26 グラトニースライム
こうしてる間にも刻一刻と魔都イーストクランに近づきつつある大量のスライムはその途中の土地の栄養と生き物を取り込みながら増殖を繰り返しその数を増やしている。
H∧Lのように中途半端なやり方だと駄目なのだ。それと倒したら即その死骸を収納しないと後続のスライムがその死骸の栄養を取り込んで増殖し、ほとんど数が変わらないまま侵略を続けるのだろう。
俺はH∧Lに逆の発想による殲滅作戦を伝えた。
この作戦は足止めは一切できないがその数を削ることと耐性がまだ無いスライムを可能な限り倒してもらい、俺達は厄介な耐性付きスライムのみの討伐に専念できるようにという場当たり的な発想だ。
とはいえH∧L1人ではこの作戦での殲滅できる量は大したことはないのかもしれないが少なくとも以前のやり方よりはましなはずである。
俺達は1度セカンドに戻りアリスを除いた娘達に1度限り使用できる消滅の魔剣を量産を命じた。
アリスには魔都イーストクランで目の当たりにした王一族の風貌を伝え、実はアリスがその一族なのかもしれないという可能性も伝えた。
静かに考え込むアリスをじっと見守る。
アリスにとっては捨てたい過去なのかもしれない。
それでも俺はイーストクランが滅亡の危機にある以上は伝えるべきだと思ったんだ。
「えっと。。。イーストクランは私の故郷でも親の故郷でもありませんよ?多分ですけどエリーゼの故郷じゃないですか?」
「あれ?そうなの?」
「ええ。私達みたいな亜人族はたまに種族の特性を引き継がないほぼ人間の見た目になるエリーゼのようなタイプと隔世遺伝で私みたいに数世代前に入った種族の血が突然強く出てきてしまうタイプのような親の特徴を引き継がない子供はよく不貞の子供と思われて捨てられてしまうんです。エリーゼは確か峠の向こう側から運ばれてきたと言ってたから私の知る限りエリーゼだけがイーストクラン産まれだと思いますわ。」
「そうなのか。。。ちなみにアリスの故郷はどこなんだ?」
「私の故郷はフィフスですわ。私を捨てたクソみたいな人達ならもうとっくに滅びてますので私はむしろ捨てられて幸運でしたわ。」
「お、おう」
アリスの思わぬ強さに圧倒されるばかりだった。アリスにはエリーゼを呼んできてもらえるように頼んだ。。。
エリーゼには最後まで自分を庇おうとしてくれた母の記憶がしっかりと残っていて故郷のピンチなら私絶対に戦います。と力強く鼻息をフンスと鳴らしてやる気を漲らせるのだった。
エリーゼと深雪を連れてスライム討伐することが決定した。
他の娘も来たがったが保護服には限りがあるため今回は諦めてもらった。
大丈夫だとは思うけどプレイヤーの俺達が絶対に安全だという保証はないため推測の大丈夫だろうだけで保護服を着ずに戦いに挑むなんてことは絶対にできないのだ。
娘達には引き続き一回しか使用できない消滅の魔剣の量産をお願いしながらローテーションで出来上がった魔剣をインベントリーに入れてこちらに運んでもらうようにお願いをした。
実は消滅の魔剣の量産については魔剣化するよりも付与させる前の武器の製作の方が時間がかかるのだ。
インベントリーができてギルドからの出荷制限がかかって以降ダブついてた量産品の武器はそれぞれのインベントリーの中で肥やしとして増え続けていたが今回の件でほぼ吐き出せるだろう。
とりあえず現時点で付与済みの消滅の魔剣を持って再びイーストクランに向けて移動をした。
今回何故消滅の魔剣にしたかといえば消滅属性の耐性を得ることはできないからである。
何故なら消滅の攻撃を受けたら消滅してしまうのだから。。。
イーストクランで待ち受けていたのは興奮状態のH∧Lだった。
「はるくん君は天才なのか!あれほど減らなかったスライムが君の言う通りやってみたらみるみる減っていったよ。約1億いたスライムが今やたったの100万しか残ってないんだ。でも残りは耐性持ちだから後はお願いしても良いかな?」
ちょっw1億とかマジか。。。
こいつたった1週間でそんなに大量殺戮できるほどヤバい奴なのか
思わぬ情報に冷や汗が止まらない。
相変わらず双方の認識の誤差が埋まることの無いまま。残り100万の耐性付きグラトニースライムの討伐作戦が始まるのだった。
いやいや100万は多いって
ちなみに俺がH∧Lに提示したことは簡単だ先頭の耐性持ちを躍起になって倒そうとするからそれに守られたすぐ後ろの後続も倒されずに耐性を簡単に得てしまうのだ。
遅滞なんて考えずにほとんど耐性を持たない後ろの方に居るスライムを優先して倒せるだけ倒してけば良いのだ。何より進行方向ではない後続ならすぐ後ろのスライムに吸収されてまた分裂されるという不毛な事態を避けられるのだから。




