69 観光
「ほ、ほたる~」
「ルシル、急にどうしたの?」
北海道2日目、本日は朝からドラマの舞台の観光。
あたしは好きなドラマなんだけど二人は見た事ないらしい。
「エレナ、昨日観るって言ってなかった?」
「サブスクで見ようと思ったけど一話で寝ちゃったっす」
「10分で寝てたよ」
面白いのに、でも古いドラマだからかな。
時代背景など理解出来ない事も多いだろう。
「また家?家いくつも作ってる人なの?お金持ちなの?」
「う、ううん、自分で作ったんだよ」
「そば屋も舞台なの?……あ!蕎麦をみんなで分けて食べるやつ?!」
「それは一杯のか〇そばだよエレナ…」
全然熱量が違う。心底興味があるのはあたしだけだったみたい。
なんか我が儘言っちゃったかな。三人で楽しめる場所を選ぶべきだっただろうか。
「子供がまだ食ってる途中でしょうが!ってやつだよ!」
「「ああ~~~~~!!」」
なんとかなった。
後からでも良いから二人ともドラマ見てよね。
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道後二日目、今日も朝から育成育成。
本日は文太の加護を借り、女の子達のレベルを32上げることが出来た。
これで70か?あと何日かかるかな。
今年はカミナがいない分、カイ君の加護が借りれない。
去年より時間かかっちゃうだろうな。
さて、それでは今日も銅ダンジョンに入りますか。
「では~60階層から~」
綾元さんがチョイスを使ってくれる。俺も余裕無いからありがたいな。
この辺は実質860階層って事か?精霊の加護が無いともうどうしようも出来ない。
精霊達には負担かけて悪いけど行けるとこまで行こう。
「はあはあ」
85階層まで来た。皆に疲労が出始める。
まだ午前中だと思うけど、もうガス欠だ。
「今日はここまでにしておきましょうか~」
「い、いいのか?」
「ええ、随分ペースが上がったので、十分ですよ~」
綾元さんは70まで行ってたんだっけ。15階層進んだので十分か。
今までの攻略ペースに比べればずいぶん遅く思えるが、ここは新しいダンジョン。
攻略情報もない手探りの中で無理はしない。
「明日もお願いしますね~」
「お、おう」
綾元さんも疲れてるはずだけどそうは見えないな。
「おじさん、うちらは99階が限界だと思います。100は死ぬと思います」
「100の中ボス行く事になるようなら私達は足手まといだから置いてって」
ミオコ達から自己申告、そうか、それがいいかもな。
明日は恐らく99階までだと思う。次の日万全の状態で100に行くんじゃないかな。
草津900のバハムート倒してるような奴らだ。実質900階層の中ボスも多分行く事になると思う。
ただ、中ボスが居ると言うのはあくまで予想。ここは新しいダンジョンなので確定ではない。
二人は疲れたからホテルで寝るって。ゆっくり休めよ。
俺はどうしよ。俺だって力不足を感じている。
少し休んでから精霊使わなくてよい階層で少しでも経験値稼ぐかな。
一時間ほど休んでから下のダンジョンに潜った。
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「ホエーカレーだって」
「ほえ~」
「親父ギャグか」
ドラマの舞台を後にし、お昼は素敵な外観の郷土料理屋へ。
カレーに目が行ってたけど、名物はローストビーフ丼なのか。
じゃあそれを3つくださいな。
今のところおじさんが進めてくれたお店にハズレは無い。
昨日の夜食べたコンビニ飯も結局美味しかった。
おじさんたらこんな美味しいものばかり食べてるんから太るんだよ。
「ウチらもダンジョン潜らず贅沢な食事ばっかで太らないかな?」
「確かに心配だね。クオンちゃん、この後は?」
「ラベンダー畑、ここも師匠が見とけって」
ラベンダー畑か。7月下旬が見頃だというからこのルートになったんだよね。
お花見るだけなら1、2時間くらいかな?その後ダンジョン行く?
「ここからラベンダー畑まで15分、ラベンダー畑から十勝岳100ダンジョンまで35分、うーん、どうなのかな」
ダンジョンが4時間だとして…潜ってると結構遅くなりそうだね。
また今日も潜らず終わる?
