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ハルは天使様にであう

僕たちは、ヴァルの案内でエデンがいるという場所へと向かっていた。荒廃した景色の中、彼は迷いのない足取りで進んでいく。何となくの場所を把握していると言っていた通り、驚くほどあっという間に目的地へ辿り着いた。


「ここにエデンはいるのか」


目の前に広がる不気味な洞穴を見上げ、僕は不安を口にする。ヴァルは視線を洞窟の奥へと向け、短く頷いた。


「ちゃんとエデンの気配があるし、間違いない。それに、まだちゃんと生きてる」


「そういえば、エデンってどういう悪魔なの?」


デュポンの問いに、ヴァルは少しだけ遠い目をして答えた。


「エデンは……まあ、真面目で少しかわいそうな奴だな」


そういえば、以前聞いた彼の肩書きを思い出す。「元四大神」、そして「報われない英雄」天使エデン。そんなことが言われるくらいには何かがあったのだろう。


「それじゃあ、行ってらっしゃい」


ヴァルが足を止め、僕たちの背中を軽く叩く。


「って、ヴァルは行かないのかよ!」

思わず僕とデュポンが思いっきり突っ込んだ。


「行かないよ。俺が行くと、エデンに余計な警戒をされるかもしれないからな。お前らだけで行け」


「流れ的に、一緒に来る感じだったじゃん!」


詰め寄るが、ヴァルは飄々とした顔で僕らを促す。


「まあまあ。とりあえず、行ってきなさい」


「……ええ」


納得はいかないけれど、仕方がない。僕とデュポンは意を決して、薄暗い洞穴の中へと足を踏み入れた。

ヴァルによれば、天使エデンの実力は自分と同等だという。あの規格外なヴァルがそれほど高く評価する相手だ。つまり、僕たちより断然強い。そんな存在に、僕ら二人だけで会って大丈夫なのだろうか。


一歩一歩、洞窟の奥へ歩みを進めると、すぐに「そいつ」はいた。

冷たい空気の中に、一目見ただけで天使だと分かる神々しさが漂っている。暗闇の中でさえ、その存在だけが発光しているかのようだった。


「……誰だ?」


エデンの低い声が洞窟内に反響する。


「えっと、天使エデンさんですよね。僕たち、お願いがあって……」


「……断る」


「え、まだ何も言ってないのに」


「どんな用であれ、了承するつもりはない。早くここから去るといい」


有無を言わせぬ拒絶。けれど、僕も引くわけにはいかない。


「せめて、聞くだけでも……」


「……」


エデンは黙り込んだ。僕はその沈黙を許可だと受け取り、一気に話し出す。


「実は今、この無間地獄第3層に閻魔大王……いや、数千年前に現れた悪魔。そいつが現れています」


僕たち以外は、彼女が閻魔大王だという事実すら知らない。説明しても通じない可能性がある。しかも昔のエンマには決まった名前がないらしく余計に説明が難しい。

……とにかくエンマがいるってことをどうにか伝えないと


「数千年前の悪魔……察するに、彼女のことか」


「分かるんですか!?」

特に説明しなくてもエデンは何となく察せており驚いた。


「アレを見たら、嫌でも覚えるさ。……なるほど、君たちは私の力を使って、あの悪魔を元の時代に戻させてほしいのだな」

エデンはどこか訝し気な表情をしていた。


「そ、そういうことです!」


話が早くて助かる、と思ったのも束の間。エデンは蔑むような、鋭く冷たい目を僕たちに向けた。


「なおさら断ろう。私はもう、誰かのために何かをすることは、もうない」


心まで凍りつくような冷徹な瞳。僕は言葉を失い、ただその場に立ち尽くすことしかできなかった。


「「……」」


一度エデンから距離を置き、僕とデュポンは背を向けてこそこそと話し合う。


「おい、どうする? なんかめっちゃ簡単に断られたけど」


「どうしよ。なんか無理そうじゃない?」


「いいから、さっさと帰りなよ」


背後からエデンの冷ややかな催促が飛んでくる。結局、僕たちは何の成果も得られないまま、肩を落としてヴァルのもとへすごすごと戻るしかなかった。


「お! どうだった?」


洞窟の出口で待ち構えていたヴァルが、呑気に声をかけてくる。


「「無理!!」」


「あらら。断られちゃったか」


「ヴァル、分かってただろ。断られること」


僕がジト目で睨むと、ヴァルは頭をかきながら苦笑した。


「まあね……。時間が経ってたから、ワンチャンないかなって思ったくらいだ」


「なめやがって……。どうすんだよ」


デュポンは期待を裏切られた苛立ちからか、若干半ギレの状態だ。


「本当に、どうしよう……」


「思いついたーーーーっ!」


その時、デュポンの突然空気が一変し、デュポンの人格が黒ポンへと切り替わった。


「え?あ、黒ポン!? どうしたの急に。っていうか何か思いついたの?」


「聞いて驚くなよ。ここにエンマを連れてこよう」


「はああ、何言ってるの!?」

突然に何を言い出すのかとおもったら全く思いもしない、180℃別の解答がでてきた。


「え、だって連れてきたら、エデンは戦わなければならない状態になるじゃん? その流れで閻魔大王を元の時代に返せる! 我ながら完璧! ギロギロギロギロ!」


「ギロギロじゃない!どこが完璧だ。第一、どうやって連れてくるんだよ。僕たちが逃げられずに殺されかけたの、覚えてないの?」

しかし黒ポンは全く怯む様子はなく、どこから溢れているか分からない自信があった。


「まあ……それは」


黒ポンはニヤリと笑うと、ちらちらとヴァルの方に視線を向け、あからさまに肩をすくめて見せた。


「え、俺?」


「ヴァル~、おねがーい。ここに閻魔大王連れてきて~」


黒ポンが猫撫で声でヴァルの腕にすり寄る。


「そんな、プレゼントねだる子供みたいな感じに言うなよ。やらないぞ、俺も死ぬ」


「でも……。今回、私とハルは結構頑張ったのに、ヴァルだけ役に立ってなくない? いやあ、なっさけないなー」


「……ッチ。わかったよ、やればいいんだろ。やれば。明日には連れてくるよ」


煽りに耐えかねたのか、ヴァルは毒づきながら手をひらひらと振って、そのまま勢いで一人で森の奥へと去っていった。

すぐに向かっていったヴァルを見送り僕は呆然としていた。


「いっちゃった。というかよかったのかな……これで」

とても丁寧とは言えない作戦にかなりの不安感が積もる。

……そんなうまくいくとは思えないんだけどな。


「いいんだよ、これで。あのひねくれ天使を説得なんて、不可能だろ。さあさあ、とりあえず離れた場所に移動するぞ。ここにいたら巻き添え食らいそうだし」

僕とは正反対に意気揚々とし歩き出す黒ポンの背中を見つめながら、僕はただ、言いようのない不安に包まれていた。


エンマはでてきたっちゃでてきたのだけれど実際のエンマが10話くらい放置されてて大丈夫かなっていう不安があります。

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