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第36話 現る! 婆さん人魚

 

 ★黄金指(ゴールドフィンガー)を獲得。


「マジか!」


 ひょんな事から新たなスキルをゲットしてしまった陽二。


 隣には、あられのない姿で倒れている人魚姫パール。

 意識がないのか、口元にはよだれが垂れている。顔や上半身は汗でびっちょり。


 胸のホタテが取れているのは流れというやつで、ビッグマウンテンは天にそびえ存在を誇示している。

 どこから出たのか、パールの下には水たまりができていて、尾ビレまでビチョビチョになっている


 パールは汗っかきらしい…


「やりすぎた……」


 収納スペースからタオルを取り出し、パールのよだれを拭(ぬぐ)う。

 そのまま首に手をあて上半身を起こして背中を拭く。頭の下に新たなタオルを敷いてから優しく寝かす


 次に前を拭(ふ)いていく。


 肩から脇、腕を拭き終わると谷間を丁寧に拭いて、山脈を持ち上げ汗疹(あせも)にならないように丁寧に拭き取る。


 つんつん


 この流れで山頂にイタズラをするのは当然だろう。


「ん…」 


 余韻が残っているのかパールから声が漏れる。


 山脈を丁寧に拭き上げると、そこにはキラキラと輝く双丘が……ホタテをのせて、その上に新しいタオルを被せる。


 次に下半身を拭こうかと思って手を伸ばした時にそいつらが現れた!


 ザバン! ザバン! ザバン!


 陽二とパールをとり囲む様に、3体の人魚が周囲の植物の上に跳び乗ってきた。


 原理は分からないが尾ビレで器用に立っている。

 湖の中にも人魚がいて、陽二達を囲んでいる。


 その数5体、人魚達はイタズラした陽二を怒っている訳ではなく、パールの下にできた水たまりを見つめている。


 こいつら……間違いなくパールの身内だ。この状況はすこぶるヤバイのではないか? 


 と、その前にとても残念なお知らせがある。


 正直この状況、普通なら自身に危険が迫っているので対話を試みたり、弁解をしたり逃げる準備をするかもしれない。

 だが陽二は違った。逆ギレしたのだ!


 その理由は…


「コラ、ばばあ!」


 現れた人魚はそろいも揃(そろ)って婆さんばっかりなのだ!


 そりゃあ子供もいれば婆さんもいるだろう。

 婆さんだからって差別するのは間違い。

 重々、承知の助だ


 しかし許せない部分があるのだ!


 真っ赤な口紅に紫色のシャドー、ばか長いまつげに厚化粧。

 それはまだいい、女の嗜(たしな)みってやつだろう。


 極めつけは、植物に飛び乗った衝撃でだろうか、とびでているのだ! いや、垂れ下がってるのだ! 乳が!


 神妙な顔で、パールを見ている目の前の人魚だけなのだが


 ビローンと垂れ下がっている。


 そして年甲斐もなくホタテまで着けていやがるのだ! 


 心の広い人なら


「お婆ちゃん…そこ! 大事なものが出ちゃってますよ!」


 と声をかけるだろう。


 だが、さすがは陽二


「んなもん見せるんじゃねーよ!! しまえ!!」


 人間失格の言葉を浴びせた。


 人魚のお婆ちゃんは、素知らぬ顔で

 ビローンと垂れ下がった乳を先端からクルクルと巻いて、ホタテの中に収納した。


「1号収納じゃけぇ!」


 もう一つをクルクルとロールすると、同じように収納する


「2号も収納じゃけぇ!」


 そして両腕で胸を押し上げながら包み込み、少し前かがみの姿勢になると


「だっちゅーの!」


 陽二の中の怒りは『1号収納』の時点で消えている。

 『2号収納』のときに、笑い出すのを必死に堪(こら)え『だっちゅーの』のときには、笑いから哀れみに変わっていた


「ひどい事を言って申しわけありません!」


 陽二は土下座して謝った


「そこは笑ってもらわんと……こちらが困るけぇ……」


 *


「で? おまえらは何者だ!?」


 しなびれた茶色の髪をした妖怪ババアに尋ねる。


 よく見ると顔はシワくちゃで無理に化粧したせいなのか、シワに化粧品が入り込んで、逆にシワを強調。


 体は痩せ細っていて肌は黒ずんでいる。

 茶色の鱗はボロボロで、取れている部分が多く痛々しい。

 棺桶(かんおけ)に首までつかっていて、いつお迎えが来てもおかしくない感じだ。


「なぁに、ワシらはそこにおる『娘』を、喰らおうと思うておるだけじゃけぇ」


 なんだと? 身内かと思いきや敵のパターンか!


