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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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67 フェリー

 カミナを実家に送り届ける。お父さんがずっと腕組みで睨んでた。

 お母さんにお願いしますと頭を下げ戻ってきた。

 ふう、やれやれ。どっと疲れる。


 カミナ邸に戻ってきたけどこれから自宅に行くつもりだ。

 一応冷蔵庫の中確認しとくか。悪くなりそうなものは持って行かないと。

 戸締りOK、電気も消した。忘れもの無いよな?それではテレポート。



 自宅に着いた。また郵便物たまってるよ。まあいい、後回しだ。午前中は草取りに追われる。

 終わったら汗でビショビショだ。痩せてると良いけど。シャワー浴びて一休み。


「ふいーー」


 あれ?俺開放感感じてるな。

 自宅に一人で羽を伸ばしてると肩の荷が下りたような気持ちになってる事に気づいた。


 カミナの事はもちろん愛してるけど、四六時中一緒だったからな。

 自由に飢えてたのかもしれない、男なんて勝手なもんだ。


 あれ?カミナからRINEが来てる。

 …どうでも良いような内容、あいつもう寂しくなったのかな。

 一瞬だけ返信めんどくさいなと思ってしまった。うーむ、良くない。

 俺はもう失敗しないと決めたんだ。すぐに返信を返す。


 明日からは道後で育成だ。その準備をしなくては。

 …バイク屋に行きたいな。一人になって急に欲求が解放されてしまった気がする。

 いかんいかん、子供が生まれるんだ。バイクになんてかまけてる暇は無い。

 自由も考え物だな。余計な事に目移りしてしまう。


 またカミナからRINEが、うーん、予想は少ししてたけど、これからこんな感じになるのかな。

 返信も大変なんだから、あんまりつまんない事で送ってくるのはやめてほしいが…

 そんな事言ったら後が大変だし言えないんだけどね。満足するまで相手してやるか。


「ふう…あ、ため息が出てしまった」


 夫婦関係って何なんだろうな。

 好きで一緒になったのに、一緒にいるうちに、息の詰まるものになってしまう事がある。

 現代では婚姻関係を結ばずもっとラフなパートナー関係を築いてる人達もいるよな。

 それも上手くやっていくコツなんだろうな。ガチガチに契約してしまうとがんじがらめになってしまうからな。


 おっと、いらん事を考えてしまった。何を自分が楽になる方向に考えているんだ。

 良くない。カミナと結婚できたんだぞ?俺は幸せなのに何を贅沢な事を言ってるんだ。

 こんな落ちぶれたおっさんの元に来てくれたんだ。感謝するべきなのに何様なんだよ俺は。


 また、カミナからRINEが来た。ひえー。

 さ、さすがにちょっと対処を考えないとな。

 モチロン嬉しいんだよ?でも俺もいろいろやらなけらばならない事があるというか。


 その後、結局夜までRINEのやり取りが続いた。



 -----------------



「夏休みだ!」

「ひゃっほー」

「快晴だー!バイク日和だー!」


 熱海ダンジョン前広場


「これからダンジョン三昧だー」

「目指せ北海道ー」

「つっても初日は移動で終わりっすけどね」


 今日は大洗まで移動、そこからフェリーだ。

 現在時刻は正午、フェリーの時間は20時頃なのでかなり余裕がある。


「大洗までバイクで3時間ってスマホでは出てるけど」

「休憩時間入れて4、5時間、それでもかなり余裕あるっすね」

「大島であんな事があったからあたしら心配性になってるね」


 フェリーの手続きも初めてだ。車両あるし時間かかるんじゃないかな?

 インターネットでも予約できるみたいだけどね。だがたどり着けるかどうか心配だ。

 そんな訳でかなりビビッて早めに出発する事にした。


 バイクはアイテムボックスに入れて運べばタダだ。

 でもそれはグレーな方法。出来る事なら申告したい。

 電車に乗る事があればやむを得ずその方法を使ってしまう事もあるだろうが、極力なら正攻法で行きたい。


「どこかでお昼食べていこうよ」

「高速のサービスエリアが良いんじゃないっすか?」

「あたし、高速初めてだからちょっと怖い」


 あたし達は冒険者、事故っても多分死なない。

 それでも怖いものは怖い、特に首都高が心配だ。


「50分くらいは下道だよ?お腹空かないかな」

「ウチ、サービスエリアが好きで」

「分かる。なんか楽しいよね」

「そうなの?私行った事無い」


 クオンちゃんは旅行自体ほとんどしたことが無い。

 だったら行ってみようよ。海老名のサービスエリアが有名だよ。さあ出発だ!



