オクスタシアとアルカ3
空間から骨でできた化物が出てきた。
明らかに私たちとは生物としての系列が全く異なる圧倒的な異質なオーラを放っている。
思わずあとずさりする。
瞬間その化物がこっちに突っ込んでくる。ぎりぎりで反応しその一撃をバリアで受け止める。バリアはバキバキとひび割れていく
「くっ…これは」
魔力をできる限り放出しバリアを重ね掛けしなんとか防ぎ切った。
…防ぎ切ったと思ったんだがな
腕のほうにかなりの切り傷があった。
化物のほうをじっとにらみつけ観察する。
…なるほど、アルカはやっぱり召喚魔法をつかったようだ。ならあれの正体が大体分かった。
本来アルカや私のような能力を持っている悪魔は魔法を使う場合、魔力の燃費が非常に悪く使わない。というよりかは使うメリットがない。しかし今のアルカが魔法を使えているのは魂を触媒としているからだろう。
魂を触媒にすれば、どんなに下手な奴でもある程度の実力を得ることができる。なぜなら“命“を懸けているのと同義であるからだ。
…そしてあの化物はその魂を燃やし続け動いている。
そこからは防戦一方だった。アルカたちの攻撃は当たれば致命傷、それに加えアルカには攻撃が通じない。
「はぁはぁ」
「「そろそろ限界が近いんじゃない?」」
ふと頭の中に声が聞こえてくる
「「もう…全部壊しちゃえよ」」
「…黙れ」
「「いつまで我慢するつもりなの?いい加減その体をわたしに」」
「だまぁああれええ」
自分の頭の中の何かが一瞬だけ決壊し辺り一面に大きな衝撃が走る。
すぐに正気を取り戻す。
アルカやあの化物は吹っ飛ばされたようでそこにはいなかった。
「くそ…もうそんな時間か」
私が頬の糸を抜いてからもう8分がたとうとしていた。
…早くアルカたちをやらないと
前を向き上空へと移動し上空から現在の状況を見ようとした。すると青い光が村の中から現れる
…あれは
そこには手足が縛られている悪魔たちが200人ほどいた。おそらくアルカから魂を取られた生贄の対象だろう。
「惨いな」
一瞬ここで生贄たちを私の手で殺しておくという選択肢が頭の中に浮かんできた。がすぐさまその選択肢を消す。
その時すぐ後ろから声が聞こえる
「惨いなんてひどい言い方をする…彼らは契約に従ってるだけなんだぜ?」
アルカはあの化物の背中にまたがり後ろにいた。
すぐに振り向きすぐさま重力の塊をアルカに向けてうつ。
それに対しアルカは微動だにせず、またがっていた化物の口があく。そこから膨大な魔力が放出される。
私のだした重力の塊は消え去り、化物の魔力は私を呑み込んだ。
視界が膨大な魔力によりさえぎられる。
最初に出した重力の塊により魔力がある程度分散していたため大した攻撃にはなっていなかった。
ようやく視界が開けると目の前にいたはずのアルカは姿を消していた。
「ッ!上か」
見上げると私のさらに上空にアルカが移動していた。
再びあの化物の口が開きさっき同様の魔力が放出される。
もろに直撃し下にあった家の屋根を突き破りたたき落とされた。
一瞬意識が飛ぶもすぐに立ち上がる。何か考えや作戦があるわけでもない。ただアルカと戦わなくちゃいけないという使命感が私を動かした。
その間ずっと脳内に声が響く。
「「あいつらむかつくね。さっさと殺しちゃえよ」
「「ほらほら早く早く」」
頭の中がグチャグチャになってくる。
…だめだ、もう何も考えられない
諦めそうになった時、現実から声が聞こえてくる。
「おい!大丈夫なのか?」
目の前にはエミさんがいた。すぐさま顔を笑顔にかえ平静を保とうとする。
「エミさん…早く逃げてください。ここは大丈夫ですから」
「今のお前を見てここを離れるわけにはいかないの」
「そんな顔してよく言う」
「あれ、今の私はそんなひどい顔をしているのですか?」
「どうだろうね…それより何か考えはあるのか」
「…」
「何もないんだな。」
エミさんはあきれた顔をする。エミさんと話しているうちにいつのまにか頭に響いてた声が聞こえなくなり冷静さを取り戻していた。
「アルカと戦っているときなにかなかったのかい?違和感とか。遠くから見て思ったんだが経験上あれだけの威力は絶対裏に何かあるはずじゃ。」
エミさんに言われ今までのアルカの行動を思い返してみる。
だが特にそれらしき何かは思いつかなかった。しいていうなら体の再生にムラがあるくらいだった。一瞬で回復したり少し間をおいて回復したりその程度。
