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ハルは新しい部隊に配属される

「お疲れ様、デュポン」


ヴァルの声に、ステージから帰ってきたデュポン?が応える。

「あぁ。もう少し相手が強かったら完璧だったんだけどな」


決闘が終わっても、口調も性格も別人だった。決闘中ずっと『ギロギロ』言っていたから、普通に喋れることに驚いてしまう。


「お、君が新入りの子か。よろしく!」

デュポンの視線が僕に向く。


「え、えっと……」

どう接すればいいか分からず、その場でたじたじと戸惑ってしまう。


「がはは! そう緊張するな。あのチキン野郎と違うのが気になるのか?」


「チ、チキン野郎?」


僕が首を傾げると、ヴァルが間に割り込んできた。

「それじゃ分からんだろ。チキン野郎ってのは、こいつ豹変する前のデュポンのことだよ。こいつ、二重人格なんだ」


「二重人格!?」


「あぁ。しばらく寝たら元に戻るけどね。主導権はあっちが握ってる。この頭のおかしい方は、俺が『黒ポン』って名付けたんだ」


「黒ポン……?」

見た目にそぐわない名前に思わず聞き返すと、ヴァルは「可愛いだろ?」と自慢げに話しており突っ込む余裕がなかった。


「ええと……黒ポンさん?は、それでいいんですか?」


「なー。ヴァルのセンスは終わってるよな。まぁ、名前なんてどうでもいい。それよりも……」


黒ポンが、ヌッと顔を近づけてくる。いきなりのことに思わず半歩ほど後ろにあとずさりした。


「君も、ギロチン教に入らないか?」


「は、はい……?」


「お、今の返事は『イエス』だな! よし、君には司教の座を——ッア!!」

言い終える前に、ヴァルの強烈なチョップが黒ポンの脳頂に落ちた。


「こら、初対面の相手を宗教に誘うなと言っただろう」


しかし黒ポンは聞く耳を持たず、すぐに立ち上がって再び迫ってくる。

「うぅ……。どうだい? 君もギロチンを崇拝すれば、きっとおおお! いだだだ!!」

今度はヴァルに頭をぐりぐりと追い打ちされていた。


「こらこら」


「ごめんなさいごめんなさい! もう言いません! 割れる、頭が割れるぅぅ!!」


十秒ほど頭をぐりぐりとされ、黒ポンはその場に倒れ込んだ。

……この力関係を見るに、ヴァルの方が上なのだろうか。でも、さっきの戦闘を見る限り、ヴァルが黒ポンより強いとは到底思えなかったけれど。


ヴァルは「やれやれ」と溜息をつき、僕に向き直る。

「ごめんね、変なもの見せちゃって。ギロチン教っていうのは、こいつが勝手に作った自分一人しか入ってない宗教だから、忘れていいよ」


「……あ、はい」


しばらくして、ボロボロになった元部隊のメンバーが帰ってきた。切られた腕などを縫い付けさせ何とか動けているという感じだった。たとえ切られたとしてもあのようにくっつけていれば切れた細胞が勝手に再生し時間を置けば完全に接着する。


僕の前を通ったが何か言われることもなく、目線1つ合わなかった。その表情はもう絶望しかなかった。


「気にするな、ハル。ここでは珍しいことじゃない。これからもたくさん見ることになるさ」

ヴァルの言葉に、僕はただ黙ってその背中を追うしかなかった。


■■■


案内された部屋は、二段ベッドと机があるだけの平凡な部屋だった。作り的には前までの部隊とはそう大差はなかった。


「いいよ、そこに腰掛けて」

促されるまま椅子に座ると、ヴァルが正面に向かい合って座った。


「それで、なにか聞きたいことがあるんじゃない?」


「えっと…ヴァルさん」


「ヴァルでいいよ」


「……ヴァル。なんで、僕を助けてくれたの?なんにもメリットなんてないはずなのに」


ここでのポイントの加算方法の一つに部隊の人数が関係している。人数が多ければ取らなければいけないポイント量は増えるし、もちろん少なければそのポイント量も減る。僕のような新入りを入れるのはリスクでしかないはずだ。


「別に、たぶん君が求めてるような答えを言うことはできないよ。だって特に理由が思いつかないから」


「いや、さすがに何か理由の一つくらいはあるんじゃ。それじゃあ困ってる人全員助けてないと…」


「そう…だけどそうじゃないんだよね。たぶんだけど、俺を育ててくれた人に影響されてる

からかな?千年間くらいずっと一緒にいたし、いつの間にかその人の考えを無意識に実行

しちゃってるのだと…思う?」


「いや、そんな聞かれても…」


その言い方は常に曖昧で心当たりがヴァル自身にも全く分からないというのを感じた。それと同時にこれ以上言っても仕方ないということが分かった。


「ま、ただの気まぐれさ。あの人もきっと何も考えていないしね」


「けっこう尊敬してるんだね。その育ててくれた人に」


「え、そうなの!?」


「いや、なんでヴァルが驚いてんの…」


しばらくヴァルと会話して思ったのは天然というか…そもそも自分のことをあんまり考えてないような人という印象だった。


「ひいいいいい!!!!」

突如、気絶していた黒ポンが叫びだした。


「えええ!!な、何事??」


「あ、戻ったか」


思いっきり動揺している僕に比べてヴァルはいつものことかのように落ち着いていた。


「はぁはぁ…どうなったの」


「あー大丈夫だよ。いつも通りだったよ」

それを聞いた瞬間デュポンはその場に崩れ落ち、そのままうずくまっていた。


「うぐうううううう!!!またあのキ○ガイ野郎になってのかよおお!!」


どうやら黒ポンは元のデュポンに戻っていたようだ。


「…本当に別人だ」


喋り方、表情、立ち方が明らかにさっきとは別だった。本当に二重人格だということを再認識した。


デュポンは「はっ!」と何かに気づいたようですぐさま僕の足元に向かいいすぐさま土下座してきた。

「ごめん!あいつ変なことしてこなかったか?」


「…したっちゃしたかな」


「一応聞くけど…あいつ何した?」


「……ギロチン教に勧誘」


「う“わ”あ“あ”あああああああ!!」

再びデュポンは地面にうずくまり叫びだした。


「かわいそうに…なむなむ」

ヴァルが手を合わせながらデュポンのことを憐れんでいた。


「…本当、かわいそうですね」


「黒ポンとちがって、デュポンは黒ポンになっているの時の記憶がないから、毎回こんな感じになってる。だから早く慣れていたほうがいいよ。」

デュポンの様子を見て慣れる気がしねーと内心で強く思った。


「あ、そういえばまだヴァルにまだ聞きたいことが…」


「ん?なに」


「えっとエン…」

エンマのことを聞こうとした瞬間、口が止まり思考が回転しだした。

…いや待て待て、この人たちにもそういえば閻魔大王を殺せばこの無間地獄を出られるって情報が流れてるんだった!!今話すのはよくない!!!


「えん?」


「あえっと、えん…りょしなくてもいいの?」


「?なんだよ今更、気にしなくてもいいよ。」

がはは、と笑いながらヴァルにぽんぽんと頭をなでられた。

…危ない、なんとかごまかせた。聞くのはもう少しヴァルのことを知ってからにしよう。


「ま、とりあえずこれからよろしくな、ハル。」

こうして僕は新しい部隊に配属されることになった。


ぎろぎろってなんか聞き覚えあるなと思ったらケロロ軍曹にギロロがいたなーって思いました。

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