 -----------------------



「あ、あっついね。信号で止まると暑い」

「照り返しがまぶしい。日焼け止め効くのかなこれ」

「北海道は紫外線強いらしいっすよ?対策しないと」


 女子のバイク旅、お肌対策は特に気合い入れないと。

 日焼けしない魔法とかあればいいのに。


「有料道路の入り口っすよ」

「あれ?なんかチケット貰うんじゃないの?」

「謎だね?これってタダ乗りなんじゃ」


 解らない事だらけ、ネットで調べたつもりだったけど、現実では勝手が違う。

 挙動不審になりながらも車の流れに沿って進むしかない。


「ああ、ここから東名に入るんだね」

「ルシル、そっちはETC専用だよ?」

「こ、この後はどっちっすか?なんか分かれてるけど!」


 他の車にクラクションを鳴らされる。それと同時にテンパってしっちゃかめっちゃかだ。

 地理は苦手だけど東京方面じゃない?名古屋って確か西のはずだよ。


 あれ?また分かれ道だ。これはどっち?

 エレナ!そっちは出口みたいだよ!なんでこんなにややこしいの!


「はあはあ、こええよ」

「エレナ、元ヤン出てるよ」

「固まって走ろうよ。車怖い。車は敵」


 半分涙目になりながらスピードを上げる。

 あたし達に高速道路はまだ早かったんじゃないだろうか。

 あ、海老名SAすぐみたいだよ。一休みしたいから助かった。



「あー怖かった」

「え?なにここ?お店がいっぱい」

「テレビでもよく紹介されるのにパイセン見た事無いっすか?」


 大規模な商業施設のような海老名サービスエリア。

 クーラーが効いててそれも助かるね。しばらく休もうよ。


「クオンちゃん、買い過ぎじゃない?」

「目移りしちゃって」

「わかるっす。全部食べてみたくなる」


 フードコートで一休み。ふう、落ち着いた。


「あと二時間くらい?」

「もう一回くらい休み欲しいね」

「ここから動きたくないっす」


 エレナはトラウマになったみたいだ。

 幸先悪いね。そんな事言わず頑張ろうよ。


「首都高入ったら分かれ道だらけみたいだよ?」

「スマホナビ見ながらじゃ限界が…」

「しっかりルート検索してから動き出そうか」


 間違っても大丈夫。時間に余裕はある。

 トイレに行って準備を万端にしてから動き出そう。



 --------------------



「渋滞あっつ、うあエンスト…」

「今のうちにルート確認、次の分かれ道は右だよ」


 夏休みだからだろうか、首都高に入ったら車が多い。

 やたら合流が多いし、神経がすり減っていく。


「ファスナー合流でしょ!なんで2台入ろうとするの!」

「ルシル、キレちゃ駄目。私達は試されてるの」

「でもなんか教習所の教えはあんまり役に立たないっすね」


 マナー悪い人はいるからね。

 少しでも早く、少しでも得したい、さもしいなぁ。


「初日だからバイクにしたけどさ、やっぱ電車の方が良かったかな?」

「電車だと2時間半くらいでしたっけ」

「でも怖いけど慣れておかないと」


 金額も電車の方が安かった。しかし何度も言うが電車移動はグレーだ。

 最初からインチキはしたくなかった。


「やっと動き出したよ。次のサービスエリアで休もう?」


 暑さのせいか消耗が激しい。水分補給をしないと。



 -------------------



「つ、着いたね」

「挫けそうだった」

「でっか…あれに乗るんすか?」


 大洗港に着いた。目の前には巨大なフェリー。時間は現在16時半。

 疲労困憊、最初の元気はどこへやら。

 あたし達、こんな苦行をやる為にバイクの免許を取ったんだっけ?


「車両は17時半までに手続きしないといけないらしいっす」

「そんなに早く?2時間以上早く来ないといけないんだ?」

「危なかったね。チケット買っておこうよ。疲れたから出来るだけ良い部屋を…」

「「贅沢だけど異議なし」」


 夏休みだから混んでるみたい。スィートは埋まってる。

 この2番目に良い部屋3人でも良いの?じゃあそれで良いんじゃない?

