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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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73 弾丸ツアー

「飛川さーん、今日帰るよ」

「どなたですか?」

「議員、不審者です。下がってください」


 どいつもこいつも髪が生えてからこんな感じだ。

 育成の子達もなんなの怖いって顔してた。


「私達はすぐに解りましたよ」

「恩人を忘れる訳がありません」

「触れていいのかどうか迷いましたが…」


 去年の育成の子達だけはすぐに気づいてくれた。

 ありがとう、君達はやはり良い子だ。

 ヅラじゃないぞ?その辺は勘違いしないように。じゃあ達者でな。



 自宅に戻ってきた。ソファに倒れこむ。

 ああ、疲れたな。もう何日か休みたいけどミオコ達から催促が来るだろうな。


 髪を整えに行こうかな。

 説明がめんどくさいから行った事のない理髪店に行こうか。

 明日でいいや。今日はだらだらしたい。


 レベル、ブロンズダンジョンのお陰で800を越えたな。

 ここまで戻って来れるとは思ってなかった。

 若い頃から比べればまだまだだけど、ダイエットで始めただけなのにここまで来るとは。

 再婚もしたし髪も生えたし良い事尽くめだ。


 そんな事を考えているうちに、眠ってしまった。



 -------------------



 北海道六日目、北へ向かってバイクで北上中。

 豊富ダンジョンから一時間くらいで稚内ダンジョンに着く予定。


「宗谷岬は行くっすか?」

「夏だからどうなのかな?冬なら流氷見れるんだろうけど」


 稚内への到着は11時頃だ。ダンジョン潜る前に昼食食べようかな。


「この辺はおじさんのおすすめも少ないよね」

「ネットで調べても海鮮丼かラーメンしか出てこないよ」


 今日の気分はどっちだろう?

 ラーメンは一昨日食べて、海鮮丼は北海道初日に食べた。

 うーん、海鮮丼かな。ではまずお店に行こう。


「うわあ海風で滅茶苦茶寒いよこの辺」

「夏とは思えないよね」

「おじさんおすすめはここか、なかなか味わい深い建物っす」

「昨日の店に入れたんだからもう店構えで躊躇しなくなったよ」

「ウチ、うに丼でいいや」


 ノシャップ岬のお店へ。

 あたしはホタテ丼にしよう、クオンちゃんはいくら丼か。


「うむ、この美味さににも慣れてきたっす」

「私達、贅沢になってないかな?」

「絶対なってるよ」


 たまに来て食べるから感動するのだろう。

 北海道六日目は長居しすぎという事、二泊三泊で帰るのが普通だからね。


「今何を一番食べたい?」

「あたしはオムライスかな」

「ウチは酢豚」

「私はお好み焼きが食べたい」


 もう北海道ならではにこだわるのはやめよう。

 胃が疲れてくるってこういう事だったんだね。

 その後、稚内ダンジョンに潜った。



 ----------------



「おや?寝ちゃってたか」


 変な体勢で寝てたな、体が痛い。ふあ~~。

 あ、RINEが溜まってるな。カミナ怒ってないと良いけど。

 位置情報は共有してるんだから自宅にいるのは解っているはず…


 あら?綾元さんからRINEが来てる。

 開いてみるか。写真付きのようだ。


 ー作っちゃいましたー


 ゴーレムが写ってる。決断はや!!!

 悩むんじゃなかったのかよ!


 まあ…でも作っちゃうよな。俺でもそうしてしまうと思う。

 欲望には抗えないよ。どんなもんか気になってしまう。


 のっぺらぼうの人間型のゴーレム。

 これはミスリルの色だよな?よくすぐに26キロも集められたな。

 オリハルコンだとこうはいかない。50キロだっけ?相当時間がかかるはずだ。


 まあでもミスリルで良かったとも言える。

 オリハルコンのゴーレムは俺より強いもんな。レベル1000相当だっけ?

 そんなものが作られたら怖いよ。


 性能どんなもんなんだろ?戦闘以外の事も出来るのかな?

 子育てとかもしてくれるなら俺も一体欲しいかも知れない。

 いや、5億のベビーシッターは高すぎるか。


 ダンジョンにも連れていけるのかな。

 でも綾元さんもレベル1000近いんだから、今更レベル500相当のゴーレムじゃ役に立たないか。

 そうなると、オリハルコンを作った方が良かった気も…

 ゴーレムってレベル上がるのか?もっとよく聞いておくんだったな。


 待てよ?確か不眠不休で働くんだったな。

 単独で低階層のダンジョンを潜らせておけば、どんどん勝手にお金が貯まるんじゃないか?

 でもゴーレムはアイテムボックスを持っているのか?多分持ってないよな。

 出来ないことは無いけど効率悪いかな。


 まだ勾玉は6つある。

 素材を準備したら俺にも作ってくれるかな。

 製作費も払えばやってくれそうではあるが、ちゃんと所有権移してくれるかな?

