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ダンジョンだじょーん(仮)  作者: ヒゲ面の男


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65 ブロンズダンジョン

 一か月後。


「そういう訳で、国会で議決されたので新ダンジョン誕生の場に出席していただければと」

「石板はめるのは誰なの?」

「………お願いできないですかね?」


 飛川さんから都内の中華料理屋に呼び出された。嫌な予感的中。

 でも俺がドロップしたものだからな。責任があるのも解っている。


「危なくないのかな?」

「さすがに石板はめたら死ぬじゃ罰ゲームすぎますよ」

「じゃあ飛川さんがはめてよ」

「…………」


 責任の押し付け合いで議員に勝てるかな?強敵だ。

 その道のプロじゃないか。


「もう、議員に偏見持ってますよね?」

「うん、税金で酒池肉林の毎日なんでしょ?」

「侮辱罪で捕まりたくなかったら石板をはめてください」

「脅しじゃないか。権力には屈しないもんね」


 膠着状態、カミナは隣で北京ダックを食べている。

 嫁の前でハメるとかハメないとかやめてくださいよ。


「ミヅキははめてくんないかな?あいつ奔放だし」

「全然やると思うよ?奔放が関係あるか解らないけど」


 あいつはイベント好きだからな。じゃあもうあいつにやらせるか?

 ってなると、なんか後味悪いんだよな。厄介ごとを押し付けた気分。


 仕方ない、俺がやるか。

 様子がおかしかったらすぐにテレポートすれば大丈夫だろ。


「良かった」

「飛川さんも同席してよ?国の責任者として」

「わ、解りましたよ。あと、次は育成予定者の名簿なんですが…」


 女の子が5人。覚えられそうもないな。

 みんな可愛いけど最近の子は全部顔が一緒に見える。これも歳だからだろうな。


「この子達も警察表彰とか受けた子達なの?」

「いえ、今回は面接ですね。先の育成3人のお陰で希望者が殺到しておりまして」


 その中からの国の選別か。

 大丈夫だろうか?結構顔で選んでるようにも見えるが…


「人気の為に顔で選んだところはあります」

「ぶっちゃけたな」

「ですがきちんと挨拶も受け答えも出来る良い子達ですよ」


 面接に面接を重ね、念入りに吟味したらしい。

 まあそこまで言うのなら信じようかな。


「絶対防御持ちの冒険者も見つかったの?」

「はい、前回と同じ条件で大丈夫ですよ。レベルアップだけで充分だと納得してくれました」


 そうか、ではドロップ品はすべて俺の物。

 取り合えず懸念は無くなったかな。

 俺も中華料理を楽しむか。相変わらずいい店知ってんなぁ。


 税金飯を堪能して会食は終わった。



 ------------------



「カミナ、一週間後には里帰りだが、準備は出来てるのか?」

「うん、私が留守の間も自由にしてていいからね」


 いや、さすがに家に一度戻るよ。草ボーボーだろうし、なんとかしないと。

 面倒だし業者に任せるかな?毎年の事だし定期的に来てもらった方が楽か?


「なあ、まだ先の事になるだろうけど、子供にとっては庭のある家の方が良いんじゃないかな?」

「そうだね…GODのおウチで育てた方が良いのかもしれないね」


 ここも良いマンションだけどさ。飲食店も多くて便利な麻布十番。

 でも俺んちは千代田区で治安も良いし、子供を自然の中で育てられるでかい公園もあるぞ?


「公園デビューでママ友とか作るんだろ?」

「聞いたことあるね。私大丈夫かな」


 冒険者は特殊な職業だからな。世間とずれてる可能性はあるな。

 カミナは現在21歳、若いし旦那はじじいだし。

 好機の目で見られるような事が無いと良いけど。


「学歴マウントとかあるのかな?私、高卒だよ?」

「どうなんだろう…怖いな」


 大卒と高卒で派閥とかあるのかな?滅茶苦茶怖いな。公園デビュー。

 考えすぎのような気もするけどね。


 元嫁はその辺最初は上手くやってたんだよな。次第に自慢ばかりで嫌われていったみたいだけど。

 俺には詳しい事話さなかったけど、失敗したんだろうね。


「まあいざとなったら国とのつながりもあるし、権力で」

「GOD?悪い顔しちゃ駄目」


 うはは、冗談だよ。でもさ、最近飛川さんも俺の事利用し過ぎじゃないか?

