ハルは地球にいった
光りに包まれる直前
「そういえば…何も考えてなったな」
このエデンの光りは閻魔大王を元の時代に戻すというか本来あり得ない者を強制する効果がある。もしそれが僕に当たった場合ってどうなるのか?何も考えていなかった。
ふと前を見ると閻魔大王の顔が見えた。
…今までちゃんと直視してなかったけど。顔つきとかやっぱエンマなんだよな。
そんなことが頭をよぎり、僕は光に呑み込まれた。
痛くはないでも何か変な感じがする。意識がどこかに連れていかれるような…
次第に意識が失っていくのに気づいた。しかしそれに抗えず僕は意識がなくなった。
気が付くと僕は知らないベッドにいた。
(どこだ…ここは)
ゆっくりと体をおこし周囲を見渡す。最初に思ったことはそこの気温、雰囲気なにもかもが地獄とは全く別だった。
するとドアがガチャッとあいた。そこには知らない女性がいた。
「おはようさん。いくら花の大学生といえどさ寝すぎ。もう昼だよ。」
その女性は僕に話しかけてきた。それも知らない言語で。しかし僕はそれに自然と返答した。
「別に…僕の勝手でしょ。姉さんも学生の時は生活習慣死んでたって聞いたよ」
そうだ、この人は姉さんだ。そしてぼくの名前は宵風瞬だ。そしてこの女性は宵風慧、僕の姉さんだ。
…いや待て、僕はハルだ。この女性とは初めてあった。名前も関係も過去もすべて頭の中に入っている。
「ねぇ、寝ぼけてるの?私もそろそろ仕事始まるんだけど。」
「あぁごめん。一緒に昼ごはん食べるんだったね。」
歯磨きをし顔を洗い席に着く。どの行動も自然に。
「いただきます」
姉さんの料理を食べ始める。
「やっぱ姉さんの料理はおいしい。」
「当たり前じゃん。そういう配合にしてんだから。」
変な言い方になっているのは姉さんが薬学師だからだろう。
わざわざ仕事の昼休憩に家に帰ってごはんを作ってくれるのには感謝しかない。
…いや待て待て!!何をいっている僕は!おかしい勝手に言葉が出てくる。
「おいさっきからちょくちょく様子がおかしくない?」
「…あぁ、ごめん姉さん。大丈夫だよ」
僕はパクパクと素早くに食事を終わらせた。その後、仕事に行く姉さんを見送り自分の部屋に戻った。
「ふぅ…どういうことだ」
グチャグチャになっている頭の中を少しずつ整理して行く。
最後の記憶はエデンの光りをくらったのが最後だ。そしたらここにいた。
体内に魔力がなくうまく力が入らない。
…まずここはどこだ?
その疑問はすぐに解消される。なぜなら僕がそれを知っていたからだ。
ここは地球、そしてここは東アジア連邦という国だ。
「地球…第2層の村で聞いた。僕のいた星の前文明の星。」
今日は2339年6月15日 月曜日。
僕は大学生、今日は全休だ。
そしてさっき鏡を見て気づいたが顔が大きく変わっていた。
僕は今、宵風瞬という僕とは別の人の人生を見ているのだろうか、しかしどこかこの状況にどこかあるはずもない違和感があった。
…それに姉の慧って人にどこか既視感が。
そもそもここが一体どういう状況なのかすらわからない、いつ戻るのか、何もかもがわからない。
それから5日後、いまだこの夢?のようなものは覚めない。
何となく今僕が置かれている状況に理解が追いついてきた。
まずここは地球が滅びる前の世界だということ。気になっていろいろとスマホというもので調べてみたりした。調べていくとオクスタシアさんの記事が出てきたかなり驚いた。
記事の内容の要約
物理科学者オクスタシア・メーベル。2289年3月14日に住んでいた町一つを消失させるテロを行い多数の死者をだす。その後も様々な殺人事件を起こし続け殺人鬼として名をはぜた。現在は消息不明となっており生死はわからない。
オクスタシア・メーベルの研究資料を見ていくと人類がまだ到達していない領域の研究などが見つかり科学者たちを驚愕させた。科学者たちはオクスタシア・メーベルの研究を深ぼっていけばいずれタイムマシンが作れるようになるかもしれないとの声明を出している。
まさか、こんな形でオクスタシアさんの罪や過去を知れるなんて思いもしなかった。
他にも調べていく中でこの地球は僕のいたプロキオン星とは大きく技術力に差があった。
「おい、瞬!食事中はスマホは見るなっていっただろ。」
現在は夕食中。姉さんにスマホを取り上げられた。
「あーごめんごめん姉さん。」
すっかり姉さんと呼ぶのにも慣れてしまった。というかこの宵風瞬という体が姉さんのことを好きすぎるのかしらないが僕自身も姉さんにかなりなついてしまった。
「まぁいいや、それよりも明日はちゃんと予定開けてるよね」
「ちゃんと開けてるって」
…1か月前から
姉さんの休みはもともと少ないためあらかじめ予定を開けるようにしている。
