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第37話 人魚姫と8人の人魚

 


「うん? ここはどこだ?」


 木々から差し込む光の中、陽二は目覚めた。


 人魚(婆さん)の精神攻撃を受けた陽二、許容量を超えてしまい気絶していたのだ。

 もし気を失っていなければ、間違いなく廃人になっていただろう。そう、リングのコーナーで髪の毛が真っ白になりながら……


 だが、自己防衛機構の迅速で的確な判断により陽二は救われたのだ! 人間という生き物は素晴らしいものである

 さて、話を戻すと自己防衛機構の働きで戦場から強制離脱していた頃、人魚たちに劇的な変化が起こっていた。


 人魚たちは、気を失っていた陽二とヴァイオレット、そしてパールを連れて湖の奥にある巨大な植物の上に来ていた。

 

 そこは週に1度、パールに『ペロペロ』する場所


 陽二に感謝感激、雨あられ! の人魚たち。

 お礼の気持ちを込めて、裸にした陽二のすみずみをペロペロしたのだ。

 下半身を担当したのはヴァイオレットだ!


*


 この『ペロペロ』という行為には、いくつかの意味がある


 1つ目は人魚姫から子種を授かるための大事な儀式。


 姫の体をペロペロすることによって、無毒化された子種が胎内から分泌液と共に出される。それを摂取して体内に保管するのだ。


 2つ目は仲間同士のコミュニケーションや親愛行動。


 ただし、本来の『ペロペロ』は人魚姫の部屋でしか行われないため、人魚以外がペロペロを見たり、受けたりする事は皆無。

 よって、された人物は陽二が初となる


 3つ目は『婚姻の儀』


 これは特殊で、姫や人魚の見守る中、特別な魔方陣の中で行う『種族を変更』するための儀式で結婚する2人で行う。

 ※ただし、誓約が発生して破ると死んでしまう。


*


 人魚たちが陽二とコミュニケーションを取る様にペロペロしていると、パールが目を覚ました。


「皆さん? 婆さま達なの?」


 パールが驚いたのも当然だろう。


 人魚たちの最年長者はヴァイオレットである。およそ600年、子供を産めなくなって100年ちょい。

 最年少の人魚でおよそ300年、子供を産めなくなって50年程だろう。


 ヴァイオレットは先代の分泌液を飲んでいたので、何とかくたばらずに(・・・・・・)生きていられたが、それも風前の灯火。

 最年少の人魚は、反則技を使って仲間の種で子どもを産んだせいで、わずか200年で老化が始まってしまった。


 その頃からだ。

 以前は羨望のまなざしでチヤホヤされていたが、若返りもできず老いてゆくだけの人魚を笑う者が増えたのだ。

 最初は女の嫉妬心だったのかもしれない、それがどんどんと広がって


 人魚=嘲笑の対象


 とまで言われるようになってしまったのだ。


 だが、ヴァイオレット達も手を打っていなかった訳ではない。


 パールだ! パールは聖霊から(たまわ)った次期聖霊候補の子ども。すなわち、成熟すれば人魚姫である。

 先代の人魚姫が生きていた頃に授かった卵だったが、孵化(ふか)する前に事件が起こり先代の人魚姫が死んでしまった。


 そのため、パールの孵化(ふか)を待ち望んでいた矢先、追い打ちをかける事件が起こった。


 5聖霊の(けが)れである。


 その中の1人、水の聖霊サラデインも(けが)れに犯されてしまった。

 聖霊は各属性、性質に関係のある精霊にとって存在が力、存在が(けが)れてしまえば精霊にも影響が出てしまう


 パールの卵にも影響がでて孵化(ふか)まで200年を要し、成熟するまで同程度の年月が必要だった。


そこでヴァイオレットは、種族の存続のため反則技を使い仲間に種を渡した。


 だがそれだけでは終わらなかった。


 どれだけペロペロしても、成熟したはずのパールから分泌液が出なかったのだ! 

 最近では、週に1度のペロペロも形だけになりつつ、ヴァイオレットも諦めかけていたとき、家政婦は見た!


 何時もの場所にいなかったパールを探して水面に近づいたときだった。水の振動でパールの艶めかしい声が聞こえる


「あ…そこぉ……陽ちん…強く…吸って……いゃん」


 人魚界に激震が走った!!


 といってもその場にいる8人だけなのだが……しずかに顔を出し聞き耳をたてて様子をうかがう。


 またもや人魚界に激動という名の激震が走り回った!


 パールの上気した顔や体、さらに漂う甘い香り。

 ヴァイオレットは確信した! は〇たいらさんに全部だ!


 パールの鱗や体の下には大量の分泌液が……

 ゴクゴク飲み干して五臓六()に染み込ませたい気持を我慢して、一芝居を打つことにした。


 今後のため、陽二を見定めるために


 人魚(ババア)を見ても、笑わない人族かどうかを!


 いちおう殿方の前に出るとあって、みんなでヴァイオレットに化粧をするが、あえて(・・・)笑われる方向に化粧をした。

 

 簡単な打ち合わせのあと突撃開始!


