第1話 転生!!悪役令嬢
「ふぎゃっ!! 」
ある日の午後、私の自宅である大邸宅の近くの、綺麗なバラの花がたくさん咲いている庭園を歩いていた時の事だった。
私は足を滑らせ盛大に転んでしまう。
その時私は前世の記憶が蘇り、生前日本という文明社会に住んでいた異世界転生者である事に気がついた。
しかも、ただの異世界転生者ではない。
乙女ゲーム、魔法世界の銀水晶に登場する主人公がどんなルートを選択をしても最終的には破滅フラグしかない悪役令嬢に転生していたのだ。
私は両手を地面につけて、ゆっくりと立ち上がる。
立ち上がった後も、私の両足はガクガクと震えていた。
痛みで痙攣していたのではない。
よりにもよって悪役令嬢に転生してしまった自分の運命に動揺して震えていたのだ。
「落ち着け、落ち着くのよ 」
そう言って、私は大きく深呼吸すると、
花壇の近くに生えている木の幹にしがみついた。
よし、まずは現在の状況を整理してみよう。
魔法世界の銀水晶
この麗しき乙女ゲームは、銀水晶の力を秘めた主人公アリスが、攻略対象の王子や貴族(全員美形)たちと交流しながら様々な試練を乗り越え成長していく王道恋愛ゲームである。
そしてこの私、ルーナ・バーミリアンは、彼女の前に立ちはだかり罠や陰謀を仕掛け彼女を陥れようとする文字通りの悪役令嬢である。
以上の事から、ルーナが破滅する原因は、主人公アリスやその周りにいる攻略対象の王侯貴族たちと関わり、アリスと敵対関係となる事が主な原因である事がわかる。
つまり、結論から言うと、主人公たちと関わるのをやめる。
もしくは主人公アリスに嫌がらせをしたりイジメたりせず、敵意をもたずに友好的に接すれば破滅フラグは回避できるはずなのである。
そして、普通の1人の令嬢として生きていれば、平和で裕福な人生が待っているはずなのである。
そう、基本的には何も心配する事はないはずなのである。
だが私は、それでも大きな不安を感じていた。
その心配の原因とは、この世界にはこの世界を支配するゲームの強制力が存在するのではないかという疑念だった。
この私、ルーナには、何か破滅フラグへの道へと突き進む呪いのような物がかかっているかもしれない。
いや、なぜだか解らないがそんな気がする。
口では説明できないが、感覚的に何か得体のしれない物を感じる。
それでは、私はどうすればいいか?
大きく分けて私は3つの事をやらなければならない。
まず1つは、先程言ったように主人公アリスを始めとする攻略対象などの主要キャラとは関わるのをやめて避けるようにする事。
これは、私が私自身を守るための、断罪回避のための行動である。
消極的だが、まずは最低限破滅フラグを避けて生き延びることが大切だろう。
2つ目は、平民や下級貴族に対して友好的に接する事である。
魔法世界の銀水晶の主人公、アリスは平民の出身である。
ゲー厶内でルーナは上流階級至上主義だった。
いや、公爵家であるバーミリオン家自体が、上級貴族の最先鋒だといってもいい。
アリスが何者かに嫌がらせを受けたり、陥れられたりした場合、真っ先に後ろで手を引いてるだろうとか疑われるのは、この私である。
そのため私は、周囲の人間たちの評判を変えるため、下級貴族や平民に対して好意的に接しなければならない。
そして3つ目が、魔法のレベルをあげて強くなる事である。
ルーナの職業は一応魔法使いである。
魔法使いの私は、もっと魔法の練習をして魔物とも戦って、強くなる必要がある。
これは、最悪主人公や彼女の周りの主要キャラたちに断罪された時のための、保険の為である。
魔法世界の銀水晶で、私ルーナは、ほぼ全てのルートで王子たち主要キャラたちに断罪される。
そして断罪された後、ルーナはこの国とバーミリオン家からも追放され、国境沿いにあるイグナスの魔の森を彷徨い歩く事になる。
その時ルーナは、森に生息する恐ろしい魔物に襲われ、命を落とす事になる。
その際に襲い来る魔物と戦い逃げ延びるための対抗手段として、優秀な魔法使いにならなければならない。
だが、そこで、優秀な魔法使いを目指すにあたって、この私ルーナには大きな問題があった。
それは、このルーナの魔法適性が最底辺レベルだという事だ。
そう、私が強くなり、生き延びるためには前途多難なのだ。
まさに、悪役令嬢ルーナの戦いは綱渡りのような命懸けの戦いなのである。
現在私は15歳ー
私が王子たち攻略対象たちに断罪されるのは18歳ー
運命の日までまだ3年ある。
それまでに、あらゆる手を尽くし、知恵を尽くして生存フラグへの道筋を切り開かなければー




