14話 可愛いが故に愛おしい
今週2話目の投稿です。
今回はちょっと長め。
それから少し話しをしたエレンたちはカードの情報登録をするために一階受付に向かうことになった。クラウスを残して二人は応接室を出る。
「それじゃあ一階の受付でエレンちゃんのカードに登録しないとね。でも名前はそのままでいいのかい?最悪新しいカード用意するけれど。」
「別にいいわ。また暴発させるとなると問題になるでしょ。さっきアンタが容易に力を奮うなって言ったばかりじゃない。」
「確かにそうだけど。」
「それにクラウスからも街中で魔力を使うことに注意されたわ。宿でのことと言い、さっきの暴発も気付く奴は気付くって。だからなるべく控えるように、って言われたのよ。まだクラウスとアンタが居るからまだいいけど、それでも下手なことをすれば疑われる危険性を増やすだけだわ。」
「エレンちゃんの場合、普通の人とは違うからね。まぁ今更ではあるけれど。」
「うるさいわね。アンタはホントに一言多いのよ。喧嘩売ってんの?」
「いやいや、そんなことないよ。多分喧嘩してもエレンちゃんには勝てないと思うし。」
「それはそれでどうなのよ。仮にもAランク冒険者なんだし、少しは威勢張りなさいよ。まぁ私も負ける気なんて更々ないけれど。」
「相手の力量を見極めるのも生きるためには必要な技量だからね。それに価値の無い戦程するもんじゃない。必要がなければ僕は戦うつもりはないよ。」
「本当につまらない奴ね。」
「あはは、お褒めに預り光栄だね。」
「そして腹立つ奴だわ!!」
相変わらず皮肉が通じないケイトに腹を立てるエレン。そんなやり取りを交わしながら一階下りた二人は、受付の一つへと向かう。
「あ、ケイ、おかえり。あれ?もしかしてその子が例のエレンちゃん?うわぁ!?めちゃくちゃ可愛い!!さっきもちょこっと見てて、可愛いなぁっとは思ってたけど、近くで見たらマジで超可愛いじゃない!!なにこの娘!?人間!?天使!?悪魔!?女神!?魔女!?何にしてもお持ち帰りしたい!!!超欲しい!!!!」
桃色のセミロングな髪を揺らした女性がエレンの姿を見て受付のカウンター越しで一人キャーキャー騒いでいた。
「ちょっとメイ、エレンちゃんは物じゃないんだからあげられる訳ないだろ?それに今は公共の場だよ。人前なんだから落ち着きなよ。」
「こんなに愛らしいこの娘を見て落ち着いていられるはずないじゃない。むしろあなたの方が異常よケイ。あなたは何もわかっていない。同じ女性として残念に思えてならないわ。あぁなんと嘆かわしい。」
「エレンちゃんが可愛いことは認めるよ。けど君はもう少し自制心と言うのを持つべきだと思うな。君は可愛らしいものを見つけては公私を分けずに飛びつく癖があるから直した方がいいよ。」
「何よ。自分だって本だの研究だの興味があれば見境なく飛びついて周りが見えなくなる癖に。この間だって前日の夜に本なんか読んでた性で寝不足で次の日仕事に全然集中出来てなかったじゃない。人の事ばかり言って、自分のことを棚にあげるなんてみっともないわ。」
「別に自分の事を棚にあげてなんかいないよ。僕はちゃんと公私は別けて行ってる。あれも仕事の依頼として受けてたものを調べていたんだよ。クラウスさんにはちゃんと断りを入れた上でやってたから別に問題ないはずだ。他の仕事だってしっかりやってるよ。」
「あの時ケイが抜けた分の皺寄せがこっちに来て大変だったのよ。只でさえあの時人がいなくて大変だったのにその上であなたまで抜けて更に忙しくなって危うく倒れるところだったんだから。お陰で一週間ずっと肌が荒れて毎日の手入れが大変だったわよ。」
「そんなこと言われたら毎日寝不足の僕の肌なんて荒れっぱなしだ。むしろ肌の手入れが出来る余裕があるくらいならもっと他の仕事に手が回せるだろ。自分だけが大変だなんて思てったら大間違いだ。」
