


 翌日、ダンジョンから戻ってきたカミナに気になって聞いてしまう。

 使ってないのか。早く効果が知りたい。


「詠唱も結構長いんだよね。だからパーティじゃないと使いづらいかな」


 詠唱の間は他の者が敵を引き付けなければならないのか。

 ただその分強力な魔法が期待出来そう。


 あまり動かない敵、例えば道後タワーの100中ボス、オクトレイとかに使えばどうだろうか?

 あいつは圧殺に弱かったし、隕石なら火の効果もありそうだ。

 標的もでかいし相性良さそうな気がするなぁ。


 まあ今はリハビリが優先か。あまり考えを先走らせてカミナを焦らせてはいけない。

 気になるけど後の楽しみと考えよう。


「それよりGODもダンジョンに行ってきたら?」

「いや、今日はやめておくよ。昨日頑張りすぎたのかどうもやる気が出ない」

「ええ?具合悪い訳じゃないよね?」


 そういう訳じゃない。ただ燃え尽きちゃったというか。

 今回は復活にちょっと時間を要しそう。

 ホゲーの心配もあるし、気持ちが乗らないというのもある。


「体力が戻っても気力が戻らないというか、年取るとそういうのがあるんだよ」

「お医者さんに行く?」


 大丈夫だよ、病気とかではないんだ。

 強敵を相手に精神がすり減ってしまったのかな。

 ちょっと休みをはさめば戻るよ。



 ----------------



 その後、結局計3日休んだ。カミナは毎日ノルマをこなしてる。

 今日は金曜日か、明日はカミナに付き合う予定だし、今日は行っておこうかな。

 気力もだいぶ戻ってきた。


 ホゲーはまだ音沙汰が無い。

 今どういう状況なのだろう?声をかけてみたいが、休んでるならそっとしておいた方が良い気もするし…

 そもそも回復にどれくらい時間がかかるものなのだろう?

 こういうことは初めてだから、勝手が解らないな。


 回復の経過を知りたいが、催促してる気分にもなる。

 今はホゲーを頼らずに出来る事をやろう。



「そういう訳で、また来ちゃった」


 道後800ダンジョンボス不死王。

 ホゲー無しで倒せるのお前しか思いつかなかったんだよな。

 最近は本当にホゲーにお世話になっていたことを実感した。


「ソロだと絶対防御でタゲ取ってもらえないからその分難しくはなるんだけどね」


 そうは言っても手慣れた相手、3分で終了。

 今日もありがとう、不死王。


 他に倒せるとしたら鵺くらいなんだけど、今は心配事があるしな…

 鵺に付け込まれるような気もする、やめておくか。


「ただいま」

「早かったね」

「不死王だけ倒してきた」


 物足りない気もするけど今日はもういいや。

 不死王で一応レベルは一つ上がった。


「カミナはレベルいくつになった?」

「まだ792だよ、3つしか戻ってない。GODは今いくつなの?」

「俺は878だな」

「え?随分上がってない?」


 うん、なんだかんだソロでオクトレイ連戦とティラノモドキ討伐で結構上がった。

 その前もガルーダ連戦してたからな、こっちはパーティでだけど。


「ミオコ達は今いくつなんだろ?」

「解んないけど今年中には900行けそうって言ってたよ」


 ほう、頑張ってるな。

 奥飛騨のタワーで会って以来会ってないけど元気でやっているようだ。


「ふう、私も早くリハビリを終えて前線に復帰したい」


 やっぱ焦ってるね。置いてかれるとそうなるよな。

 俺はもっとゆっくりした方が良かったかな。

 いや、それだと流星群GETは無かったと思うし。


「大丈夫、流星群はあっという間にレベルを追いつける魔法な気がするぞ?」

「あはは、そうだと嬉しいけど」


 希望的観測すぎたかな。

 取りあえず明日どこかで使ってみないか?

