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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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74 過疎地

 北海道九日目、ダンジョン潜る前に周辺を散策。

 層雲峡は景観が良いと聞いたから朝の散歩だ。


「おわあ、行った事無いけど中国みたいな景色っすよ」

「掛け軸に出て来そうな景色だね」


 岩山に滝、確かに中国っぽいね。行った事無いけど。

 仙人が住んでそうな景色だ。


「と言う訳でクオンちゃん、仙人のイメージで」

「どんなのよ。せめて天女にしてよ」

「写真撮るっすよー」


 カシャ、ではおじさんに送ろう。

 もう無視されても良いからノルマになってるね。


「いやいや、女子高生からメッセージ貰って嬉しくない訳ないじゃん。おじ様も気にしてない振りして可愛い」

「そうだと良いけどね、私はそろそろキレられそうで怖いよ」

「なんだかんだ既読は速いし、嫌でも無いんじゃない?」


 あ、既読が付いた。滝で修行して来いって雑な返し。

 修行出来るのかな?


「はっはーん、滝行で濡れた衣服が目当てか。エロいっす」

「し、師匠命令なら」

「冗談でしょ、風邪ひいちゃうよ」


 そろそろ戻ろうよ。朝食食べてダンジョン潜らないと。

 でもたまには朝の散歩も良いもんだね。空気が美味しい。

 ダンジョン前にリラックス出来て良い気分転換になったよ。



 ----------------------



「137階層!これまで記録を大幅更新!」


 層雲峡ダンジョンから出てきた。強くなってる実感が出来て嬉しい。


「あ、そっか、ここでは写真撮らないんだね」

「制覇してないからね。最近制覇が当たり前だから癖になってるね」

「待ってろよ層雲峡、ウチらが必ずお前を倒してやるからな」


 リベンジしにくるぞと軽い茶番劇。

 この場所はさすがにテレポート覚えてからになるかな、遠すぎるよ。


「新幹線もまだ函館までだからね」

「札幌に繋がるのも10年以上先らしいっすよ」

「それ以降は予定無いんでしょ?」


 赤字らしい北海道新幹線、北海道となるとやっぱり飛行機になっちゃうからかな。

 そもそも人が減ってる場所だ。作っても乗る人は少ないのだろう。


「ウチらも簡単に飛行機乗れりゃいいんすけどね」

「バイクは絶対持ち込めないでしょ?飛行機で旭川まで来てその後はレンタカーか公共交通機関になるのかな」

「どっちにしろ大変そうだね」


 うん、リベンジはやっぱりテレポート覚えてからになるだろうね。

 レベル500付近で覚えると言われているテレポート。当分先の話だ。


「いざとなったらおじ様にタクシーを」

「よくないよ?でもそういう商売してる人居ないのかな?」

「いるんじゃない?ダンジョンはともかくとして、東京から大阪に飛べるとかなら需要多そう」


 確かにそうだよね。一瞬で飛べるんだから富裕層やビジネスマンには需要ありそうだ。

 まあテレポートは一度その場所まで行かなければならないので、全国の好きなダンジョンまで送りますよなんて事が出来る人は少ないだろうな。


「どのみちお金のかかりそうな話だよ。そろそろ行かない?」

「階層更新は出来たけど、後ろ髪引かれるなぁ」


 来るのが楽じゃないだけに終わらせておきたかったんだろうね。

 気持ちは解るけど、諦めも肝心だよ?


 現在15時、次は丸瀬布ダンジョンに行くつもりだったが、ちょっと予定が狂った。


「宿が一つしかない。高そうだし予約満杯だった」

「じゃあ温根湯ダンジョン行こうか」


 距離的には少し遠回りになるが大した変更ではない、こういう事もあるよね。

 バイクに乗って温根湯まで1時間くらいか、今日はそこで泊まりだね。


「トンネルだーー」

「ギャー怖い怖い!」


 なんで?中央に引っ張られる!

