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Akeenohi -アケノヒ-  作者: 大化
第二部 『天下征伐』
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七話 真田獣雄肢

武田領の地下。


山の奥深くに造られた巨大格納庫には、異様な機械が並んでいた。


それはまさに鋼鉄の獣。


狼。猿。雉。


だが、それらはただの兵器ではない。

かつて徳川が誇った兵器──十二機神将。


その残骸を回収し、武田が改修したモノ。


「これらを真田獣雄肢さなだじゅうゆうしーーと、名付けました」


ヒロカが告げる。


格納庫の中央で、ユキ=ムラマサが静かにそれらを見上げていた。


「準備できましたかぁ、皆さん?」


チヨメが軽く一礼する。

少し離れた場所でサスケが笑った。


「いやー、ほんとよく作ったなぁ、これ」


猿型の機体の脚を軽く蹴る。


「徳川も捨てたもんじゃねえなぁ」


「数値的に見ても、明らかなオーバーテクノロジーね、これ。機体性能もとっても優秀」


隣でウスケが操作パネルを眺めている。

表情はいつも通り冷静だ。

そんな中、ユキをチラリと横目で見やる。


(ユキ様が私を見上げている……‼︎)


(なんという背徳感……‼︎‼︎)


(でも、もしこの機体でユキ様を攻撃しようものなら……)


(あっという間にスクラップにされてしまうでしょう……可愛いお顔からは想像も付かない鬼神の如きお力を持って、眉一つ動かさずに……‼︎)


(ああッ、尊い………ッッ‼︎!」


「あの〜すいませんけど、そういうの1人の時にやってもらえませんかね?途中から声に出てんだよ」


サスケが横目で見やる。

が、指摘されたウスケは嘘のように平然としていた。


少し離れた場所では、ゲンザブロウが腕を組んで機体を見上げている。

巨大な狼型機体。

しばらく観察した後、短く言った。


「……強そう、だ」


チヨメは雉型機体の前で静かに立っていた。

そこにヒロカがやってきて、彼女の肩に手をそっと添える。


「この機体は複座式です。援護は頼みますよ?チヨメ」


「…わかりました」


ヒロカは満足げに微笑むとその場を離れた。チヨメは巫女装束の袖を整えながら、ユキへ視線を向ける。


「いつでも出撃できます」


ユキは小さく頷いた。


「そうですかぁ」


格納庫を見渡す。

そして言う。


「チマチマやるのは終わりですぅ。さっさとクソ豊臣天下にケリをつけて、武田の天下を作りますよぉ」


ユキは振り返った。

手には一つ一つの輪が人の体ほどの大きさの巨大な鎖を持っている。


「さ、お前も行きますよぉ」


その言葉と同時に、格納庫が揺れる。

鎖の先の巨大な影が目を光らせた。



最初に動いたのは、巨大な四足機械だった。


鋼鉄の狼。


装甲に覆われた脚。

長くしなる尾。

重厚な爪。


─狼型・真田獣雄肢。


コックピットに立つのは、ゲンザブロウ。


彼は操縦桿を握り、機体の反応を確かめる。


「……悪く、ない」


短く呟く。


狼型機体がゆっくり歩き出す。


金属の爪が地面を削る。


ゲンザブロウは前を見た。


「行こう。全て、バラバラ、にしよう」


次の瞬間、鋼鉄の狼が山道を駆け出した。



次に起動したのは、異様な形の機体だった。

その外観は三つの頭を持つ猿。


長い腕。

跳躍に特化した脚部。

背中には銃火器兵装。


─三頭猿型・真田獣雄肢


コックピットではサスケが操縦席に足を乗せている。


「おー!楽しいなこれ」


隣でウスケが機体のバランスを確認していた。


「凄い機動力…制御は骨が折れるわね」


サスケが笑う。


「制御なんていらねぇだろ。俺達はただ…暴れるだけだ」


猿型機体がしゃがむ。

そして、巨体とは思えない速度で跳躍した。


山を飛び越え、彼方へと消えていく。


最後に動いたのは、翼を持つ機体だった。


巨大な鳥の様な外観。

長い首に鋭い嘴。

背中には大型推進器を携えている。


─雉型・真田獣雄肢


複座の操縦席、前席にはチヨメ。

後席にはヒロカが搭乗した。


チヨメが静かに操縦桿を握る。


「出撃いたします」


ヒロカが笑う。


「さ、派手にやりましょう!」


推進器が火を噴いた。

轟音と共に、雉型機体が空へ飛び上がる。


狼が地を駆け。

猿が山を越え。

雉が空を裂く。


真田獣雄肢は、各地へ進軍していく。


そしてそれぞれの戦場で。


新たな戦いが始まろうとしていた。

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