 300のダンジョンボスでもいいし、相性考えて400、500に行ってもいい。

 どうせチョイスで一気にボスまで飛べるんだ。どこでも連れてってあげるよ。



 ---------------



「あ・か・て・ん・回避!!」

「いえー!」


 熱海ダンジョン前広場


 期末テストが終わり、冬休みが近づいてくる。

 精霊もいないし大してレベルも上がらないのでテスト勉強に力を入れたら見事赤点回避、やればできる子あたし達。

 これで冬休みはダンジョン三昧だね。


「世間じゃ奥飛騨タワーだのサイコロがどうだの言うとりますが」

「どしたのエレナ?」

「おじ様、子供生まれてから全然来ないよね。ウチら捨てられたのかな?」

「子育てが忙しいんでしょ?」


 そう思って遠慮してRINEも送ってない。

 久しぶりに送ってみようかな。エレナが寂しがってるよ。


「呼んだか?」

「ええ?すぐ来た」

「おじ様~捨てないで~」


 カミナが100層行くまでもうちょっと時間があるからな。

 お前らは学校半ドンか?最近半ドンって言わないか。


「テスト終わったから短縮授業だね」

「赤ちゃん連れてきてくれれば良かったのに」

「寒いからな。写真で我慢してくれ」


 可愛いだろ?可愛すぎるだろ?世界一可愛いんだよ。


「親ばかっす」

「でも本当に可愛いね」


 名前は楓だ。暖かくなったら連れてくるから遊んでやってくれ。

 その頃にはクオンも戻って来てるだろ?


「あ、そういえば遅くなったけど赤ちゃんのおもちゃっす。スキンケアのお礼っす」

「おお、お前達もこんなことが出来るようになったんだな」

「他と被るのが嫌だったからちょっと変わったものにしたんだけど…」


 ほうほう、確かにガラガラがいくつもあってもしょうがないもんな。

 でも気持ちだけでも嬉しいものなんだぞ?

 で、これはなんなの?結構重いけど。


「ス〇ッチじゃねーか、赤ちゃんにこんなの早すぎるよ」

「おじ様、ス〇ッチ2っす」

「解んないけど高いんじゃないのか?こんなに良いものを…」

「お世話になってる分に比べたら安いもんだよ」


 そうか?ありがたく頂くけどさ。

 子育ての合間の俺の暇つぶしになりそうだな。そういう意味ではありがたい。


「あ、そういえば聞きたかったんだけどどうして髪が生えたの?」

「うーん」

「言えない感じっすか?うちらはブロンズダンジョンが関係してる物と」


 おお鋭いな。でも言って良いものなのか。

 こいつらは信用できるやつらだと思ってるけどさ。


「ぶっちゃけ胸大きくしたいんす」

「そういうのはまだ無い」

「今後はあるかもしれないって事?」

「何とも言えんな、でもあってもおかしくない」


 錬金術の続き次第だ。まだ何があるのか解ってない。

 期待しすぎるなよ?


「今後おそらくそのうち情報は出てくるとは思うんだ。でも悪用を恐れて今の段階ではどこまで発表して良いものなのか判断がつかないんだよ」

「そうなんだ?」

「思ってたより深刻な感じっすね」


 ああ、使う人次第で繁栄にも破滅にも繋がる。

 お前達も知りたいとは思うが今は我慢してほしい。


「ウチが巨乳になると破滅に繋がるなんて」

「うん、そんな感じで勘違いしててよ」

「エレナの胸に未来はないんだね」


 エレナご立腹だけど平和だな。

 この平和が脅かされるかもしれないほどの強力なスキル、錬金術。

 愛する我が子の為にもこの平和を守りたい。



 ------------------



「むう、ピー〇姫うざいなぁ」

「カミナ、お前がはまってどうするんだ」


 何そのゲーム、マ〇カー?