「パイセン、十勝岳ダンジョンの近くに温泉宿がありますよ。そこに泊まって夜潜らないっすか?」
「夕飯食べてからって事?」
それもいいかも知れないね。流石にこれ以上潜らないと不安になってくる。
じゃあその温泉宿予約しちゃうね。
「ちなみに充電スタンドは無いみたい」
「うう、アドベンチャーで行くよ」
ガソリンにも気をつけないと。田舎道だと全然スタンド見かけない。
あ、ご飯が来たみたいだよ。
「…生っぽくない?」
「生っぽいっすね」
「肉というよりマグロ丼みたいな…」
艶やかな脂が食欲を誘う。
これは見た目で解る。絶対に美味しいやつだ。
「うっま!!」
「なにこれ?やっぱマグロなんじゃないの?」
「解んないけど美味い!!」
滅茶苦茶美味しい、お替りしたいくらい美味しい。
どうしてお肉がこんな味になるの?不思議すぎる。
やるな北海道、広いだけの事はあるね。次から次へと美味しいものが出てくるよ。
「ウチら帰る時にはおじ様のお腹みたいになってるかも」
むううん、実はちょっとお腹がきついんだよね。
北海道に勝つ為に今日絶対ダンジョンに潜ろうね。
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「ほえー」
「エレナ、まだ言ってるの?」
ラベンダー畑に来た。広大な大地に鮮やかな色彩が広がっている。
甘く柔らかい、爽やかな香りが満ち溢れてる。
「まったく、北海道はなんもかんもデカいっすね」
「土地が広いと豪快な事出来ていいよね」
観光客が多い。あ、ソフトクリームがあるね。美味しそう…
うう、今回は我慢しよっかな。
「エレナ、自撮り棒出して写真撮るの?」
「撮るでしょ。ここで撮らない人いないでしょ」
そだね。RINEでおじさんに送ろっか?
北海道を満喫してる姿を見せてあげたい。
「いいね、じゃあ花の妖精のようなイメージで」
「ええ?それどんなの?」
「プリンセスだよクオンちゃん、あたし達は花の国のプリンセス」
「わ、私、そういうの照れるんだけど」
クールなクオンちゃんには難しいか。
じゃあクオンちゃんを王子様に見立ててあたし達がポーズとろうよ。
「いいね、じゃあパイセン、ルシルをお姫様抱っこ」
「えええ?」
「スマホ貸して、次はエレナに求婚ポーズ」
「こ、こう?」
しばらくクオンちゃんで遊んだ。
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「こんな写真俺に送ってきてどうしろと言うのだ」
反応に困る写真が送られてきた。
旅行で浮かれた女子高生のノリをおっさんにぶつけられても困るんだが。
楽しそうだから何よりだけどさ。
ふう、カミナも一日50回以上RINE送って来るし、返信するだけでも大変なんだぞ?
俺もそこそこ忙しいって解かっているのだろうか。
コンコン
お?誰だ?ミオコ達かな?
浮気ならしてないぞー、ドアを開ける。
「あれ?3人ともどうしたの?」
去年の育成の子達が立っていた。
夏休みだから休みなのは解かるがここで何してるの?
「飛川さんに呼ばれまして、新しい育成の子達の教育係をしてほしいと」
なるほど、先輩として次代の育成を手伝えという事か。
新しい育成の子達は3人に憧れてきたはずだ。適任なのかもしれない。
「お盆くらいまでお手伝いをする予定です」
「でも、自分のパーティはそんなに長い間抜けても大丈夫なのか?」
「私のパーティは冒険者専任の人達なんでこっちについてきちゃいましたね」
高崎のカナデちゃんだ。仲間は専任なのか。
高校を卒業した後冒険者一本で食ってる人達らしい。
「私のパーティも8月に合流予定です、皆さん大学生なので今はレポートが忙しくダンジョンにも潜れないみたいで…」
神戸のヒーラーアヤカちゃんは大学生と組んでいるのか。
有馬に居ても仲間が忙しいのでこっちに来ちゃったんだって。
大学生の夏休みは8月から、休みは合わないんだよな。
「私はソロみたいなもんです。師匠居るけどたまにパーティ組んで深い階層に連れてかれて」
「あの忍者の人だな」
「会ったことあるんですか?少しおじさんからスパルタやめるよう言ってもらえませんかね」
熊本のミコトちゃんだ。でも一番育ってるじゃん。あの人は優秀だと思うけどな。
陰で見守ってくれる良い人だと思うよ
「そっか、それで育成手伝ったりパーティで道後に潜ったりするって事?」