「何よ。」
「何だよ。」
「うるさいうるさいうるさい‼」
終わらない二人の言い合いに痺れを切らしたエレンが怒鳴りをあげた。
「アンタたちいい加減にしなさい‼喧嘩するのは勝手だけどやるなら私の用件を終わらせてからにしなさい。その後なら私のいないところで好き勝手やればいいわ。」
「「…。」」
エレンの怒声に二人だけでなく、ギルド全体が静まり返り、周囲の視線が三人に集中する。一方言い合いをしていた二人は驚いたようにエレンを見たあと、再び顔を見合わせる。
「…そうだね、少し大人げなかったかな。」
「…そうね、私もムキになりすぎてたわ。」
「そう。それなら仲直りの握手をしなさい。」
「「えっ!?」」
エレンの提案に二人は驚きの声をあげる。
「何驚いてるのよ?お互い認め合えたんなら握手するのは当然でしょ。こんなこと子供だって知ってることよ?大人であるアンタたちが出来ない訳ないわよね?」
「「…。」」
さも当然のように話すエレンを前に二人はまた黙ってしまう。しかし先程とは違い二人とも顔を赤くしていた。というのも今自分たちが置かれている状況に気付いてしまい、恥ずかしくなってしまったのだ。
「どうしたのよ?早く握手しなさいよ。」
しかしそんな事に気付いていないエレンは二人に催促する。悪魔のいたずらとしか思えない。ケイトは思わず苦笑してしまった。それにつられてメイと呼ばれた女性もクスクスと笑い出す。
「メイ、どうやら僕たちの負けのようだ。」
「えぇそうね。ホント、困った魔女さんだわ。」
そしてどちらからともなく手を差し出し握手を交わす。
「ふん、分かればいいのよ。」
満足したのか腕を組み、勝ち誇った顔をするエレン。すると静かだった周りから歓声が上がる。
「いいぞ嬢ちゃん‼最高だー‼」
「今日はいつもよりも熱いねぇ、お二人さん‼よっ、流石ラブラブ夫婦」
「くぅー‼今日のメイ嬢の笑顔サイコーじゃねぇか‼」
「ふん、お前は何もわかってない。ケイトのあの無垢な少年のような笑顔には勝てまい。」
「何をぉー!?」
「ヤるか?」
「…俺、あの小さい子になじられたい。」
「「えっ!?」」
何か一瞬変な寒気を感じ、身が震えるエレン。ともあれ何故か大事になった件の喧嘩は無事済んだということで。
「それじゃあ、早速カードの登録をー。」
「いくらなんでも魔女は可愛そうなんじゃないのかい?」
「そんなことないわよ。魔女だって可愛いわよ。それこそ彼女が魔法少女って名乗ってるんだから、寧ろ誉め言葉として取って貰いたいわね。」
「それとこれとは別だと僕は思うよ。君は自分が魔女と呼ばれて嬉しいのかい?少なくとも僕はごめん被りたいね。」
「ケイこそ偏見が過ぎるんじゃないかしら。魔法少女と言うことは女の子の魔法使いよ。つまり魔女の卵ってことじゃない。それのどこがいけないのよ。」
「魔女って言ったらー。」
「そんなこと言ったらー。」
「アンタたちいい加減にしなさーい‼」
賑わう冒険者ギルドの中で一人?の魔法少女の咆哮がこだました。
*****
「ーーー。」
「エレンちゃん機嫌直してよ。私たちが悪かったわ。」
「ーーー。」
「あはは、完全に拗ねちゃったね。」
ギルド入って左側にある待ち合いスペースで女の子三人で一つの丸テーブルを囲んでいた。エレンとケイとメイと呼ばれている女性だ。三人の座るテーブル周辺には誰も座っておらず、離れた場所からこそこそとガーディアン(自称)たちがお互いに牽制仕合ながら彼女たちの茶会を見守っていた。