 これからを担う若者が国の役に立つべきだと思うんだよな。

 育成はその目的もあるんだろうけど、まだまだ育つには時間がかかるだろうし。

 もっと早くから始めるべき政策だったのかな。


「800階層以上の攻略が100回行ってなかったのは育成をしてこなかった末路かも知れない」

「それでも資源は十分潤ってるからね。必要無いと思ってたんじゃない?」


 そうかもしれんな。資源が溢れすぎても価値が下がってしまう。

 そうなると冒険者をやるものが減ってしまう。うまくバランス取れてたのかな。


「GOD、他のダンジョンの石板は出す気無いの?」

「ええ?ああ、一応奥飛騨はミヅキが武器欲しいって言うから行く事になるかもだけど」


 でも武器が一発で出る可能性もあるしな。

 あと何回倒せば石板出るか解らないし、ボスはすぐに復活しないし、時間がかかりすぎるんだよね。

 俺達には子育てがあるんだぞ?そんなのやってられないでしょ。


「ブロンズダンジョンが出るって解った訳だしさ、攻略した事のある人が奮起してほしい」

「むしろみんな道後のブロンズダンジョンに行くと思うけどね」

「確かに」


 新しいダンジョン行っちゃうか。じゃあ他の石板はいつになるのやら。

 おっさんが奮起する事にならなければいいけどな。やれやれ。



 -------------------



「赤点回避!」

「私も!」

「ウチも!」


 熱海ダンジョン前広場


 もうすぐ夏休み、旅行を控えてるからさすがに追試は勘弁。

 という事で今回は三人共試験勉強を頑張った。


「これで何の心配もなく旅行に行けるわ」

「クオンちゃん、受験生だし夏期講習とか考えなかったの?」

「まったく行く気無かったよ?私の目指す大学そこまで偏差値高くないし」


 そういうもんなの?まあ助かるけどさ。

 あたしは来年どうしてるのかな?まだ志望校も決まってないけど。


「来年は九州でしょ?夏期講習なんて行ってる暇ある訳ないでしょ」

「エレナ、その話生きてたんだ?」

「北海道は44か所だけど九州は76か所だよ?大学の夏休みは8月からだし、一回で回るのは無理かもね」


 そこまで調べてるんだね。

 北海道だって回り切れるか解らないのに気の早い話だ。


「それよりさ、道後の話聞いた?」

「ああ、新ダンジョンの話?」

「なんか夏休み前に誕生するらしいっすね」


 世間を揺るがすビックニュース。

 この日本に新たなダンジョンが誕生するかも?

 海外では日本ばっかり汚いぞと非難が高まってるらしい。

 そんな事言われてもしょうがないよね。


「アメリカとかは留学制度を設けたいとかなんとか」

「昔っからあるね。その話、日本に旨味が無いんでしょ?」

「時々許可を得て日本に来ている外国人冒険者いるらしいけどね」


 まあもっと送り込みたいという事なんだろうけど。

 冒険者は国の戦力ともなりうる。他国を強くしたいなんてどこの国も思う訳がない。

 日本政府は時々友好国に特例を出してお茶を濁しているらしい。


「政治の難しい事は解んないけど、外国の奇麗な女の子が来るなら、あたしは歓迎だけどな」

「出たよ。ルシルのエルフ信仰」

「有望な若い子を他国に送り出すっても勇気いりそうっすけどね。ダンジョン内で消されたり…」

「エレナ、なんて怖い事を言うのよアンタは」


 他国の戦力を削れるのだから無い話では無いと思う。

 日本がそんな事をするとは思わないけど…


「でもどんなダンジョンなのかな?新しいダンジョン」

「気になるよね。そもそもなんで急にそんな話に、これからも増えるって事?」

「800以上限定で増えるかもしれないらしいっすよ」


 800か。あたし達にはまだまだ関係の無い話なんじゃないかな?

