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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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71 錬金術

 道後四日目、今日も今日とて育成だ。

 不死王倒して女の子達はレベルを9獲得。

 これでレベル95か?上がりにくくなってきたなぁ。

 カイ君不在が身に染みる。


 去年は四日で110まで行ったんだよな。

 明日には終わりそうだけど今回は100近くでゴールかな。

 去年の育成の方が得した感じだけど、不満はないだろうか?

 そんなこと考えてたらキリないか。依頼達成には変わりないし、シンプルに考えよう。


 おや、ミオコとミヅキだ。お前はもうブロンズダンジョンに潜る気無いよな?


「ウチらは二人で下を適当に潜ってます」


 そうか無理はするなよ。

 そして綾元さんが寄ってきた。今日はどうする?


「昨日、情報を頂きましたが~もっといろいろ試すべきだと思うんです~」


 うん、その通りだと思う。魔法も火しか試せなかった。

 もっと効く攻撃があるかもしれない。


 中央が盛り上がって目が出てきた。あれは弱点っぽいんだけどな。

 でも攻撃できなかった。そんな余裕無かった。


「綾元さんは何の属性魔法使えるんだっけ?」

「火以外は使えますよ~」


 火は使えないか。うーん。

 弱点が火しかなかったらどうしよう。

 つかヒーラーだと思ってたけど魔法使いの方が適正あるのかな。


「取り合えず午前中は二人で中ボス行ってみましょうか~」

「二人で?」

「チョイスで100まで送ってください~。一通り、魔法を試してみます~」


 討伐する気の無いお試しピンポンダッシュかな。

 取り合えず魔法撃ってみてすぐに99階層に逃げるやつ。

 解った、行ってみよう。



「この辺からモンスターだと思う、踏んだら襲い掛かってくるよ」

「では~水の魔法から~」


 ぶわわわわ!!!

 あ、やばい、モンスターが元気になったように見える。

 触手がこっちに伸びてきた。


「逃げるよ」

「はい~」


 すたこらっさっさと99階層へ。

 モンスターが落ち着くまでしばらくは戻れない。

 99階層にいても危険だ、一度リターンで外に出る。

 水は駄目だった。後は違う魔法を繰り返すだけ。

 そして…


「う~ん、火以外は効きそうも無いですね~」

「俺、一応火の属性をパーティメンバーの武器に乗っけることは出来るけど…」


 実質900階層の敵に火力足りるかなぁ?

 何より動く床の上で上手に戦えるだろうか。


「ちょっと準備したいものがあるので~、また午後からでいいですか~?」


 うん、全然かまわないよ。

 と言うか、潜る気なんだね。何か秘策でもあるのだろうか?

 俺も死ねない立場、無理そうならやめようと思ってたんだけど。

 作戦聞いてから決めればいいか。



 ------------------



「美瑛って他に何があるの?」

「ラベンダー以外だと、有名な木とか丘とか」


 北海道四日目、今日はどうしよう。


「どっちも移動しながら見るで良いんじゃないすか?」

「そうだね、自然には飽きて来たよ」

「今日中に旭川に行きたいっす」


 北海道第二都市旭川、有名な動物園もあるし楽しみにしてた場所だ。

 おじさんのお店リストも多い場所。

 昨日は美瑛に泊まらず旭川まで行っても良かったのかもしれない。


「じゃあまず旭岳100ダンジョンまで1時間、潜ってその後旭川まで1時間ちょっと、これで良いかな?」

「「意義なーし」」


 じゃあ宿予約するね。充電スタンドのあるホテルを取ったよ。

 そろそろ出発しよっか。いやちょっと待って。


「クオンちゃん、バイク交換しようよ。マニュアル乗りたい」

「いいよ、と言うか、私はエレナのバイク乗りたい」

「ええ?じゃ、じゃあ、ウチはどっちにしよう。跨がせて!」


 背の小さいエレナは不安なようだ。

 どうぞ、今日は時間に余裕ありそうだからゆっくり決めていいよ。


「電気も以外とシート高いっすね」

「うん、アドベンチャーと一緒。でもシート細くなってるから電気の方が足つき良いよ」

「ルシルのは…うわ、こっちも足つき悪い」

「シートが広い分足が広がっちゃうからね」


 悩むエレナ、どっちもオートマだから意外と楽だと思うよ。

 決めたようだ。あたしのにするの?


「弁償するなら安い方」


 あはは、そんな理由で決めたんだ?