 画面の中がごちゃごちゃして良くわからん。

 ここでも歳を実感することとなる。


「GODは子供の頃ゲームやらなかったの?」

「やったよ、でも高校の時にダンジョンが誕生してそっちにハマって行った」


 息子が小さい頃にも携帯ゲーム機買ってやったけど、画面が小さすぎて何が面白いのか解んなかったな。

 もうとっくに興味を失っていたのだろう。


「小さい子対象のゲームとかあるのかな?」

「あるだろうけどさすがにゼロ歳児用は無いんじゃない?」


 コントローラー持ってもしゃぶるだけだろうしな。

 何でも口の中に入れるから気を付けてやらないと。


「もう、〇ラーずるくない?!」

「カミナ、楓が怖がるからカリカリするならやめた方が良いんじゃないか?」

「うう、悔しいけど楽しい」


 ほどほどにな?明日も潜るんだろ?トモカも来るし。

 でも闘争心が強いのはさすがは冒険者なのかな。

 明日の敵にぶつけてやろうぜ。



 -------------



 翌日、カミナと一緒に300層ダンジョンを制覇する。

 7時間かかったけど今回は息切れしなかったな。リハビリは順調なようだ。


「これだけ長時間動けるようになればかなり戻ってきたと言えるんじゃないかな」

「そうだね、でも敵のレベルが高くなれば疲れも早くなるだろうし…」


 まだまだ上を目指す姿勢だ。全盛期まで戻すとなるともうちょっとかかるだろうな。

 今後は300でリハビリするのか?そろそろミオコ達と合流を考えても良いかもしれないぞ。


「そうだね、でもレベルをもうちょっと上げたい」


 本日1つ戻ってやっと793、せめて妊娠前の800まだ戻したいらしい。

 じゃあ明日はレベル上げの日にするか?