「この3人で潜ったり、色々です」
夏休みで時間があるから色々するらしい。
久々の再開で楽しそうだ。良いな、青春だな。
「これ、お子さんに」
「おめでとうございます」
「元気なお子さんが生まれると良いですね」
うわぁ、ちゃんとしてるなあ。子供の祝いをくれたよ。
お前たちは本当に高校生か?どこまで良い子達なんだ。
生まれてくる子が君達のようになってくれると良いなぁ。
それではと手を振りながら三人が帰っていく。
お祝いありがとな、君達に子供が出来た時は…げふげふ。
高校生におかしなこと言うところだった。
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「いやー、山奥だね」
ラベンダー畑を出て十勝岳ダンジョンへ。
取り合えず近くの温泉宿にチェックイン。
「標高1300メートルだって」
「凄い登ったもんね」
「アメリカンきつかったっす」
きつかったけど山奥は一層涼しい。
この感じだと明日の朝は寒いくらいかもしれない。
「夕飯は18時からだって、19時にはダンジョン潜って23時には戻ってこよう」
「じゃあそれまでゆっくりしよっか」
「ウチ少し寝ていい?バイク疲れたよ」
うん、夕飯には起こすから寝ていいよ。
あたしは温泉入ってこようかな?ダンジョン潜った後の方が良いか。
「ふう」
「クオンちゃんも疲れた?」
「少しね。でも私バイク好きかも、楽しさが勝ってる」
クオンちゃんすぐ先頭に行くよね。
先に行きたい気持ちが伝わって来るよ。
「ちょっとエレナのバイクも乗ってみたいなぁ…寝ちゃったか」
「アメリカン小回り効かないし重そうだけど疲れるのかな?」
「でもどっしりとして音が良いよね、アメリカンは」
「わかるわかる。音が重厚だよね」
重たい物を動かしてるぞって感じの力強いストローク。
タイヤも太くてたくましい。
「ルシルのは結構キビキビ走るよね」
「うん、軽いからだろうね。意外とスイスイ行ってくれる」
なによりお洒落、とにかくお洒落。
性能なんてあたしは正直よく解んない。見た目が重要だ。
「クオンちゃんは電気よりアドベンチャーの方を気に入ってるみたいだね」
「解かる?今の山道は本当に楽しかったよ。勾配はもちろん曲がりくねった道でも扱いやすくてね」
電気の方はやっぱり街乗りなんだろうね。
今後はアドベンチャー中心で行くそうだ。
「ルシルにも貸そうか?スクーターだとマニュアルの感覚忘れちゃうよ?」
「確かにね、倒したら悪いと思って遠慮してたけど…」
「私はもう一回倒してるから気にしないよ。最初はショックだったけど慣れるもんだね」
走っていても車体に何か当たる音がするんだよね。
あれは虫?石?気づかないうちに傷がついて行くものなんだと思う。
まあそれでも、人のバイクを倒したくはないかな。
「いきなり山道は怖いから、平地に戻ったら貸りようかな」
「うん、そうしよう」
夕飯までゆっくり休んで体を休めた。
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宿の夕食を食べ、ダンジョンに潜る。
山奥のダンジョンだけど思ったより人がいるね。やはり夏休みだからだろうか。
「言葉聞いてると現地の人以外も多そうっすね。ウチらみたいに旅行しながら潜ってるのかな?」
「同じ事してる人も多いんだね」
装備を見るとガチ勢でもないみたいだ。
ダンジョンで低階層だけ潜って旅費を稼ぎながら旅行してるのかもしれないね。
「私達はガチ勢、ガンガン攻略しよう」
「「おー」」
ここも100階層、すでにいくつか100階層制覇してきたあたし達の敵ではない。
4時間経たないうちに制覇することが出来た。
「お風呂ぎりぎりだよ。早く入らないと」
「入ったらすぐ寝ないと、チェックアウトは10時」
「バタバタっすね、旅館はゆっくりするものなのに」
エレナは寝てたじゃん。夜寝れそう?
朝も温泉入りたいな。起きれるだろうか。
「ふうう、なんだかんだ一仕事した後の温泉は最高だね」
「旅費も一気に回収できたし、気持ちにも余裕が出来たよ」
「体重計乗ったら太ってたっす」
がーん、ダンジョン一つでは取り戻せなかったか。
あたしは怖いから乗るのやめておこう。
ともあれ、北海道の44つのダンジョンの内の一つを攻略出来た。
このままどんどん攻略していきたい。




