エンマの再会
デュポンから一通り説明を受け状況を何となく理解はできた。
「デュポンの話を聞く限りハルがああなってしまったのは恐らく……エンマの力に呑み込まれたのが原因でしょう。でなければあそこまでの力を手に入れるのにも納得できない。」
「……っつ」
自分の与えた力のせい、という事実が強く私を締め付けた。
「エンマ、別に私は攻めてるわけではありません。今回のことは仕方がなかった。どうあがいても止められなかった。」
「……とりあえず、一回あう。」
「意識があるとは思えません、それでも本当に?」
「…いかないとわからない。」
「私も賛成」
横からエリーゼが割って入ってきた。
「もしハルが完全に飲まれ切ってないとしたらもしかすると私の能力が効くかもしれませんわ」
「エリーゼ能力って…たしか」
エリーゼは自身の美しさを罪とする能力である。その能力は本人の発動するという意思がなくても発動してしまうほど強く、彼女が本気をだせば並みの悪魔では近づく前に倒れてしまうほどである。
「えぇ、私の魅了で。もしかするとハルの意識が戻るかもしれない。でも……」
「魅了は完全に考える意志を失っている相手には発動はしないのでしょう」
「……オクスタシアの言う通り。もし、ハルが完全に意識が呑み込まれている場合は絶対に不可能、100%無理だわ。」
つまり私たちはハルが意識をたもっていることに賭けなくてはならない。そう願うことしかできなかった。
そして準備をし変わり果てたハルのもとへといくことを決めた。
安全の観点からできる限り少人数で生きたかったためデュポンとエリーゼの執事たちには留守番してもらった。
「エンマ…少し落ち着いてください」
歩く速度が気づかないうちに早くなっていることに気づかずオクスタシアに肩をつかまれ止められた。
「焦る気持ちはわかりますが……いや言っても無駄ですか」
オクスタシアはあきらめ手を離した。
エリーゼにも少し緊張感がありピリピリとしていた。
そして移動し続けるハルを見つけた。
「ここから先にいけば確実に気づかれるでしょう。覚悟はいいですか」
「……」
オクスタシアの問には答えることなく私たちは無言で足を進めた。
そして後200メートルというところでとうとうハルがこちらを振り返った。
「うっ……」
あまりのまがまがしさに思わず足が震えてしまう。前までのハルとは同一人物とはとても言えない。けど頭の中ではハルだと理解したくないのに理解している、そういうぐちゃぐちゃな感情が私の中でうごめいた。
すると首筋に痛みを感じる。振り返るとオクスタシアが私の首をつねっていたようだ。
「……落ち着いてください。私たちの目的を思い出して。」
オクスタシアの言葉で冷静になることができ一度深呼吸をする。そして
「“ハル”!!!」
できる限りの声量で名前を呼んだ。
しかし、目の前の怪物の私たちの見る目は依然と変わらず冷たいままだった。
「っつ」
「後は私が行きます。オクスタシアとエンマは私が合図するまで目をつぶっていて下さい。」
エリーゼに事前に言われていた通り、目をつぶる。
もし目を開けエリーゼを視界に入れていた場合、本気のエリーゼの魅了を食らってしまう。目をつむっていいたとしても、完全に無効にすることはできないほど強力なものである。
私とオクスシアはすぐに目をつよくつむった。そしてハルが戻ってくることを願う。
……頼む、お願いします。どうかハルを…ハルを……
数秒がたったとき自身の服の裾を引っ張られるかんじがした。エリーゼからの合図だと思いすぐに目を開けた。
目のまえのハルが私たちを見る目は変わらなかった。
「ごめんなさい……私では…」
エリーゼは唇を噛み、悔しそうな表情をしていた。
そしてつぎの瞬間、ハルが大きく飛び込んできた。ぎりぎりでオクスタシアがなんとかガードする。
「全員私にしがみついてください!!」
すぐに私とエリーゼがオクスタシアの腕に引っ付く。それとともにオクスタシアの頬に縫われている糸がぶちぶちと切れ始め大きく口が裂け一気に魔力が解放された。
ハルは容赦なく2撃目を打ち込む。
オクスタシアもすかさず構次の一撃もガードすることに成功。しかし反動で大きく吹き飛ばされてしまった。
「くっ……」
ハルが背中から大きく跳ねを展開させ、宙へと飛んだ。とたん口から大きな熱気を感じた。
……まさか
すぐに危機を察知しオクスタシアに呼びかける。
「オクスタシア!」
「分かってる。すぐ退く!!」
私たちは光に覆われ景色がかわった。
気が付くと目の前にはハルはおらず執事たちとデュポンのいる場所へといた。