 やっと100層を突破出来るようになったところだ。それでも早い方なんだけど。


「ウチらは道後より北海道って事でいいじゃん」

「そだね、キタキツネ見れるかな?」

「バイクだと飽きるほど見かけるらしいよ?」


 あたし達にはあたし達のペースがある。

 新しいダンジョンは他の冒険者に任せよう。



 -------------------------



 数日後


「そんな訳で、来たぜ道後ダンジョン」


 閑散としてる。避難誘導されたのだろう。

 何が起こるか解らないから周辺に民間人はいなくなってるはずだ。

 ダンジョンの中も現在は空っぽになってる。


 ミオコとミヅキも一緒だ。カミナは中継で見てるって。

 遠くから道後の様子を中継するらしいんだよね。

 何が起こるか解らないからイベントみたいになってるんだよな。

 あと海外の取材陣も来てるらしい。


「あれ?少しだけど人がいるね」

「政府関係者じゃないか?」


 いや、あれはどう見ても冒険者だな。

 お、飛川さんもいた。近づいてきた。あの人たちは何者なの?


「高レベルの冒険者達です。ダンジョンが出るなら潜ると言って聞かなくって」


 そういう人たちもいるよね。でも出てからでいいじゃないか。

 誰よりも先に潜りたいのかな。


「旦那はんが黒幕かいな」

「お、久しぶり。黒幕とは人聞き悪いな」


 ギャルたちもいた。あと及川さんもいるな。

 外国の任務で一緒になった人たちだ。


「期待してるのかもしれないけど、どんなダンジョンか解らないぞ?500層らしいし」

「それでも楽しみやないの」

「旦那はんも初物好きやろ?」


 何の話だよ。カミナの事か?ネットで処女捧げたって言ってたもんな。

 古い話を…京都人は執念深いからな。


「飛川さん、石板は?」

「台座の横に準備してあります。あ、またドローンが」


 おお、良く見たらドローンがたくさん飛んでるね。

 あれは中継用だろうか?


