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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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93/101

93 レーヴァテイン

 その後、育成でフェンリルを3回倒し、王女のレベルは96になった。

 他の子はバラバラ、相変わらず欠員は多い。


「もう一回で終わりそう?」

「ああ、終わるだろうね」


 立ち回りは教えてもらってるのか?

 全然やってないって。取り合えずレベル100になってから始めるらしい。

 今はステータスが高いだけの戦い方を知らない冒険者だ。

 スキルも覚えているだろうけどレベル1、バランスの悪い冒険者。


「リターン使わせてくれない?」

「いいけどリターンは成長しないぞ?」


 ダンジョンから瞬時に脱出する事が出来るリターン、この魔法にレベルは存在しない。

 王女も手持ち無沙汰で何かしたいんだろうね。

 俺と貴族の子達をリターンで運んでくれた。


「ふう、もっとガンガンモンスターを倒せると思ってたのに、何もしないうちにレベル96になって変な感じよ」

「そうだろうな。まあでも何かあると日本も困るから慎重にならざるを得ないんだと思うよ」

「はあ…私に自由な日は来るのかしら?」


 せっかく冒険者になれたのにな。

 人の力でレベルを上げられ自由も無い。せっかく日本まで来たのに…


「あ!綾元からメッセージ来てる!!」


 ダンジョンから出るとすぐにメッセージを受信した。

 あいつ、1週間近く音沙汰なしで何やってたんだよ?


 ー何か御用ですか~ー


 呑気なメッセージだこの野郎。こっちはお前の尻拭いしてたんだぞ?

 もういい、RINE電話してやろ…つながらねえ。また電波を遮断してんな。

 どんだけ警戒してるんだよ。


「ユアの居場所を知りたいの?」

「ああ、フィオナ王女解るの?」

「連絡してみましょうか?彼女はスマホを3台持ってたはずだからどれかに繋がると思うけど」


 なんと、3台も?富裕層では結構当たり前のことらしい。

 そうだよな、さすがにスマホを1週間も遮断してたら自分も不便で仕方がない。

 普段使い用とか信用してる人用とかあるんだろうな。

 契約者も他人名義にすれば政府にもバレないし、自由に使う事が出来る。

 法律上はグレーなんだろうけどね。


「つながったわよ?どうぞ」

「てめー!今どこにいんだ!」

 ーひえ~なんで怒ってるんですかあ?ー


 おめーのせいで俺が王女達の…うーん、ここでは言いにくいな。

 とにかくどこにいるんだよ!