 まだそこまでの信頼関係はない。


「うーん、気にはなるけど今は様子見で良いかな」


 あ、やべ、カミナから更にRINEが来た。

 はいはい、今返しますよ。



 ----------------



「15時半か、フェリー間に合うかな?」

「利尻行なら間に合いそう」


 16:40発、バイク乗せるから早めに行く必要あるのかな?

 大丈夫だった。小規模な船だからそこまで早く来なくていいのか。


「ホテル予約取ったよ」

「18:20着、さて夜はダンジョン潜る?」

「一日2つ制覇っすか?」

「ついに来たね」


 北海道には44つダンジョンがあるのだ。対して夏休みは43日。

 どうしても2つ攻略する必要がどこかで出てくる。

 夏休み初日と二日目は移動で終わってるからそこでも二日損してる。

 なので一日二つ制覇を何度かトライしなければならない。


「うーん、チェックインしてすぐご飯食べて19時くらい?」

「23時には終わるだろうけど」

「因みに明日は9時半の礼文行フェリーに乗らないと夕方のフェリーで稚内に戻れない」

「それ以降のフェリーだと礼文で泊りになるんすね」

「弾丸ツアーだね」


 申し訳ないけど利尻と礼文は自然しか見る物がない。

 なのであたし達は観光をせず弾丸ツアーを選ぶ。

 やろう、一日2つ制覇。



 フェリーを下りてすぐそばのホテルへ。

 夕飯をかきこみ、すぐにダンジョンの準備。


「食べてすぐに動くなんて」

「すぐに消化できるよ」

「うっぷ、女子として複雑っす」


 流れ作業のように淡々とダンジョンを攻略。

 あたし達もこなれて来たなー。


「ふう、ダンジョンから出ると真っ暗、明かりが少ないね」

「離島だから仕方ないよ。島も少しは見てみたかったけど…」

「明日9時半出発なら時間ないっすね。早く寝ないと」


 お風呂入って0時に就寝、準備もあるし7時半には起きないと。



 翌日


「さらば利尻、ラーメンが有名だったらしいけど」

「ホテルの食事、海鮮中心なの何とかならないっすかね」

「離島だから仕方ないよ。贅沢言わないの」


 9時半、フェリーで礼文島へと向かう。

 10時15分、礼文島に到着。


「稚内行きフェリーは17時10分だよ」

「コンビニで昼食買っておこうか。おにぎりダンジョンの中で食べながら行こう」

「なんかもう滅茶苦茶っすね」


 モンスター倒しながら食事なんて、あたし達もなんだか麻痺しちゃってる。

 こんな情緒もない攻略、本当はしたくないけど時間が無いから仕方ない。

 4時間足らずでダンジョン攻略。


「はあはあ、換金してる暇ないよ。稚内で換金してもらおうか」

「しゃ、写真だけ撮らせて!」


 恒例にしている自撮り、表情に余裕がない。

 ブレブレの画像になっちゃった。フェリー乗り場へ走ろう。



「ふう、何とか間に合ったっすね」

「19:05着か。はあ、今日は稚内で泊まりだね」

「ホテル予約しなきゃ、空いてるかな…」


 何とか離島をこなすことが出来た。

 ここはハードだと思っていたから順調に行って良かった。


「夕飯どうする?洗濯もしないと」

「うう、ベッドにダイブしたい」

「ウチ食べなくても良いかも…」


 泣き言が出てきた。疲れと時間制限のダブルパンチ。

 あたし達が望んだ旅なのにストレスは予想してないんだよね。

 換金は明日にする?やる事多すぎて容量オーバーだ。

 ぐったりしてるうちに稚内に着いた。


「店、全然やってないっす」

「北海道って全体的に店閉まるの早くない?」

「うう、もう良いよ。コンビニで」


 弾丸ツアーの後の寂しい食事。

 ちょっと心が挫けそうになった。



 ----------------



 北海道八日目、今日は鮮やかな快晴。

 天気くらい良くないとやってられない。そんな勝手な事を思うようになってる。


「宗谷岬行こうよ」

「うん、観光で荒んだ心を落ち着けないと」


 昨日のダンジョン報酬を換金し、目指せ宗谷岬。バイクで40分の旅。

 ああ滅茶苦茶寒い。海沿いを走るのは夏でも厳しいな。早く着いて欲しい。


「ここが日本の北端?」

「水平線に空が遠い…」

「この像だれっすか?」


 だれだろう?ちょんまげだ。よく解んないや。


「そろそろ写真をおじ様に送らなくては」

「師匠、楽しみにしてるのかな?反応薄いけど」


 でも最北端だし記念になるよ。モニュメントを背に記念撮影。

 ここまで来たという達成感は残る。


「おじ様からすぐに返信来た。水着の写真でも送ってこいだって、あはは」