「あまり近づくなと言ってあるんですが」

「俺も顔バレしたくないんだけど」

「ですよね、もう一度注意してきます」


 ズームもするなって言って来て。ある程度離れるまで石板ははめないよ。

 みんなスクープが欲しいんだろうけど、どこにダンジョンが出るか解らないじゃないか。

 遠目から道後全体を映すのが正解だと思うけどな。


「おじさん、ウチらも潜りますよね?」

「え?そのつもりでついて来たの?てっきり野次馬かと…滅茶苦茶難易度高かったらどうすんの?」

「入口から覗くくらいいいじゃん」


 まあそれくらいなら…危ないようならすぐ逃げるぞ。

 つか俺一人なら透明化でいくらでも様子を伺えるんだけどね。


「報道陣に厳重注意してきました。そろそろ石板をお願いします」


 はいはい、それではダンジョンの頂上まで登る。

 台座の横にある石板を持ち上げ、台座にはめよう。


「おじさん、指挟まないでね」

「ついて来たのか。じゃあそっち持ってくれよ」


 三人で持ち上げ、慎重に台座にはめる。

 ガッシャンって音がしたな。何かのからくりが起動するような音。

 さて、鬼が出るか蛇が出るか。


 地面が揺れだした。次第に大きくなる。

 おおお、これヤバくないか?ダンジョンの上から非難しよう。

 ダンジョン広場前まで移動し、行く末を見守る。

 揺れは収まらない。いったい何が起こるのか。


 ずぼぼぼぼぼぼぼぼぼ


「塔が出て来たぞ!」


 ダンジョンの頂上、台座があったあたりから塔が出てきた。

 タワー型ダンジョンなのか?どんどん出てくる。

 今までは下に降りるダンジョンだったけど、ブロンズダンジョンは上に登るタイプのようだ。

 なかなか収まらない。ダンジョンの山の上からどんどん出てくる。


「もう塔の頂上が見えないんだけど」

「どんな構造なんだろうな?登るだけでも息切れしそう」


 あ、動きが緩やかになってきたかも。

 一番下の階だろうか?入り口が見えたところで塔の放出は終わった。

 元のダンジョンの上に出来上がった新しいタワー型ダンジョン。

 揺れが収まったしこれがブロンズダンジョンってことで間違いないのだろう。


「いやー、面白いもん見たな」

「あんなのがダンジョンの中に埋まってたの?」

「元のダンジョンはどうなったんですかね?」


 解らん。どっちも確認しないとな。

 とはいえ、いざとなったら躊躇してしまうな。


「みんなで一緒に入ってみないか?これだけいれば強敵がいても大丈夫じゃないか?」


 及川さんが号令をかける、20人くらいいるから大丈夫かな。

 じゃあ俺は一番後ろから…


「いやいや、先頭の権利は貴方にある」

「え?そこは尊重してくれなくても良いんだけど」

「旦那はん初物好きやろ?」

「しつこいなぁ、京都人はねちっこいよな」

「なんやて?馬鹿にせんといて」


 うるさいな、怖いんだよ。

 及川さんは栄誉を譲ったみたいな顔してるけどさ。

 仕方ない、みんな行くぞ。ずらずらとブロンズダンジョンの入口へ。


「外周はそこまで大きくないよな」


 20メートルくらいだろうか?でも違和感がある。入り口が真っ暗なんだよな。

 日の当たる場所なのに真っ暗。ダンジョンの中が全然見えない。

 なんだろうな、異空間に通じてるような印象だ。


 入り口に手を伸ばしてみると手の先が消えた。慌てて手を戻してみたらちゃんとある。なんだこれ?入って大丈夫なのか?


 顔だけ入り口に入れてみるか。あ!中は明るいぞ!つか広い!外周と釣り合わないくらい広いぞ!


「ふむ、なんというか、違う空間に繋がってるなこれは」

「モンスターはいるの?」


 いや、見えるところには居なかった。もういいや、思い切って入っちゃえ。


 天井が高い。これで500階層なら高さ5000メートル越えるような。

 頂上付近は空気大丈夫か?なんて思ったけど多分大丈夫だと思う。

 ここは明らかに違う空間だ。広さが塔の外周に収まらないもの。


「本当だ、明るいな」

「奇麗やね。モンスターおるんかいな」


 皆が続々と入ってきた。

 白い部屋、通路が横へ奥へと繋がっている。

 バク子、広さはどんなもんだ?モンスターはいるのか?


『広さは下のダンジョンと同等ですね。モンスターは他のダンジョンの800~階層と同等のものがいます』


 いきなり800から始まるダンジョンって事か?

 じゃあ頂上は1300階層相当に値するという事だろうか。

 確認してみよう、バク子、モンスターが居る方向に案内してくれ。


 居た、あれは確か箱根の802にいるモンスターだ。

 そうか、ここはそういうダンジョンなのか。


「見た事無いよ?あんなモンスター」

「ウチらにはキツイですか?」


 ミオコとミヅキは見るの初めてだろうな。

 確信した。ここは間違いなく高難易度ダンジョンだ。


「外にいる人達に証明するためにあいつだけ倒そう」

「倒せるの?」


 強敵だが20人居れば余裕だよ。袋叩きにして素材と魔石を拾う。

 じゃあ一旦出ようか。



 ----------------------



「そうですか。他のダンジョンの800階層相当のモンスターが1階からいると」

「飛川さん、初心者が間違って入らないようにしないと」


 道後ダンジョンは800層、上はその続きといった印象だ。

 本来の姿が1300階層という事なのだろうか。


「その場合、上の50階層にいる小ボスは不死王より強いという事でしょうか?」

「それはまだ解んないよ。でもその可能性はあるよね」


 小ボスが居るかもわからない。下と構造が一緒とは限らない。

 まあ今日は新しいダンジョンが出たというだけで収穫は十分でしょ?

 攻略はほっといても少しずつ進んでいくよ。


「おじさん、ウチらが潜れる可能性は?」

「今の俺達では3階くらいで詰むんじゃないか?カミナがいても20階行けるかどうか」

「そんなに難しいダンジョンなんだ?」


 精霊使えばもうちょっと行けるかもだけど…

 いや、危険だな。特に50階が未知数だから踏み込めない。

 もっとレベルを上げないと話にならないと思う。


「俺達は少し潜ってみようと思います」

「及川さんか」


 及川さんパーティは由布院ガルーダを倒したことあるんだったな。

 去年の話だ。今はもっと強くなってるだろう。

 だったら50階くらいまでは行けるだろうか?


「でも気をつけて。特に50階は慎重に」

「解ってます。様子見ながら無理はしません」


 心配だけど情報が欲しい。活躍に期待してます。


「ウチらは撤退や。勝てる訳あらへん」

「その判断も尊重するよ」

「鍛え直してからまた来るわ」


 その後、下のダンジョンも調べてみたけど以前と変わらなかった。

 あの塔はどっから出て来たんだろうな?

 またダンジョンの不思議が増えた。

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