「特に思いつかない…アルカがあれだけの火力が成り立つのは圧倒的な生贄の数ですから」
さっき上空で見た転移魔法。あれ一回で200の生贄が用意されていた。数分おきにあれと同じ数だけの生贄が転移される。そう考えるとアルカを倒すのはほぼほぼ不可能となる。
「いや、待て。なにかおかしい」
…なぜ生贄をわざわざこの戦場に転移させた?私はしなかったが生贄が殺されるリスクもあった。百歩譲って戦える兵を転移させるのはわかった。でもさっき転移された生贄は明らかに手足が縛られて明らかに戦闘要員ではない。それじゃあ一体なぜ。
必死に考えを巡らせる。
「…あぁそうか、わかった。わかりました!!」
「お、本当か!」
「あぁこの方法ならアルカの再生を無視して倒すことができる。でもこれにはエミさんの協力が不可欠です。」
「わかった、できることなら」
一通りおもいついたことを話し終えた。すると建物に大きな衝撃音がなり崩れ始める。
「アルカがもう来ている。じゃあ頼みますよ」
「任せなさい、オクスタシアも気をつけて」
崩れる中それを最後にエミさんとは一旦離れることになった。
建物が崩れ終わるとすぐそこにアルカとあの化物の姿があった。
「ふぅ…そろそろあきらめて僕と契約をしないか?オク。今なら少しはそちらの要望に応ええてやってもいい。」
「分かってんだろ、私の意見が変わらないことくらい。もちろん“NO“だ」
状況は絶体絶命だが自然と私の口角があがり口が裂け始める。
全身をまとってるバリアを完全に解きとんっと軽く足踏みする。
アルカがチャンスといわんばかり手に剣を生み出し私目掛け踏み出す。しかし私に近づけなかった。というよりかは一歩歩くたびにアルカの位置が無造作な場所にワープしている。
「は?何が起こってる。おい!やれ」
アルカがそういうと化物は口を大きくあけさっき同様の魔力を放出する。
その咆哮もまた無造作にワープし私に当たらなかった。
あの足踏みとともに現在私を中心とする半径8メートルの円形内で空間と空間どおしつなぎ目に歪みを生じさせている。これにより1メートル移動するたびにこの円形内のランダムな場所に飛ばされる。
「まずはその化物からやる。」
杖の先に魔力をこめ薙刀のようにする。
アルカたちが何が起こっているのか混乱しているとき私はゆっくりと歩きだす。右、後ろ、前、右、左。本来あり得ない方向に歩いていく。そして何もない宙に薙刀状になっている杖をふる。
その一撃は数メートル離れている化物の胴を大きく切り裂いた。
「グワアアア!!!」
化物は大きく叫び暴れ再び別の場所にワープしだす。
…よしうまくいった。というかあの化物には恐らく知性はないのか
もちろんこの空間は無敵というわけじゃない。そもそも私自身こういう細かく能力を使うのはあまり慣れていなくこの空間を完璧に操れていない。数秒おきに空間が歪みそのたびにワープ先が変わる。
空間がどのように歪んでいるか、どこをいけばいいのかを読み取ることはできる。
だが一瞬で変わる空間に順応しなくてはいかなくてはちゃんとした道には進めない。
…それに加え防御を完全に解いている。というか解かないとここまで細かい空間は作り出せないからな。
この状態でアルカや化物の攻撃を食らえば体は簡単にはじけ飛ぶだろう。魔力消費が大きい物も使えば空間が崩壊する可能性がある。
…とにかく目標は時間を稼ぐこと。この仕組みに気づいていないうちにできる限りダメージを与える。
今度は少し速度を上げ前、前、左、後ろと移動し化物の顔面に突き刺し目の部分をつぶす。立て続けに足、胴を切り裂いてく
「アガアアアア!!」
刺された化物はがむしゃらに魔力を放出していく。
…よし効いてる。あの化物は内包している魂を使い切れば完全に消滅する。それに耐久性は高くない!
その時、魔力は空間内のランダムな場所に飛ばされるなか数十発のうちその一撃だけが私の耳元を射抜いた。
「いだっ」
右耳が削り取られ血が流れる。キーンと耳から聴力が失われていくのを感じる。
…くっそ、そりゃそうか結局ランダムに飛ばすだけで当たる可能性もある。だが致命傷じゃないだけか
しかし、それを見たアルカの表情が変わりだす。
「なるほどそうすればいいのか!続けろ!」
その命令を受けたのか化物は再びがむしゃらに狙いを定めず魔力を放出し始める。
「解除!!」
辺り一面の歪みが元に戻る。
…この一瞬がチャンス!