「でも確かに、夏だからプールにでも行きたいね」

「そっすか?ここ寒いせいかプールの気分じゃ…」


 去年も今年もダンジョン三昧。

 そんな普通の夏休みは送ってないのよね。


「気の早い話だけどさ、来年は九州とか言ってたでしょ?夏の九州はバイクでは厳しいと思うんだよね」


 暑そうなイメージはあるよね。実際どうなのかは知らないけど。

 元々大分に住んでたクオンちゃんはある程度は解っているのだろう。

 クオンちゃんが言うのなら厳しいのかな。


「だから私やっぱり車の免許取ろうと思う」

「え?それだとクオンちゃんが運転ばっかりになっちゃうんじゃ」

「バイクも持っていくよ?次は車とバイクで二股するんだ」


 きつい場所はクーラー効いた車で、涼しい場所はバイクでって事ね。

 負担を押し付けたくないからそれならいいかな。

 でもアイテムボックス大丈夫だろうか?車入れると容量かなり圧迫しそう。


「最初は中古のマニュアルの軽にする。ぶつけるような気もするし、新車は良いかな」

「レンタカーと言う手もあるっすよ」

「それこそぶつけるのが怖いよ。自己責任の方が私にはあってる」

「冒険者だもんね」

「まあ、この旅が終わったらもう旅行はコリゴリってなってる可能性もあるけどね」

「あはは」

「一年も経てば苦労を忘れ、また行きたくなってるっすよ」


 そうかも、あははは。

 あたし達、そんなに頭良くないもんね。

 …ちょっと悲しくなっちゃった。寒さが身に染みる。


「じゃあそろそろ行く?今日も移動長いし」

「電車でお願いするっすー」


 宗谷岬を後にした。



 ------------------



 バイクで南稚内駅まで行く。ここからだと運行本数が少ない。

 しばらく電車を待って旭川方面へ。


「ふう、でも離島が終わったのは大きいよね」

「電車が駄目ならバイクって出来るけど、船はどうしようもないもんね」

「今んとこ7つ制覇っすか?よく考えるとやばいっすね」


 ここまでは全部100階層だったからね。

 でも次は200階層だ。制覇は無理なダンジョン。


「現在ウチらはレベル152、行けるとこまで行ってみたいっす」

「そうだね、今の限界を知りたい」

「熱海だと放課後の時間制限で120あたりまでしか潜れなかったもんね」


 休みの日は100ダンジョン回ってたしテスト勉強もあって時間がなかなか取れなかった。

 150小ボスはまだ無理なはずだけど、この旅行が終わる頃には行けるようにならないかな。


「泊りは層雲峡ダンジョンの近くになるかな?宿予約しとくね」

「到着遅くなるかな?夜ダンジョン行けるかどうか…」


 少し余裕が出来たと思ったらすぐに消費してしまう。

 時間は有限、一筋縄ではいかない。


 名寄駅で一度下車し、ヒマワリ園へ。


「ここも写真スポットっすね」

「じゃあクオンちゃん、太陽の女神って感じで」

「ま、また?もう勘弁してよ!」


 一通りクオンちゃんで遊んでからおじさんに画像を送る。

 おじさんからは既読スルーされた。


「トウモロコシうめぇ!!!何この甘さ!!」

「本当だ!!何本でもいける!!」

「昼食もうこれでいいや!!」


 ハムスターのようにトウモロコシにかぶりつく女子高生達。

 海鮮に飽きてきてたから新鮮な驚き。

 北海道が奥の手出してきた。


「はあ、奥が深いね北海道」

「北海道の名物って他に何があったっけ?」


 食べてないのはジンギスカンとスープカレー、あ、味噌ラーメンもまだか。

 ネットを見ると豚丼とかも有名みたい。


「夏だけど石狩鍋って食べれるのかな?」

「良さそうな店は札幌に集中してるっぽいよ」

「カニも食べたいけどこの時期は花咲ガニなのか」

「食った事無いっす。美味しいんすか?」


 解らないね。根室周辺のカニなのか。

 根室はダンジョン無いはずだけど近くに行けば食べれるかな?


 電車に再度乗車、蘭留とかいう読めもしない駅で降りる。

 ここからは50分のバイク旅。


「高速空いてる、都会とは大違い」

「着くの18時半頃?なんとかダンジョン行けそうかな?」

「行けるとこまで行くと考えると、どうっすかね」


 今回はダンジョン探索5時間以上かかるだろう、無理だと思う。


「明日の朝にしよっか」

「そっすね」


 今日は移動と観光で終わりそうだ。

 層雲峡ダンジョン近くのホテルに泊まり、本日は終了。

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