 壁が迫ってくるような恐怖感に抗えないからだろうか。


「対向車来るよ?!」

「いやーー!」


 向こうもびっくりしてた。ごめんなさい。

 バイク初心者なのに無謀な旅をしているんです。

 ふう、トンネル広くなった。怖かったなぁ。


「留辺蘂町だって、読めないよ」

「じゃあなんで言えてるの?」


 謎だね。誰かがコピペしてるだけなんじゃないかな?知らないけど。

 この辺は観光地も少ないからダンジョン探索がはかどりそう。

 謎の町にあるダンジョンには夜から潜り制覇、その後ホテルで就寝。



 ---------------------



 翌日、今日で北海道10日目。

 昨日行けなかった丸瀬布ダンジョンへ向かう。

 天気が良くないので電車で行こう、1時間ちょっとかかった。

 ここが北海道10個目のダンジョン。制覇して次に向かう。


「14時、良いペースだね」

「次は女満別ダンジョン、ここからバイクだと1時間40分、電車だと2時間ちょっと」

「雨だし電車で良いんじゃない?」

「……やば、駅まですぐに行かないと、乗り遅れたら3時間来ないよ?」


 な、なんですって?急いでバイクで駅へ。

 レインウェア着る暇ないから結構濡れちゃった。


「電車行った?無人駅だからよく解んない」

「多分行ったと思う」

「はあ、ちょっと駅構内で体拭かないっすか?」


 うーむ、電車を逃してしまったようだ。

 という事は、この雨の中をバイクで行かなければならないのか。


「ふむ、この駅一日7本しか網走方面が無いっすね」

「田舎だもんね、仕方ないよ」


 体が渇くのを待ち、レインウェアを着てバイクに跨る。

 グリップが滑りそうで怖い。ゆっくり行こう。


「ガソリンスタンドあるよ?今のうち入れとく?」

「うん、この先どこにあるか解らないからね」


 雨の中を進む進む進む。

 あ、そう言えばお昼食べるの忘れてる。お店は全然ない、コンビニもない。


「あー、トウモロコシ食べたいっすー」

「美味しかったよねー」


 クオンちゃんとエレナが叫んでいる。

 空腹を紛らわすつもりなのかな、よけいお腹空いてきちゃうよ。

 本当に美味しかったな、感動するレベルだった。


「おお、やっとコンビニ」


 田舎だ、ここは本当に田舎だ。

 北海道の東側、おじさんのリストも全然ない場所。


「人生でこんな場所に来る事無いと思ってたなー」


 それでもコンビニはあるしここで生きてる人がいる。

 あたし達と違う人生を過ごしてる人がいる。


「エレナ、こんな場所って言うのは…失礼だからやめようよ」

「ああごめん、雨と空腹でイライラしてたかも」


 悪気が無いのは解かっている。でもなんだか悲しくなっちゃったんだ。

 あたし達はここで生きてる人の事を何も知らない。

 勝手に来ておいて、勝手な事を考えて、勝手に決めつけてはいけない。


「私達は北海道に試されているのよ」

「パイセンそれ好きっすね」


 変な空気になりそうなところをクオンちゃんが和ませてくれた。

 あたしもイライラしてたのかもしれないね。

 流石は年長者、ありがとう。



「トンネルだーー」

「また?嫌だなぁ」


 スピードを落とし、視線を遠くに向ける。

 昨日ネットで見つけたトンネル対処法。

 なるほど、姿勢が安定するね。


 3つほどトンネルを通過したところである事に気づいた。


「あ!そう言えば宿予約してないよ?」

「バタバタして忘れてたね」


 雨の中どこかで止まる?丁度コンビニがあった。


「…どうしよ、あんまり宿ないみたい。網走まで行けばあるんだけど」

「女満別から網走まで20分か。じゃあ網走で泊る?」


 何とも今日はバタバタだ。

 では予定変更、網走で宿を予約し、そのまま向かう。


「でも網走の方が食事できるところ多そうだね。良かったんじゃない?」

「そう言ってくれると救われるよ」


 たかが20分でも疲労困憊と雨の中ではキツイ。

 16時半、何とかホテルに着いた。


「ふう、洗濯して食事も探さないと」

「うーん、ジンギスカンの良さそうな店があるっす」


 お、ジンギスカンか。食べてみたい。

 おじさんがあまり好きでは無いというジンギスカン。

 17時オープンなの?昼食少しだったし開店間際に行こうよ。



「普通に美味しいけどな」

「うん、美味しいよね」

「ただ牛とどっちが好きかって言われると…」


 うーん、比べてしまうと確かに。

 でも比べなくていいんじゃないかな?