 ー水納島みんなじまにいますね~ー

「どこそれ?名前からすると沖縄っぽいな」


 沖縄らしい。育成を人に任せて自分はリゾートかよ。

 俺は行った事の無い場所だから文句も言いに行けない。


 ーそれよりど~してフィオナ王女の電話におじさんが出るんですか~?ー

「ニュースくらい見てないのか?王女は今日本に冒険者留学に来てるんだぞ」

 ーええ~~~??ー


 寝耳に水と言った感じだ。お前がそそのかしたんだろうが。

 お陰で俺にお鉢が回ってきたんだぞ。


「とにかく王女も来てるんだし東京に戻って来いよ。俺も文句言いたいし」

 ーうう、怒られるの嫌です~ー

「逃げたらお前には一生勾玉売らないからな」

 ーわ、解りましたようー


 電話を切った。ごめんね王女、大声出して。


「ふふ、ユアも自分は日本で最高の冒険者だって言ってたのに、見得張ってたみたいね」

「いや、草津の帝王って呼ばれてるくらいだから強いは強いんだぞ?」


 世界で唯一の錬金術師だし、言ってる事はあながち間違いではない。

 ただあいつ、抜けててトラブルメーカーなんだよ。

 栄養が全部胸に行ってるタイプなんだ。


「くすくす、良くないわよ?そういう冗談は」

「ああ、王族に言う軽口では無かったな。ちょっと下世話だったか」

「ふふ、おもしろいわね貴方」


 いやいや、不敬罪にもなりかねない事言っちゃった。忘れてくれ。

 じゃあ俺はそろそろ帰るよ。綾元さんに連絡とってくれてありがとうな。



 ----------------



 次の日、那須ダンジョン


「綾元さん?何度も連絡したんですよ?」


 王女が綾元さんを連れてきた。本人は来たくなかったんだろうけど、断れなかったのかな。

 さっそく飛川さんに見つかり気まずそうだ。


「本来お前がやるべき事を俺が代わりにやらされてたんだぞ」

「うう、すみませ~ん」

「子供生まれたばっかなんだぞ」

「お、おめでとうございます~」


 写真見る?可愛いでしょ?可愛いって言え。

 可愛いって言わなかったら呪う。


「まあ本当に可愛いわね」

「天使ですね~」


 王女と綾元さんの言葉に機嫌を直す。まあ許してやるよ。

 どうせ今日で解放されるからな。育成は今日で終わりの予定だ。


「でも王女たちを守りながらフェンリル一人で倒してるんですか~?」


 お、やっぱりおかしい事に気づいたか。抜けてるけど知識は確かだな。

 でも、新しい精霊を使ってる事を綾元さんには言いたくないな。

 内緒って言っても過失で漏らすのが綾元さんだ。


「ちょっと戦い方見せてくれませんか~?」

「駄目だ。パーティ増えると経験値が減るだろうが」

「じゃあソロでついて行きますんで~」

「ダメダメ、はっきり言うけど倒し方を見せたくない」

「ひどいです~」


 自分の行動に問題があったのだろうが。王女、内緒にしてくれよ?

 それよりこの後王女達に立ち回りを教えてやってくれよ。

 レベル950越えの絶対防御持ちなら国も安心して任せられるだろ。


「つか方々逃げ回ってるみたいだけどブロンズダンジョンは潜ってないのか?」

「ダンジョンに潜ると国に居場所がバレちゃうじゃないですか~」


 ああそうだな、って事は全然潜れてないのか。

 パーティメンバーにはレベル上げさせてるらしい。


「王女に日本一の冒険者だって言ったんだろ?逃げてないで頑張れよ」

「うう~バレてる恥ずかしい~」


 見栄だったのかもしれないけど全然そうなれると思うぞ?潜らんと強くなれんだろうが。

 それにどうせオリハルコンのゴーレム作りたいくせに。

 冒険者の頂点に一番近い人だと思うけどな。


「そうですね~、王女にかっこ悪いとこ見せられないし頑張ります~」


 おう、頑張れ頑張れ、じゃあ俺達は潜ってくるよ。

 王女たちを連れフェンリル討伐、王女のレベルが101になった。

 他の子たちは80台だけど依頼は達成だ。


「早かったですね~」

「戦い方は教えないぞ?」

「王女~、どんな方法使ってました~?」

「言うなって言われてるのよ」


 逃げ回ってたくせに情報にはどん欲だな。

 向上心があるんだかないんだか。


「他の子は80台なんですね~不死王連れてってあげましょうよ~」

「ん?」


 いつもやってる育成方か、良いけど国のサポートが…

 綾元さんが勝手にテレポートを使ってしまう。俺達は道後に飛ばされた。


「ここどこ?あ!あれがタワーダンジョン?ここが道後なのね!」

「綾元さん、勝手な事してまた国に怒られるよ?」

「うう、じゃあ早く討伐して帰りましょう~」


 延長戦だ。だがやることはそんなに変わらない。

 不死王まで飛んで透明になってクレイブソリッシュで攻撃するだけ、綾元さんは絶対防御で5人を守る。

 3分かからず討伐、王女達もこんな参考にならない戦い方ばかり見せられて可哀そうに。


「レベル106まで上がったわ。他の子たちは90台になったみたい」

「こんどこそ依頼達成だな」

「じゃあ那須に戻りますよ~」


 那須に戻って綾元さんが飛川さんに怒られる。

 絶対防御使って良いとこ見せたかったんだろうな。結果かっこ悪いとこ見せる形になってるけど。

 まあいいや、俺はこれでお役御免だ。


「それじゃあフィオナ王女、頑張ってね」

「ええありがとう。またそのうち会えるといいわね」


 そうだな、冒険者を続けていればそのうちどこかで会えるかもな。

 次に会う時は成長に期待してるぞ。



 -------------



 ーおじさん、そろそろバジリスク再開したいー


 ミヅキからRINEが来た。そういやそんなことやってたっけ。

 そうだな、カミナがこっちに戻ってくる前に終わらせてしまいたい。

 でも今日はすでにホゲーの加護一回使っちゃってる。明日から頑張ろうぜ。


 というわけで、本日は一つ試してみたい事がある。

 800討伐も順調だし、次に狙うのは当然900になってくる。

 草津のバハムートと箱根のリヴァイアサンだ。

 だがその前に、ブロンズダンジョンの100中ボスを安定して倒せるようになりたい。

 道後800の続き扱いになってる道後ブロンズダンジョン100中ボス、実質900中ボスなんじゃないの?