 大丈夫、転ばれたら悲しいけど弁償しろとは言わないよ。



「うほほ、楽ちん楽ちん」


 走り出してみたら思いのほか楽しそうなエレナ。

 アメリカンは大変だったんだろうね。おじさんの言うとおりだ。


「クオンちゃん、そっちはどう?」

「小回り効かないねえ、平地は良いけど山は不安かな」


 あたしは快適だ。クラッチ操作が面倒ではあるけどサスペンションの効きが良い。

 あたしのスクーター、サスペンションが硬かったんだね。


「これが有名な木?」

「他とどう違うんだろ」

「よく解んないっすね」


 木はまだあたし達には早かったようだ。

 美瑛の皆さんごめんなさい。


 丘も見たけどもうすでにラベンダーを見飽きている。

 美瑛の皆さんごめんなさい。


「あ!キタキツネだよ?」

「「どこどこ?!」」


 ラベンダー畑の中からひょっこり顔を出すキタキツネ。

 か、かわいいー、あ、引っ込んじゃった。

 やっと遭遇出来たね。また会えるかな。


「いやあ、バイクさっさと交換するんだったなぁ」

「エレナ、そんなに気に入ったの?」

「神経使ってたからね。頭も疲れてた」

「あはは、これからも時々交換しようよ」

「うん(ウチ、ずっとこれでいいけどな)」


 お、ここからは山道だ。

 アドベンチャーの本領発揮、スイスイ登ってくれる。

 クオンちゃんは遅れちゃった。一番後ろからついてくる。


「あ、やば、エンスト」

「パイセン大丈夫っすか?」

「コケてないよ?クラッチのつなぎがアドベンチャーと全然違う」

「低速はかなり吹かさないと駄目っすよ」


 重い分吹かさないと駄目なのか。色々あるんだね。

 あたしが乗る事になったら気をつけよう。


 くねくねくねくね、山道ってどこもこんな感じなのかな?

 楽しいけど見通しが悪い。車が来るとドキっとするね。


「あ、見えて来たよ」


 旭岳ダンジョンに到着、クオンちゃんは疲労困憊だ。

 大丈夫?少し休んでからダンジョンに潜ろうか。


「アメリカン大変、人のだし余計気を使う」

「下りはまだ楽っすよ」

「アドベンチャーは最高だったよ。エレナも試してみたら?」

「ウチ、それは絶対無理だよ。そのシート高でのクラッチ操作はチビには難易度高い」


 そういうものなの?まあ無理強いはしないけど。


「それよりここも100階層なの?北海道は本当に100が多いんだね」

「当分100が続くよ」

「制覇出来た方が達成感あっていいじゃん」


 もちろんそうだけどさ。時間も読みやすいし良いんだけどさ。

 北海道の冒険者は100層ばかりだと育たないんじゃないだろうか?

 上を目指す者は道外に出ちゃうのかな。


「冒険者に限らず出ちゃうみたいだね」

「過疎化か…深刻だね」


 あたし達が心配したところで止められなけどさ。

 魅力的な場所なのに、受け継がれていかなくなるのかな。

 なんだか寂しい気持ちになってくるよ。


「そろそろ潜ろっか」


 旅行する事で北海道の経済を少しでも助けることは出来てるだろうか。

 何とか状況が変わってほしいと思いながらダンジョンに潜った。



 -------------------



「綾元さん、それは?」

「バハムートの火炎袋です~」


 うん、それは知っている。

 草津のダンジョンボスバハムート。

 俺も昔何度か狩ったから見た事はある。

 俺が疑問に思っているのはそちらではない。


「こう空気を送り込んでやることで物凄い炎が出るんですよ~」

「うん、知ってるけど…そのボンベは何なの?」

「エアーコンプレッサーです~」

「それを今回の中ボスに使ってみようって事?」


 バハムートは何度か倒した事あるって言ってたな。

 火炎袋とエアーコンプレッサーを準備してたのか。


「こう、空気が出るノズルに火炎袋をつけて…」

「だ、大丈夫なの?随分雑に見えるけど」


 なんか、簡易火炎放射器みたいなのが出来上がった。

 持ち手と車輪がついたボンベ付きの機械、ガンタイプのノズル。

 こんなので戦う気か?


「私~、火の魔法無いですし~」

「いや、回復に専念してくれても」

「いやです~消毒したいです~」


 ………まあ行ってみるか。駄目そうならすぐに撤退で。

 取り合えず他のパーティメンバーの武器に火の属性付けるよ。

 みんな武器も立派だ。壊れるような事もないだろう。



 ---------------------



「うはは!凄い効果だな!」


 謎の絨毯モンスターが燃え上がる。

 バタバタと暴れるモンスター。俺も攻撃しないと。


「あっち!火の上で戦う事になるなんてな!」


 床モンスターなんだからしょうがない、上で戦う者は大変だ。

 さすがバハムートの炎、まともに受けるとこっちもダメージ大きそうだ。

 パーティメンバーも攻撃には苦労している。燃えてないところを狙え。


「あん!壊されちゃいました~」

「長く持った方だよ!多分このまま押し切れる」


 火炎放射器で相当量の体力を削ってくれた。

 後は俺の魔法とパーティメンバーで何とか出来るよ。




「えへへ、コンプレッサーは壊されたけど火炎袋は無事でした~」

「ドロップはなんか良いの出た?」

「本が出てますね~」


 おお?!滅茶苦茶レアなんじゃないか?何の本?