いまだ化物は狙いを全く定めずに打ち続けている。それにより簡単に魔力よけ一気に近づく。
「やめろ!狙いをちゃんと定めろ!」
アルカの叫び声が聞こえるだがもう遅い。
この化物を切り裂いたとき気づいたがあまりにも装甲がうすい。恐らく体内に保持する魂をすべて攻撃に特化するように作られているのだろう。
“”ならば一撃で葬ることは可能だ。“”
零距離で杖から強大な重力を発生させバキバキと音を立てて化物は完全に粉々となった。
「よくも…よくもよくもやってくれたなぁ!!!」
アルカはギシギシと爪をかみ怒りをこちらに向けてくる
「“ザイン”!!」
すぐさま剣を生み出しアルカがこちらに近づく。
「死ねえええええ!!!」
向かってくるアルカに斬撃を複数飛ばす。その斬撃をアルカは全く避ける気はなくもろに切り刻んだ。
「ばかか!こんな傷いくら受けたって意味がぁああんぁ」
アルカの体はそのまま崩れ落ちる。
「なんでなんでなんで!!」
腹部から流れる血を抑えうずくまっていた。アルカの傷は治っていない。
「一体何をした!!」
「そりゃ治らないよ。だってここ上空1000メートルだから」
アルカの再生の仕組み。対象の魂のコピーを所持することによりその魂にダメージを押し付けることによりアルカは無傷でいられる。しかしその時の条件としてその“対象者が近くになくてはならない”という制限がある。
…この階にわざわざ生贄を転移させたのがその証拠だ。さすがに1000メートルも離れたら回復はできない様だ。
「ありえない…だって景色は変わってないじゃないか」
「あぁそういう…」
パチンと指を鳴らすと辺りの景色がゆがみだし一気に変わる。すぐに隣には大きな雪雲があり、私たちの突いている地面は半球状の浮き島のようになり空中へと浮いていた。
「空間をゆがませて景色を変えてたんだよ。」
「くそが…」
ふらふらとアルカが立ち上がる。
「あきらめてたまるかぁああ!」
私に背を向け端のほうまで移動する。体を崩しそのまま落下しようとした…がその体は見えない壁にはじかれた
「逃がすわけがないだろ。この浮き島は私の結界で閉じられてる状態だ。」
おそらく落下すれば落下の衝撃をすぐ近くにいる悪魔に押し付けようとしたのだろう。
「いやだいやだいやだ」
アルカは必死に結界をたたきつける。だが結界は微動だにしない。
…距離が離れれば再生だけじゃなくて魂を使った魔法も使えないのか
アルカの必死にもがく姿はどこかかわいそうというか哀れという気持ちになってくる。
「それじゃあ終わりにしよう、私たちの1000年間続いた争いを。」
手をアルカにかざす。
「お前が悪いんだぞ。全部お前のせいじゃないか。オクスタシアがオクスタシアがああああああ」
ぷちゅん
その音とともにアルカは5センチほどのキューブの形に押し固められた。
「ごめんよ、アルカ」
そうして私たちの1000年間に続いた争いは幕を下ろした。
黒い糸を取り出し裂けてる口を縫い付ける。それと同時に島を支えてる重力が弱まり急速に落下していく。地面につく残り数メートルで減速させ落下による被害はゼロに抑えた。
地表に戻るとほとんどの争いはすでに終わっていた。アルカが死んだため契約が破棄されたからだろう。
「おつかれさま、オクスタシア」
声のほうを見るとそこにはエミさんがいた。
「あぁお疲れ様エミさん。なんとかなりましたね」
「いや驚かされたよ。アルカたちの目の前で転移魔法を起動してほしいなんての」
「エミさんならできるなって思ったから」
アルカと戦っている最中空間をゆがませ特殊な空間を作った際あの時すでに周りの状態を悟れないように外の景色をすり替え空間の外側を見れないようにした。その間、エミさんや魔力を使うのにたけているものを呼び出し空間の外側で転移魔法を起動させた。
転移魔法は発動するまでにかなりの時間そして近くにいればいるほど正確に転移させることができる。
あとは地面ごとアルカの結界を飛び越えた1000メートル先まで移動させる。タイミングをみて私が島を重力で支え落下を防いだというわけだ。
…我ながらかなり無茶な作戦だったな。
「よし、それじゃあエンマのところまで行こうか」
一回データが吹き飛んで発狂してました。本当に戦闘描写の表現がへたくそだなと書きながらひたすら感じてます。ですがなにはともあれ、やっとこさオクスタシアとアルカの話は終わりです。次からはたぶん3層に入るか入らないかの話ですね。アルカとオクスタシアの過去話はどこかでやるかもしれないです。