 だとするならバハムート、リヴァイアサンより弱いと思うんだが…自分も弱くなったから比較できないけど。

 まあそんな訳で銅100中ボスにホゲーの加護が効くかだけでも試しておこうかな。


「ホゲー、加護の無駄打ちになると思うんだけど、試してみていいか?」

『良いぞえ』


 そんな訳で道後800へ、午前中も来たんだけどね。

 さっきは下に潜ったけど今度は上へ、タワーの方だ。


「ソロで入るんですか?やめておいた方が…」


 職員だろうか?間違えて弱い人が入らないよう監視が立ってた。

 ちょっと試してみたいことがあるだけだから大丈夫だよ。

 タワーダンジョンに入り、チョイスで一気に100階へ。


「じゃあホゲー、頼む」

『了解だぞえ』


 クジラが地中から飛び出し、振りそそいでくる。

 俺は剣に火の属性をつけ準備万端。

 絨毯型モンスターがホゲーにつぶされる、うわ!モンスターの体が飛び散った!

 圧殺に弱かったみたいだ。一撃でやっつけたのか?


 いや、若干ちっちゃくなっただけだった。でもダウンしてる。

 今のうちにゴリ左衛門の加護使って攻撃攻撃、ダウン時間も長いな、これはいけるんじゃないだろうか?


 その後、モンスターが起き上がってきたのでもう一度ホゲーをぶち当てる。

 後は同じことの繰り返しだけど、感触的には…全然足りないなこれは。


「ホゲーありがとう、諦めて帰ろう」

『3回使えば行けそうかぞえ?』


 いや、火力が全然足りないと思う。レベルの底上げが必要だ。

 ミオコミヅキがいてもどうかな?やっぱり足りない気がする。

 ふう、まあそんな甘いもんじゃないよね。


「それにミオコミヅキ連れてって錬金術の本出たらまためんどいしな」

『主、炎の属性武器持ってただろ?あれ試せばどうだ?』

「文太、そんなのあったか?」


 忘れてる。やっぱ歳だな。

 まあいいや、自宅の保管庫へ、文太どれの事だ?

 これ?えらい奥の方にあるな。全然使ってこなかったんだろうな。


 火炎魔剣レーヴァテイン、世界を焼き尽くすと言われてる剣だ。

 思い出した、これ危ないから使ってないんだよ。

 ひと振り事に獄炎が飛び出し燃焼しながら残り続ける、そこら中が火の海になるんだよな。


「昔、リヴァイアサンに持って行ったら大火傷負ったんだよな」

『相性は良かったじゃねえか』


 相性は確かに良かった。でも炎が残り続けるもんだから、リヴァイアサンが発する水攻撃で水蒸気が発生してえらい事になったんだよな。

 視界悪くなるし見えない蒸気で火傷するし散々だった。なので封印した。


「でも今なら解る、これは絨毯モンスターには効果的な武器だと思う」


 絨毯型モンスターはほぼ動かない。

 でかすぎて逃げるスペースがないんだ。

 残り続ける獄炎で継続的にダメージを与えられると思う。


「ちなみのホゲー、燃え盛る敵の上で実体化するのは大丈夫なのか?」

『やりたくないぞえ』


 そうだよな、ホゲーもダメージを追ってしまいそう。

 ってことは、1回目のダウンで決めてしまわなければならないって事か?

 いや、1回目と2回目のダウンまでは他の武器で攻撃し、3回目のダウンからレーヴァテイン使って押し切る、これでどうだろうか?


「試してみたいな、でも明日からはバジリスクか」

『さっさと毒槍出して解放してもらえ』


 そうだな、毒槍が出ればミヅキも満足してくれるだろう。

 俺はなんやかんや理由つけて絨毯型モンスターに一人で行こうっと。

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