セミロングな桃色の髪の中から覗かせる綺麗に整えられた顔立ちはまさに美しく、もはやギルドの看板娘としても板についている受付嬢、メイ。ギルドの中でも人気は非常に高く、彼女公認のファンクラブまである程だ。強気で勝ち気な性格からは女性から頼りにされており、相談事を受けることも多い彼女は女性からも人気の声が上がっていた。特にお洒落に関しては人一倍努力を惜しまず気を使っている。服の上からでもわかるような豊満な胸とお尻を更に強調するように細いお腹や腕、脚等はスマートに整えられている。そのため平均的な身長であっても手足はスラリと長く見せる要因ともなっていた。その美貌を保つために、日頃の運動、お肌のケア、細かい食事などに気を使い、保たれたその容姿はまさに彼女のたゆまぬ努力の成果と言えよう。また普段着ている事務用の服装も華やかではないものの、お洒落に気を使っていることがよくわかる。特に小さなハートを象ったシルバーのイヤリングは、美しさの中に隠れる彼女の可愛らしさを表すのにはピッタリの小物だ。つり上がった目からは彼女の勝ち気な性格が表されており、強い意思を感じさせる薄紅色の瞳も彼女の美しさの一つと言えよう。まさに容姿端麗を文字通り体現しさせた彼女はまさに男の理想像と言えよう。そんな女神は一人の黒に包まれた少女の機嫌を直すのに必死である。
そしてもう一人の燃えるような紅い髪が目立つ短髪の女性冒険者、ケイトも同じように少女の機嫌を直して貰いたく、メイと一緒になって声をかけていた。その姿はどこか少年のようなあどけなさの残る表情は女心を擽るものがあるらしく、女性からの人気が非常に高い。それでもケイトの顔立ちは綺麗な方であり男性からの人気もあるのだが、ケイトの性格から異性として扱われることが少なく、男友達のような感覚で扱われることが多い。その事に関してケイト自信もあまり気にしていないので何とも言えないが。しかし女性にしては身長が高く細い体つきをしているケイトを羨む女性は以外と多かった。普段はマントで身を覆うことが多いため晒されることがないが、女性特有の丸みを帯びた細い線はメイとはまた違った美しさを感じさせた。お洒落や化粧をすれば、それこそ見違えるような美しさを表すに違いない。もっともケイト本人が自分に自信がないのと機能性を重視するところがあるため、そういった姿を御目にかかることは無いだろう。だがロマンを追いかける男たちはケイトの晴れ姿をいつか自分の目で拝みたい。そう願ってやまないのだった。そのためケイトファンクラブには男性はおらず、日陰の見えないところで己の野望を果たすため、“ケイちゃんの純白は僕のものデスマッチ(主宰:メイ)”に命を懸ける。死屍累々の野望という名の墓標を築き上げた戦場。勝ち残った者のみ手に入れられる“ケイちゃんにワンちゃんプロポーズ券(メイによる最終審査あり)”。それが手に入るまで男たちは戦い続けるのだ。もちろんケイ本人は知らないことであり、知られてもならない。これはあくまでも己のための戦場であることを忘れてはいけない。己の死に場所と定めた場所だ。誰にも止めさせる訳にはいかないのだ。そのためにも、今はこの平和なひとときを同士と共に見守ることが使命であると戦う男たちは胸に秘めていた。ともあれ、ケイトの人気は本人が思っている以上に多く、根強いファンが集まっていた。
最後に女神二人の手厚い奉仕を受けても微動だにしない謎の暗黒少女、エレンである。見た目十代前半のまだ幼さの残る女の子だが、黒くて大きな帽子に黒いローブは自分の身体の大きさに見合っておらず、更にローブの下も黒い服装で纏めており、首や手首には数珠繋ぎの宝石をじゃらじゃらと身に付けており、腰に添えてある杖は今は見ないドラゴンの頭を象った杖を持ち歩く。とても幼い女の子がするような格好には見えない。そして黒い衣装から覗く白い髪と肌の部分は異様で不気味でしかなかった。しかし彼女の白と黒で表された美しさにはこれまでにない神秘的なものを感じさせ、不思議と視線を外せない。幼いながらも顔立ちは美しく整っており、彼女の将来を楽しみに思う反面、年相応の仕草など可愛らしいその姿は失いがたいものがある。そう彼女は可愛すぎるのだ。それは女神二人が心惹かれる程の愛らしさなのだ。魅了されない訳がない。対極する思いを胸に浮かばせ虜にする様は、まるで禁断の果実のようだ。とんでもないダークフォースが現れたと男たちに震撼が走るのだった。
