ハルの行方
どうなった?どうなってる?エンマは?…
そうだ思いだした確かあの黒い球に吸い込まれてそれで…それでなんでこんなことに。
「「進めえええええ!!止まるなあアアアアア!!!」」
何を言っているか分からないが僕はいま戦地のど真ん中に突っ立っていた。怒声と金属のぶつかる音そして血がしぶき出る音が辺り一面からひたすら聞こえてくる。
片方は重装備の悪魔たち、そして戦っているその相手は…人型の機械だった。
そこにいるだけで必死さ、殺意や色々な感情を感じた。その中でふと生きていたときの記憶がよみがえり一つの単語がよみがえる。
「戦争…」
ズシーンッ!!
すぐ目の前に僕の3倍の背丈の四足歩行の機械が落ちてきた。
「おいどけ!俺のだぞ!!」
「黙れ、仕留めたのは俺のほうだぞ!」
その巨大な機械に多くの悪魔が群がり始めた。
やがて一人の悪魔がその機械の上に立ち、右手を掲げあげ雄叫びを上げていた。
その右手には緑色の弾が握られていた。
ドン!!
走っている悪魔と思いっきりぶつかった。
「くそったれが、あれさえ取っていれば…。早く次を探さないと」
ぶつかったことに気づいていないのか、気づいている暇がないのか、その悪魔には全くの余裕がない顔をしていた。
「あの!すみません!」
離れようとするその悪魔を慌てて反射で呼び止めてしまう。イラついた表情でその悪魔は振り返る。
「あぁ!なんだ!他の班への邪魔って禁止ルールわかってんのかよ!?」
…班?禁止ルール?
目の前の悪魔が何を言っているかは何も分からなかった。
「すみません、そもそもここは一体どこなんですか!」
「お前…頭でも打ったのか?どこの班の悪魔だ」
「だからさっきから何を言っているのか…私はさっきここにきたばかりで」
そういうと兵士の顔がすこし変わったように見えた。
「は?お前もしかして、ビギナーか?」
「ビギナー?」
その言葉を聞いたとたん目の前の悪魔の目の色が一気に変わった。ものすごい喜びようでその場ではねる。
「よっしよしよしよし!!50点ゲットだああ。これで、助かった、本当によかった…」
依然何を言っているのかまったくわからない。
「だから!さっきから一体何を言って?」
いつのまにか手首に鎖がかけられていた。
「いいからついてこい」
鎖でつながれた腕を引っ張られ無理やり引っ張られ抵抗する間もなく連れていかれた。
そうしてついた場所は要塞のような巨大な施設だった。
「これは…」
今まで城や豪邸…いろいろなものを見たため慣れているとは思っていた。だが今まで見た建物とは全く別、むき出しになっている砲台など明らかに誰かを殺すために作られたとわかる施設だった。
「その様子を見るに、やはりビギナー…安心したよ。」
「…さっきから一体何を言っているか分からない。」
「ふふ、すぐに分かるから大丈夫さ。」
「…」
不敵に笑うその悪魔を見て思わず悪寒を感じてしまう。
…いったい僕はこれからどうなるんだ
要塞の中には外と同様ほどの数の悪魔がどっとあふれていた。
「こっちだ」
そこからまた少し引っ張られながら歩いた。
「よし、ついたぞ。」
目的地につくなり床に投げ飛ばされた。
「いたた、…それで僕はいったいどうなるんだ?」
「静かにしろ、あの方が来る。」
いきなり連れてこさせられて、黙れとは言われるのはあまりに理不尽すぎた。
とりあえず言われた通り黙っていると目の前に新しい悪魔がいた。
「そうだね、その顔を見るに本当にここに来たばかりのようだね。」
「…だれ?」
「久しぶりな自己紹介をしよう、私は閻魔大王候補第一期生、ギネーベ。ここの要塞の王をしている。」
「ッ!閻魔大王候補…」
その単語を聞き思わず身構える。
「さすがにその言葉はしっていたか。それで君のこれから、私という王のもとで支持を受けてもらう。配属する部隊はもう決まっている。」
「部隊…」
「ではこれからよろしく頼もう」
それから一週間がたち、ここでのおおよそのルールが分かった。大きく4っつ。
一つ目、この試練の間では最初にいた機械兵がいる。この機械兵は言葉は一切発さないにもかかわらず完璧な連携をとり襲ってくる。
二つ目、機械兵の内部にあるコアが得点となる。この得点が足りなければ閻魔大王候補ギネーベの決めた罰を受けることになる。逆に得点があれば様々な融通が利く。
三つ目、ここではギネーベからは絶対に逃げることはできないということらしい。逃げたものは皆最終的にこの要塞内に戻され、配属していた部隊のメンバーたちを含め罰を与えられる。
四つ目、決闘。部隊同士で互いの同意があれば決闘をすることができる。また、決闘で賭けることも可能。
そして僕の配属された部隊は控えめに言わずとも“最悪”だった。部隊人数は僕を合わせて5人、現得点は42点。ちなみに得点は50を超えなければ罰が下るため足りてない。そしてその罰が下るまであと3日。
部隊は非常にひりついており、そのストレスの矛先は新人の僕へとやってきていた。
そして現在僕の部隊は敵兵の小部隊を待ちぶせしているところだ。
「おい、まだかよ…」
「黙れ、確かな筋からの情報だ。今は待つしかない」
かれこれ待ち続けて10時間ほどたっている。皆疲労がピークに達しおり雰囲気が悪くなっていた。
「おい…あれだ!」
部隊の一人が指を刺した。そこには300を超える機械兵がいた。話を聞く限り、偵察部隊とのこと。
…今からあそこに特攻するのか
ここにきてから特攻することなんて少なくない。
「いくぞ、新入り。」
「…はい」
こちらは僕たちの部隊以外にも数部隊待ち伏せしている。しかし全部合わせても50人もいない。
…でもやるしかない
恐怖を押し殺し、僕は重い足を踏み出した。
これからしばらくハル視点です。どっかでエンマもでてきます。




