第2話 ポンコツ魔法使い
次の日、私は馬車に乗ってアレストリア王立学園に登校した。
学園の門をくぐると、新緑の香りと白や赤の花びらが風で舞い上がり、新しく生まれ変わった私を祝福してくれているかのようだった。
それは完全に私の気のせいだけどー
そして、校舎に向かって石畳の道を真っ直ぐ歩いて行く。
そうすると、ヒソヒソと噂話をしながら2人の女子生徒がこちらをとおりすぎていった。
振り返ると、そこには銀色の髪と瞳をもつ美少年と、エメラルドの長髪のやはり美少年が2人、噴水の近くで会話をしていた。
あれはー
この国の第1王子ハーディアと、未来の宰相候補と呼ばれる優等生グラシスである。
そして、この世界の元となるゲームの攻略対象、6人のうちの2人である。
2人は、私には気づかずに会話を続けている。
私は、この世界の攻略対象たち、特にこの2人の事は避けなければならない。
しかし、私はこの2人に対する強い好奇心と美しさに、思わず見とれてしまう。
そのせいで、私の事に気がついた王子がこちらに視線を向ける。
続いてグラシスも振り返る。
不味いー
3秒遅れで、慌てて私は視線をそらして気づかぬフリをした。
いや、気づかぬフリにはなっていないだろう。
あの2人の目には私はかなり不自然に映ったに違いない。
私は早足でその場を通り過ぎた。
☆☆☆☆☆☆
3時間目の授業は、野外での魔法の実践練習だった。
練習内容は、8メートル先にある板に貼り付けた的に遠距離魔法を当てること。
級友たちが、火や氷、雷などの魔法を次々と発射して的に当てる。
そして、私の番が周ってきた。
「ウォーターボール!! 」
私は左手をかざすと、魔法を唱える。
そして、水魔法を発動させる。
バケツをひっくり返したような水の塊が出現し、球状になる。
そして、その水球を的めがけて発射する。
バシャッ!!
水球は的はおろか木板すらもはずれ、後ろに生えている木の幹にあたって弾け散った。
「くっ!!」
さらに私は2発3発と水球を発射するも、全弾はずれて後ろへ飛んで行ってしまう。
そうである。
私は魔法の才能がポンコツなのである。
「ううううっ〜 」
私は呻きながら膝を付く。
「うふふふっ 」
背後から、女子生徒たちの笑い声が聞こえた。
キッ!!
私は振り返ると彼女たちを睨みつける。
いくら底辺魔法使いとはいえ、舐められてはいけない。
女子生徒たちはそしらぬフリをして顔をそむけた。
こいつら、この悪役令嬢ルーナ様を笑うとは、覚悟はできているんだろうな。
そう思いながら、ゆっくりその場を立ち去った。