「ふざけんじゃねーよ! パールには、指1本触れさせん!」


「うひょひょひょ、ならば勝負をするけぇ?

 ワシが勝てばその娘をもらっていく、おぬしが勝てばおとなしく帰るけぇ」


「おまえらが約束を守るのかも分からないのに、そんな勝負、受けられるか!」


「よく見るのじゃけぇ、ワシの仲間が『娘』をかっ攫(さら)うくらい簡単にできるんじゃけぇのぉ?」


 確かに……この妖怪ババアとしゃべっている間に、いくらでも機会(チャンス)はあったはず。


 しかし妙だなぁ…周りのババアたちは、俺たちの話を聞いているどころか、パールの下にある水たまりや鱗をガン見している


 仕方ない…意図が分からないが乗ってやる


「分かった! ただし、大ケガしても知らんぞ?」


「ふぇふぇふぇ、誰がケガをするのかのぉ」


「俺だ!」


 妖怪ババアは『は?』と呆気(あっけ)に取られている。


 そこは『おまえかよ!』ってつっこんでくれよ! 盛大に滑ったじゃねーか! 

 しかし、これは好機(チャンス)!


「火塊の攻撃(ファイボール)!」


 先制攻撃だぜ!


 陽二の放った魔法は、目の前の妖怪ババアに向かって飛んでいくがわずかにそれる


「ぎゃーー! あち、あち、熱(あちい)、熱(あちい)けぇ!」


 どうやら魔法が妖怪ババアの髪をかすめたようだ。


 髪がチリチリと燃え始め、火を消そうとして髪の毛を手で払っている。


 ちょっと見ていられなかったので水(ギフト)を使い、頭に水をかけて消火する。


「なにすんじゃボケー! 死んでまうわ! 殺すきけぇ!」


 何を言っているのですか? 勝負だったよね?


「おまえさんがその気なら、ワシの必殺技でけちょんけちょんにしたるけぇ」


「おい! 仮にも命の恩人なんだけど?」


「うっさいわい! くらうのじゃけぇ」


 と言いつつ二つのホタテを外すと、乳が垂れ下がった。


 陽二の頭の中で『ビロ~ン』と効果音が鳴った


「いくけぇのぉ! 巨乳圧死(ビッグボンバー)!」


 と叫びながら、陽二に向かってジャンピング!


 陽二は呆気(あっけ)に取られ……というか『巨乳(ビッグ)?』と考えてこんでしまい巨乳圧死(ビッグボンバー)を真面(まとも)に受けてしまった


 『べにょ』っとした感触に寒気がスパークリング!


 全く、痛くも痒(かゆ)くもない、それなのに膝をついてしまった。


 精神的ダメージがパネェ


「うおえぇ」


 陽二の口からなんともいえない声がもれる……


 ちょっと頬を染めた妖怪ババアは次の攻撃に転じる


「巨乳平手(ビッグラッシュ)!」


 必死に垂れ下がった乳で右、左、右、左と平手打ちならぬ、乳打ちを繰りだした


「はぁ、はぁ、右の頬を打たれたら、はぁ、はぁ、左の頬を差し出すのじゃけぇ!」


 ああ、婆さん。分かっているよ……


 陽二は言われた通り、右を打たれれば左を、左を打たれれば右を差し出した。


 平手打ちというのは打たれた方も痛いが叩(たた)く側も痛いのだ! 

 それは、物理的に手であったり心であったり…憎くてやるわけではない! 


 これは、愛なのだ!