「コラ! ババア!」


 な、何じゃと? ワシを見て笑い出すよりも声をかけてきおったけぇ、まだこんな人族がおったのけぇ


 サラデインでは、チラリと姿を見られただけで笑いが起こる。トラウマレベル。


 いきなりどなられ何事かと思ったが、乙女が胸をさらしているのを怒っていると解釈したヴァイオレットは、お返しに宴会芸を披露することにした。

 なぜか謝罪を受けてしまい困惑したが、もっと踏み込むことにした


 パールのことは本気なのか? 子種を授ける気はあるのか?


 ヴァイオレットは、この男がパールを守るために自分を殺してしまっても良いと思いながら(しむ)けたが、チリチリにされて思わず火がついて2大必殺技を使ってしまった。


 だが、陽二は逆らいもせず左右の頬を差し出した。

 差しだされてしまったら『平手(ラッシュ)』を止めるわけにはいかない


 ここで予想外のことが起きた。

 名前を聞かれたので答えると、陽二がペロペロしてきたのだ。


 それもこんな人魚(ババア)


 ヴァイオレットは感激した。が、思わず変態とののしってしまった。そんな人魚(ババア)に対して、差別なくペロペロをしてくる陽二に、いつの間にか全てを委ねていた。


 ヴァイオレットが目覚めたとき、自身を含め全員に変化が現れた。1番下の人魚が姫と同じくらい。人間で例えると20歳前後。

 他の人魚は30~40歳程の妖艶(ようえん)あふれるマダムに若返っていた


 しなびれた茶色の髪は、光り輝く金髪に


 シワシワの顔は、みずみずしいプルンとした肌に


 痩せ細っていた体は、健康的なダイナマイツ・バディに


 ボロボロではがれていた茶色い鱗は、髪と同じくキラキラと輝く金色で傷1つない鱗に


 8人の人魚は棺桶(かんおけ)を蹴り上げ、華麗に復活したのだった!


 人魚たちは、陽二がヴァイオレットにした事を見て感激していた。お返しとばかりに陽二をひんむき『ご奉仕(ペロペロ)』する。


 足先から手の先、体のすみずみに人魚のペロペロが始まる。


 ある程度ペロペロすると、陽二の唇にむさぼりつきマダムエキスを注入する。

 それに反応した下半身! ヴァイオレットは恩を返すように丁寧にペロペロする。

 花火は打ち上げ寸前! だが、ヴァイオレットは回り込んで逃げ道をふさぎ捕まえた。


 その時


「皆さん? 婆さま達なの?」


 パールが目を覚ました



*



 私の名前はパール・ディンプシー。自分では分からないけど皆からは『人魚姫』って呼ばれています。


 生まれたときからずっーとここに住んでいます。

 でも少しも寂しくありませんの。たまに婆さま達がサラデインの海に遊びに連れて行ってくれます。


 それに泉の底には、とてもきれいな人魚がいて私のお話を聞いてくれますの…といっても眠ったままなので、パールが一方的に話しかけているだけですの……


 でも、見ているだけですごく安心できますの!

 同じピンクの髪と鱗。婆さま達にお話を聞いたら、先代の人魚姫様なんですって…戦争に巻き込まれて亡くなったそうで、かわいそうですの。


 悲しくなって泣いちゃいました。


 パールは昔、青い髪と鱗でした。

 成熟すると先代の姫様と同じ色になると聞いていました。


 でも同じ色になった頃から、婆さま達の眼が鋭くなってきて(しき)りにペロペロをしてくるんです。


「何でそんなことをするの?」


 と、聞くと


 ペロペロをすると、パールから『ブンピツエキ』が出るらしく、それが出ないと婆さま達は死んでしまうらしいのです。


 パールもソレを出そうと頑張ったんですけど、婆さま達の目が怖くて駄目でした。

 次第に婆さま達から諦めた感じが伝わってきて、申し訳ない気持になりました


 そんなときです


 この『精霊の泉』に怖い魔物じゃなくて、かわいい格好をした人族が現れました。

 町で見たことがあるけど、婆さま達は人族は好きではないようです。


 パールは勇気を出して話しかけようとしたのですが、青い髪のきれいな人が、黒い髪の女の子を投げ飛ばしてしまい驚いてしまいました。


 ただ、飛んでいくスカートの中に何かがチラリと見えたとき、ドキッとしました。


 なんだろう?


 とずっと見ていました。すると、お尻がムズムズしてきて、とてももどかしい気持になってきましたの


 結局、声をかける事はできずに水の中にいたら、今度は男の子が現れましたの。 

 ずっと見ていたら、また、ムズムズしてきたので勇気を振り絞って声をかけました


 男の子が水の中に落ちてしまいました。

 慌てて助けたのですが、男の子に触れられるともっと触って欲しくなりましたの。


 パールは言いました


「ねぇ、お願いがあるんだけど……いいかなぁ?」


 婆さま。いえ姉様たちの姿を見たときに確信しました。


 もう大丈夫なの! と……


その後、ヴァイオレット達は円を作り祈りをささげるように歌い始めた。その中心では本来の成熟を果たしたパールが、無言で陽二に近づき肌を重ねていた



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