「錬金術 上巻って書いてあります~」

「絶対レアなやつじゃん」

「ど、どうします~?」


 ああ、ドロップ配分決めてなかったよね。

 俺は良いよ。年寄りが貰っても仕方ない。


「い、いいんですか~?」

「若い君達が覚えた方が長く使えて良いじゃないか」


 と言うか今回の功労者は間違いなく綾元さんだよ。

 働きに応じた配分だと思うから俺は何の不満もない。


「では~、他のドロップは全てお譲りします~」

「いいの?」


 他のパーティメンバーも不満はないようだ。

 帝王の絶対王政っぽいんだよな、このパーティ。

 遠慮なくドロップをアイテムボックスに押し込む。


「じゃあ101階層行ってみようか」


 次は予想ではセーフティエリアなんだが…

 良かった、セーフティエリアだった。では一休み。


「ふう、取り合えず100階層は突破したしさ、臨時パーティはこの辺でお開きにしよう」


 俺はもう満足だ。と言うか限界だ。

 精霊達を酷使しすぎだし、今はもうこれ以上は行けない。


「残念ですが~仕方ないですね~」


 俺が抜ける事で綾元さんのパーティもこれ以上は難しいかな。

 でも今は錬金術の本が気になってるみたいでそこまで残念そうでもない。

 何が書いてあるんだろうね。後で内容は教えてよ。


 じゃあ外に出ようか。リターン。



 -------------------




 旭岳ダンジョンを制覇し、旭川へと向かう。

 途中で遥かに長く続く直線の道に遭遇する。


「この道どうなってんの?」

「直線が20キロくらい続くみたい」

「はえー相変わらず北海道は規模が違うっすね」


 ここに来てアメリカンを借りたクオンちゃんが楽しそう。

 ゆっくり真っすぐ走るのに向いているんだろうな。


「電気もなかなか面白いっす」


 エレナは帰りは電気を借りていた。

 色々試すのが楽しくなってるみたい。


「でもアドベンチャーだけはやっぱり無理かな」


 そうか、あたしは気にいってる。

 可愛くないと思っていたけど、実用性はピカイチだ。


「私の相棒だよ?色目使わないで」

「あはは、クオンちゃんは元々二股してるでしょ」

「ウチもルシルの相棒が気になっててー」


 恋愛トークバラエティみたいな会話をしながら走り続ける。

 おや、人里が見えて来たね。そして段々と都会になってきた。


「わー、背の高い建物久々に見た」

「さすが第二都市だね」

「まだ16時っすよ。チェックインした後どっか行きます?」


 動物園は無理だよね。他に何か見たい場所はあっただろうか。


「師匠のリストに17時半で閉まるラーメン屋があったんだよね」

「おお、北海道初のラーメンっすね」

「閉まるの速いのなら先そっち行こうよ」


 変な時間の夕食になるけど仕方ない。

 多分夜にまたコンビニ行っちゃうだろうな。


「うんまー」

「そして安い!」


 昔ながらのすっきりとした醤油ラーメン。

 ホッとする味。シンプルだけどこれ以上余計なものはいらない。


「混んできたね」

「早く入って正解だった」


 人気店のようだ。早く食べて席を空けないと。

 ああ、美味しかったな。飽きの来ない明日も食べたくなるような味。


 ホテルにチェックインしてバタンキュー。

 ふう、美味しいもの食べると眠たくなっちゃうね。


「明日は天気悪そう。午後から降るかも」

「午前中は動物園行こう?午後からはどうしよっか」


 次は確か遠いんだよね。ここから北海道を北上する。


「しばらくは田舎が続くから旭川を堪能しておいてね」

「だったらもう一泊しないっすか?」

「うーん、連泊するなら札幌じゃない?」


 そうだね、札幌は長く楽しみたい。

 余裕があるなら3泊くらいしたい。


「まだ序盤だから疲れが溜まってきそうな後半の為にも余裕を持たせておきたい」

「それが賢いのかもしれないね」

「次は遠いんなら体力温存の為にも電車移動にしないっすか?」


 そっか、それもいいね。天気悪いならそうしようか。

 アメリカンのエレナは特に大変そうだし、これからは電車の選択肢も増やしていこう。

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