 以前、陽二はランスに罰を与えるため鬼教官になったが、この人魚の鬼教官はそんなもんじゃない。


 愛にあふれている!


 陽二の頬には、込み上げてくる思いをおさえ切れずダムが決壊していた。


 だが、いつまでも妖怪ババアにつらい役目を押し付けるのはダメだ!

 もう終わりにしなければならない。


 陽二は妖怪ババアの乳を優しくつかみ取る


「な、なんじゃ! 刃向かう気なのけぇ?」


「婆さん…名前は?」


「な、なんじゃ突然? ワシはヴァイオレットじゃけぇ」


「ヴァイオレットか、いい名前だ」


「おまえさん、頭は大丈夫けぇ?」


 さぁ、終わりにしよう。ヴァイオレットがここまでやってくれたんだ! 俺も本気で応えてやろう!


「黄金指(ゴールドフィンガー)!」


 ヴァイオレットの片乳を口にくわえ、舌で先っぽを攻撃する


「な! なにをするんけぇこの変態がぁ! おりものも止まって100年余り、こんな年寄りにも欲情するのけぇ? 離せ! 離すのじゃけぇ!」


 なる程、100年以上も忘れていたのか…それならクモの巣がはっていてもおかしくはない! コリにこっているのだろう。


 それなら、まずは、ほぐしてやろうじゃないか


「黄金指圧黄金揉(ゴールドマッサージ)!」


 ヴァイオレットの体中をほぐしていくと、少しずつだがコリがなくなっていく


「や、やめるのじゃけぇ……」


 少しずつヴァイオレットの抵抗が弱まり、陽二を受け入れていく


「今だ! 黄金指(ゴールドフィンガー)!!」


 舌で先端を舐め回し、片方は牛の乳を搾(しぼ)る要領で搾っていく、もう片方の指は体のあちこちを弄(いじく)る


「ご、後生じゃけぇ!」


 久方ぶりの感覚だった! といっても経験はほとんどない。

 前人魚姫をペロペロしたときに、先輩人魚にやってもらったのが最後。もう500年以上、昔の話だ


「ヒーー、ヒーー、ああーーーーー!」


 ヴァイオレットは崩れ落ち、ビクンビクンと痙攣(けいれん)している。


「また、つまらぬ物を切ってしまったか……」


 途中から勝負を忘れてしまい、あさっての方向に勘違いしてヴァイオレットに手を出してしまった陽二。


 もしも、この場にお医者さんが居たのならば


「お薬出しときますね-!」


 とからかわれていたか、頭の病院を紹介されたであろう


 *


 痙攣(けいれん)しているヴァイオレットを尻目に、ふと気づくと、他の人魚の視線が陽二に集中していた。


 どうやら全てを見ていたらしい。


 ヴァイオレット、陽二、ヴァイオレット、陽二、と視線を動かすと、突然、植物の上にいた人魚がパールを攫(さら)っていった


「おい、約束…」


 すると、湖の人魚たちが一斉に植物の上に乗り込んできた。

 陽二もヴァイオレットも巻き込まれ、人魚に乗られて動けない状態、それでも陽二はパールを探す


 見つけたのはすぐ隣の植物の上だった。

 人魚2体がパールに覆い被さっている。


 食われる!?


 そう思った陽二は、パールを助けるため必死にはい出ようとするが、人魚が重くて出ることができない


「おい! やめろ……?」


 よく見てみると、食べているのではなく、パールの下半身を鱗の流れに逆らわない様に舐めたり、鱗の間を吸ったりしていた。


 きれいにしてくれているだけなのか?


 すぐ隣では、水たまりを一心不乱に吸っている人魚5体。

 たまに口移しでヴァイオレットにも飲ませている。


 陽二にも飲ませようと、人魚の唇が迫って来るので必死によけようとするが、動けないので無理。


「ちょ、や、やめろ! やめうう…」


 陽二は諦めた。


 口の中に人魚(婆さん)のエキスをたっぷりと注がれ、されるがままに唇を奪われ続け、最終的に心が折れた。


 好きにしてくれ……



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