 車両の運搬費含め、料金を支払った。


「クオンちゃんは二台申請するの?」

「ううん、最初はそのつもりだったけど、3人で4台申請するとおかしな事になりそうで」


 アイテムボックス持ちだってバレるもんね。

 トラブルを防ぐために一台申請にしたらしい。さっそくグレーな方法を使ってしまった。

 バイクの積み込みまで時間がある。駐輪場に置いて施設内で待つか。


「積み込みに時間かかるから早く来ないといけないみたいね」

「出発時間しか見てなかったっす」

「でも余裕持って出てきて良かったよ」


 何が起こるか解らないものだ。

 ただの確認不足なんだけど、初めての事ばかりで抜けがある。

 未成年の旅に完璧など求めちゃ駄目だ。


 待合室で時間をつぶす。後から後から人が入ってくる。

 今日は滅茶苦茶混んでるみたいだ。


「夏休み初日だからね。あれ見て、自転車もいるよ」

「ええ?」


 窓から駐輪場を見ると自転車もけっこう止まってる。

 北海道を自転車で?夏休みを使って旅行するのか。


「一番安い大部屋雑魚寝で移動は自転車の貧乏旅行だろうね」

「それも何か青春だね」

「冒険者のウチらより過酷な事してるっす」


 本当だよね。あたし達はすでに泣き言言ってるのに。良い部屋に泊まってごめんなさい。

 自ら望んで自分をいじめる旅に出るのか。立派だなぁ。


「知らなかったな、いろんな人がいるんだね」

「旅行するとそう言う事も解るんだね」

「ウチらが熱海しか知らないひよっこだって事っすね」


 本当にその通りだ。あたし達は井の中の蛙。

 これから大海に出る事で、成長できると良いね。



 ----------------



 車両積み込みのアナウンスがあったので駐輪場へ。

 出てみたらバイクだらけ、バイク旅の人がこんなにいるの?

 流石北海道、バイクに人気だというのが頷ける。


「お嬢ちゃん達、大型は良いぞー」


 そして大型は良いぞおじさんに捕まってしまった。

 大型は良いぞおじさんとは、高速のSA等で女の子のバイカーを見つけると近寄って来て、大型に乗ってるという理由だけでマウントを取ってくるおじさんの事だ。

 この前、この人とは違うおじさんに一応聞いてはいたんだけど実際に出会ってみたら滅茶苦茶ウザい。


「ウチら未成年なんで大型は無理なんす」

「そっちの子なんてスクーターじゃないか。大型は良いぞー」


 確かにスクーターはあたしだけ。ここではアウェーだ。

 みんな良さそうなバイクに大荷物背負ってる。


「北海道は大型が一番、大型は良いぞー」

「ねえこれっていつ終わるの?」

「多分『さすが大型ですね。素敵です~』って言えば終わるよ」

「ええ?言いたくないな」

「おじさん、あまり未成年に声かけてると事案になりますよ?」


 ピタっと止まり、大型は良いぞおじさんは離れていった。

 エレナありがとう、助かったよ。


「マジでいるんだね。あたしポカーンとしちゃった」

「しかしアナウンスがあった割に時間かかるね。変なのに絡まれたくないんだけど」

「早く船内に入って寝たいんすけど」

「あたし、お腹空いた」


 今日の夕飯は船内でバイキングだ。美味しいと良いなぁ。

 あ、順番が来たみたい。誘導されて船の中へ。


「うほほ、船の中をバイクで走るの変な感じ」

「面白いね。今日一日で初めての事ばかりだよ」

「つらかったけど経験になったね」


 ここに止めるの?揺れても倒れないのかな?

 バイクとしばしの別れ。うう、なんだか寂しい。

 エレベーターに乗って客室へ。やっとゆっくり出来る。


「おお、バルコニーがあるね」

「小さいけどお風呂もあるよ」

「ベッドが2つ、あとこのソファがベッドになるみたいっすね」

「じゃんけんする?負けた人がソファーで」


 ジャンケンホイ、あ、負けちゃった。

 負けたのは残念だけど修学旅行みたいで少し楽しい。


「やった!ベッドだ!」

「エレナ、横になると寝ちゃうよ?ご飯食べておかないと」


 エレナを引きずってレストランへ、うわあ、混んでる。

 チケット買わなきゃ、ええ?2500円?朝食セットで3700円?今日は出費続きだね。


「高速代、ガソリン代、船代、食事代、結構お金飛んでくね」

「初日は仕方ないよ」

「ダンジョン一つでも潜ればお釣りくるっす」


 まあそうなんだけど。旅行って大変なんだと親の苦労を考えてた。

 子供は我儘言うだけだけど、大人は大変なんだね…


 今日一日で、本当にたくさんの事を学んだよ。

 北海道に着いたら、家にカニでも送ろうかな。


「時季外れだね。この時期なら夕張メロン送ればいいんじゃない?」


 そ、そうなの?

 また一つ、勉強になったよ。

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