 ホゲーは今いないけど、工夫次第でレベルをいくつか上げられると思うぞ。



 翌日


「また来たよ」


 毎度おなじみ不死王さん、今日も俺達に経験値をくれる良いやつだ。

 3分で討伐、後でトモカに道後プリンでも買っていってやるか。


「さて、タワーの100層空いてるかな?」

「え?中ボス行く気なの?」

「推測でしかないんだけど、流星群と相性良いと思ってる」


 あいつはあんまり動かない、カミナには少し離れた場所から魔法を撃たせ触手を近づけさせなければ良い。

 その役割は俺がやる。なので安心して詠唱出来ると思う。


「まだ流星群使ってないんでしょ?駄目ならすぐ逃げるのお試し討伐してみないか?」

「…GODは行けると思ってそうだね。じゃあ信じる」


 おお、快諾とは思ってなかったな。

 自分が思ってる以上にカミナは俺への信頼が厚い。


 まずは99階へ、ここから100の階段までカミナを連れてくのが大変だな


「バク子、なるべく敵と遭遇しないルートで頼む」

『はい』


 全く遭遇しないのは無理だけど、敵が後ろ向いて奇襲できるようなルートをバク子が示してくれる。

 頼りになるやつだ。5分ほどで階段の前へ。


「順番待ちが一組いるな。あれ?」

「あ~おじさんじゃないですか~」


 綾元さんパーティだった。彼女達はオクトレイを一度倒しているはずだが、おそらくサイコロ目当てだろう。

 エアーコンプレッサーを3台に増台して挑戦か。相変わらずだ。

 俺が抜けた分の火力を物量で補っている。


「サイコロ一つ出たんですよ~」

「おお、おめでとう。すでに何回かやってんだな」


 たまに失敗するけど何度か討伐に成功したらしい。

 錬金術は出てないって、やっぱ超レアなのかな。


「そちらは二人で挑戦ですか~?」

「試したいことがあってね。倒せるかは解らないんだけど」

「ふ~ん」


 うーん、怪しまれてるな。この人情報にはどん欲だからな。

 まあでも流星群の事はアンアンにも情報提供したし言っていいか。


「流星群取ったのおじさんだったんですか~?」

「まだ未使用なんだけどね」

「気になりますね~どんな魔法か見せてもらえませんか~?」

「カミナ、こんなこと言ってるけど」

「無駄打ちはしたくないかな。MP相当使いそうだし」


 だよな、お試しだけど、討伐できるならしておきたいからね。

 あ、順番来たみたいだぞ。前のパーティが逃げてきた。失敗したのか。


「うう、先にどうですか~?私達は邪魔にならないよう階段あたりで見てますんで~」

「そこまでして見たいの?」


 カミナ、こんなこと言ってるけど。

 俺としては失敗したらかっこ悪いから見られるのあんまり…


 カミナが髪をかき上げなびかせる。

 戦いに集中してる、戻ってきたのか?気持ちが全盛期の頃に。


「見たければお好きにどうぞ」


 カミナが颯爽と階段を上っていく、かっこいいな。

 おっと、俺も行かなければ。



 床に擬態しているモンスター、オクトレイ。

 踏まない限りは何もしてこない。カミナ、開幕一発いっておくか?


 離れた位置からカミナの詠唱が始まる。

 階段には綾元さんたち、覗きの人みたいな見かただな。

 どれぐらいの効果なんだろうな?俺もワクワクする。

 長い長い詠唱の後、カミナの目が見開かれた。


「流星群!!」


 天井近くに無数の星影が浮かび上がってくる。

 一つ一つがどんどん大きくなり急降下を始める。

 うなりをあげながらオクトレイの体に散弾していく。


「うおおおお!!衝撃もすげえ!!まるで爆風だ!!」


 オクトレイの体が飛び散る、これはすげえ、かなりダメージ与えてないか?

 オクトレイの体が3割くらい飛び散った印象だ。

 だがドロップは出てないし、ダウンもしてない。触手がこっちに伸びてくる。


「GOD!二発目行くから触手を近づけさせないで!」

「お、おう!」


 カミナがMPポーション飲みながら詠唱に入る。

 俺はカミナへ向かう触手を切り裂き近づけさせない。

 俺に向かってくる触手は宙返りで絡ませる。

 余裕があったらレーヴァテインに持ち替え、中央の弱点を攻撃。

 獄炎が更にオクトレイを苦しめてくれる。


 まだか?いつ頃来る?カミナの動きにも注視しないと。

 流星群に巻き込まれたら俺もただでは済まない。

 一度見て解った、あれは規格外の魔法だ。


 カミナに向かう触手が増えてきた、敵にも防衛本能があるのだろう。

 カミナが危険だと本能で感じ取り、排除しようとしてくる。

 邪魔はさせない、カミナの目が見開かれた。


「流星群!!!」


 無数の流星がオクトレイの体に炸裂する。また体が小さくなった。

 弱弱しい、何か歳を取ったような姿に見える。

 カミナがもう一度詠唱を始める。


「カミナ、もういいよ。あともうちょっとでいけそうだ」


 凄まじすぎて見てられない。武士の情けだ、俺がとどめを刺すよ。



 ---------------



「す、凄かった~」

「流星群取りに行ってきなよ、奥飛騨タワー100中ボスの弱点は喉、氷で行くといいぞ」

「簡単に言いますけどね~」


 うん、俺は当分行かない。

 今はとてもじゃないが勝てる気がしない。


「まあコンプレッサー戦法も悪くないと思うよ?」

「変な目で見られるんですよ~」


 そりゃそうだろう、うーん、サイコロも本も無いな。

 まあカミナはレベル上がったみたいだし今日はそれで満足するか。


 じゃあ俺達は帰るよ。あ、カミナは一応101に行っとくか?

 奥飛騨では失敗したからな。忘れず階層覚えをしておこう。

 それじゃあなー。


 101階層 セーフティエリア


「ねえGOD、あのお姉さん巨乳だった」

「ん?カミナも巨乳じゃないか」

「私よりかなり大きかったよ?」


 …だからどうだと言うのだろう。

 あんなに牛みたいに大きくてもしょうがないと思うが。


「つーん、浮気だ」

「………」


 せっかく常盤さんのお陰で冤罪が減ったのに。

 やっぱあの巨乳はトラブルメーカーだ。

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