「約束通り遊園地だからね」
「はいはい」
とまあこんなふうにたった数日で僕はこの地球に慣れてしまった。自分でもかなり驚いている。理由はおそらくこの宵風隼の今までの人生の記憶を保持しているためだろう。
次の日
僕と姉は遊園地に訪れていた。
…おおこれが遊園地。記憶通りほんと夢の国みたいだ。
辺り一面日ごろじゃあ絶対に見れない景色にすごくワクワクしてくる。
「うわ久しぶりだね遊園地なんてー」
自分より年上のはずの姉さんは自分よりもはしゃいでいて思わずほほえんでしまう。
「あ、お前今自分より年上のはずなのに姉さんは自分よりもはしゃいでいるって思ったでしょ」
「思っていることを一字一句合わせて当てるなよ!怖いなぁ。」
「やーーっぱり思ってんじゃねーか。ちぇっ、いいんだよ。遊園地にいる間、心はJKだから!!」
それを言い放ったすぐ後に女子高校生が僕たちの前を横切った。
「…」
実際のJKを見たからか、姉さんは少し静かになった。
「姉さん…もうすぐアラサーだからって落ち込む必要は…」
「だまれ!アラサーっていうなあああ。」
姉さんに頭をぐりぐりとされる。
正直姉さんは非力なためそこまで痛くはなかった。
効いていないのが分かったのかすぐに手を離した。
「うぅ…いいんだもん。今に若返りの薬をつくってやるんだから…」
「はいはい、さっさといこうよ」
項垂れている姉さんの肩を押し遊園地のアトラクションの列へと並んでいった。
そして楽しい時間はあっという間に過ぎてきすっかり夕方ごろになった。
すっかり最後に何かゆったりしたのに乗ろうってことで僕と姉さん観覧車に乗ることにした。
「ふう今日は楽しかったね」
姉は子供のような笑顔でこっちに微笑みかける。
「さすがにジェットコースター3連続はまいったけどね…」
僕はそう言いながら自分の首をさする。
「あはは、私も首がめっちゃ痛いよ。」
今日乗ったアトラクションの感想を一通り語り合った。
「それで最近大学はどう?」
「ぼちぼちかな…まぁ留年の危険性はないかな」
「違う違う…彼女はできそうかって聞いてんだよ」
にやにやとからかうような表情をして僕をのぞき込んでくる。
「うるさいなーいないのわかってるくせに」
「ごめんごめん」
「姉さんこそ男関係どうなの?研究所って姉さん以外男ばっかじゃん」
「いーや。なーんもないんだな、それが。なんかみんなお互いにライバルって感じがしてそういう気はいっさい起こらないよ。というかタイプの男がおらん」
姉はこういう質問をしたとき決まってタイプの男がいないと突っ張ってくる。
「早く作ったら?母さんも心配してたよ」
「う“る”さ“い」
げしげしと脛を蹴られる。
「いたた、怒んないでよ…それで仕事のほうはどんな感じ?」
「まぁぼちぼちかな。あともうちょっとで今まで解決できなかった感染症の特効薬ができるくらい。」
「え、すっご。なにがぼちぼちだよ、大ニュースじゃん。」
「にへへ。ピースピース」
そんな会話を続けていく。その中で僕の中にずっとあった疑念がすこしずつ確信に変わっていた。
「あ、もう降りるじかんか。」
「結局あんま景色見なかったね。」
足元に気を付けながら地上に降りた。
そのまま出ようとすると出口の付近にいた店員さんに観覧車に乗っている僕と姉さんを撮った写真を買うか買わないか提案された。僕が何か言おうとする前に姉さんが
「5枚ください♪」
と即答し店員さんは少し困惑していた。
帰り道
「なんで5枚も買ってんだよ」
「よくあるじゃん観賞用、保存用、布教用って」
「じゃあ三枚でいいじゃん!っていうか布教用って誰に布教するんだよ!」
「布教用ってのは冗談だよ。単純に隼って写真映るの嫌いだから、何枚あってもいいかなって」
「そんな阿呆な理由で……」
姉さんは頭はいいが時々極端に頭悪くなるなって改めて思った。
楽しかった気持ちと若干もう終わりかというさみしい気持ちが混ざりながら僕らは家に帰った。
「それじゃあおやすみーー」
「はい、おやすみー」
姉さんはよほど疲れたのか家に帰って風呂に入るなりすぐに自室に帰って寝てしまった。
「僕も少し疲れたな…」
ぼくもすぐに自室に戻り、ベッドに寝転がり天井を見上げた。
……確実じゃない、けれどやっぱり…
姉さんと話しているときずっと頭の中がすこし引っかかっていた。
「姉さん…いや“エンマ”」
まったくの確証はない。でも僕の頭の中が彼女を…姉さんをエンマだと言っている。
これはきっと理屈とかそういうものじゃないけど確信していた。
つまりエンマが忘れた自分の名前は宵風慧
そしてもう一つ。この体の宵風隼はおそらく僕…ハルの前世だ。
とりあえず別の形ですが久しぶりにエンマの会話が入りましたね。たぶんあと2話くらいは地球の話