「私は牛と比べてもジンギスカンの方が好きかも、野菜もいっぱい食べれるし」

「うーん、野菜から水分が出るせいかな?たれが薄くなっていくのがちょっと駄目っす」

「あ~、しゃぶしゃぶのたれ理論だねそれは」

「しゃぶしゃぶは一口目がピークだよね」

「私、しゃぶしゃぶ食べた事無い」

「すき焼きの方が上だから食べなくても良いっすよ」


 しゃぶしゃぶの方が好きな人もいるのだろうか。

 比べるもんじゃないんだろうけどね。


「ルシル、胡麻派?ポン酢派?」

「ポン酢派」

「ええ?そんな人居るの?」

「さっぱりして良いのに、胡麻だれは甘すぎない?」

「私の解らない話しないでよ」


 戦争が始まるところをまたクオンちゃんが止めてくれた。

 さすが年長者、ありがとう。


「焼き鳥は塩派?たれ派?私は塩派」

「ええ?焼き鳥屋は行った事無いなぁ」

「ウチも無いっす。パイセン行った事あるんすか?」

「おじいちゃんに連れられてね。滅茶苦茶美味しかったよ」

「「いいなぁ」」


 焼き鳥屋はお酒ありきって感じがして高校生だけでは入れないよ。

 身近にも知らないだけで美味しい物がたくさんあるんだろうな。


「フレンチとかイタリアンとか」

「あー高校生じゃ無理ー」

「ワインとか飲まなきゃいけないんでしょ?」


 子供だと行けない場所はたくさんある。

 これから大人になっていく中のどこかのタイミングで経験する事なのかな。

 楽しみなような怖いような。


「お酒はおじ様飲まなかったっすよね」

「うん、冒険者犯罪って結構酒絡みな事多いから、やめたって言ってた」

「やっぱり普段は良い人でも変わっちゃうって事なのかな?」


 親戚にもいるな。変わっちゃう人。あたしはそうじゃないといいけど。

 二十歳になったら居酒屋とかにも行ってみたいし。

 今考えても仕方ないか、時の流れに身を任せよう。



 ---------------------



 夜に網走湖畔ダンジョンを制覇し翌日。


「じゃあ女満別ダンジョンに戻ろうか」


 20分で到着、4時間足らずで制覇、現在13時。


「次は斜里ダンジョンだよ。ここからバイクで1時間」


 泊りはそこにする?食事の事も考えて決めなければならないと昨日学んだ。


「むう、人口1万の町、あまりお店は無いかも」

「この辺どこもそうみたいよ?」


 端っこの方に来るほど寂しくなっていくね。

 仕方ない、妥協も必要かな。


「ここのホテルを予約しよう。目の前にコンビニあるし」

「これ、よく聞くホテルだね」

「チェーン店なんすね」


 そうと決まればすぐに移動、14時は到着してしまう。チェックインはまだ出来ない時間だ。


「攻略しちゃう?夜はゆっくりしようよ」

「そっすね」


 斜里ダンジョンを攻略、現在18時だ。


「ここ、車向けのホテルっぽいっすね」

「だから名前がそうなんだ?」


 駐車場がいっぱい。しかも駐車料金とられない。バイクならこういうホテルも使いやすいかも。

 ではチェックイン。ふう、しばらくはゆっくりできるね。


「夕飯はコンビニにする?」

「時間あるし、ちょっと周辺見てくるっす」


 エレナ元気だね。あたしは今日すでにダンジョン2つ制覇で動けないよ。

 すぐにエレナから電話が来る。近くで良さそうな店見つけたって。


「ここ、焼き鳥屋さんじゃないの?」

「お店の人に聞いたら高校生でも良いって!」


 おお、ナイスだよエレナ。昨日聞いてたからあたしも行ってみたかった。

 ソフトドリンクもあるね。お酒の代わりにこれを頼もう。


「最近は飲酒の取り締まりも厳しいから、酒無しでも全然いいんだぜ?」


 お店の人はそう言うが、やっぱり怖いです。

 女子高生?しゃらくせえ!って店もあると思う。

 ダンジョンではモンスター倒しまくってるけど、地上ではビビりの女子高生です。


「うまっ!」

「美味しい!」

「で、塩派?たれ派?」

「「たれ!!」」


 クオンちゃんが少数派になっちゃった。悔しそう。

 でもね、やっぱり別にどっちでも決めなくていい事だと思う。

 好みがあるから色々あるで良いんじゃないかな。


「ふう、7月も今日で終わりだね」


 夏休みに入って12日目、北海道は11日目。

 ダンジョンは12か所制覇し、未踏破1か所。良いペースだよね。


「44のうちのダンジョンの13に到達っすか」

「残り31日で31か所、何とかなりそうかな」

「西の方は固まってるし、この分ならいけるんじゃないかな」


 とはいえ何があるか解らない。油断はしないけど。

 長旅の疲れも段々と蓄積してきている。

 これからも焦らず無理せずゆっくり行こう。

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