それぞれ特徴は違うが美女三人がここに集まっている。奇跡の共演だ。野郎の多いギルド内では、まさに荒野に咲く小さな花園のようにそこだけは清廉な場所として守らなければならない。誰も手を出してはならない。そして女神たちの集いを目に焼き付けろと周囲では暗黙の鉄則が築かれていた。そんなことは知るよしもなく、女子会もとい反省会(主に二人)を行っていた。
「ちょっとケイ、笑い事じゃないわよ。それもこれも全ぶー」
「メイ、今は言い争っている場合じゃないよ。とにかくエレンちゃんに機嫌直してもらわないと。」
「…そうね。今はエレンちゃんのために集中しなきゃ。そして、私がエレンちゃんときゃっきゃっうふふー。」
「メイ。」
「わかってるわよ。さて、どうしたものかしら。」
先程とは打って変わって真剣に考えるメイ。ケイトも一緒になって考え始める。
「こういう場合はエレンちゃんが喜びそうなものがいいかしら。ケイ、何か知らない?」
「うーん、特に聞いてないかな。強いてあげるなら甘いもの、かな。甘いもの大歓迎、って言ってたし。」
「甘いもの、ねぇ。」
本人を目の前にして、本人の好きなものを考えるという不思議なことをし始める。当の本人が無視貫徹してる以上仕方がないのだが何とも滑稽な話である。
「甘いもの…。そうだ。エレンちゃん、花蜜は食べたことある?」
何かを思い付いたのかメイはエレンに質問する。
「……………………はな、みつ?えっ!?今花蜜って言ったのかしら!?」
「えぇそうよ。花蜜。食べたことある?」
「ないわよ。でもすごく食べてみたいわ‼何?食べさせてくれるの!?何処にあるのよ‼早く出しなさい‼」
「い、今はまだここにないから食べさせてあげられないの。ごめんね。」
「…なんだ。期待して損したわ。」
一瞬嬉しそうな表情を浮かべたエレンだったか、またも不機嫌そうな表情に戻る。メイはエレンの予想以上の反応に驚いてしまったが、同時に確かな手応えがあった。
「あと数日後に取り寄せてる分が来ると思うから、それが届いたら一緒に食べよ?」
「…嬉しいお誘いだけど、やっぱり遠慮しておくわ。マールとの約束もあるし。」
しかし先程エレンの反応とは違い、断りを入れてきた。さすがにその反応は予想外だったらしい二人は疑問の表情を浮かべる。
「あら?マールちゃんとは知り合い…ってパージュで泊まってたんだもんね。でも、約束って何かしら?」
「花蜜を手に入れたらマールに何か料理してもらう予定なのよ。あの娘と約束した手前、一人だけ美味しい思いをするのは何か申し訳ないじゃない。」
「そうなんだ。確かにマールちゃん料理得意だもんね。いいなぁ。私も何か作ってもらおうかしら。」
「ダメよ。私が一番最初に頼んだんだから。やるならそのあとにしなさい。」
「えぇー、私も食べたいなぁ。」
「だからダメって言ってるでしょ。しつこいわねぇ。そもそもアンタ誰なのよ?ちょっと馴れ馴れしいわよ。」
「うわぁ…。そこまでに言われると流石にくるものあるわね。」
エレンのトゲのある言葉にショックを受けて困惑するメイ。それを横で見ていたケイトがフォローを入れる。
「流石にそれは言い過ぎと思うよエレンちゃん。確かにメイが可愛いと思ったものに対する愛情と言うか執着はちょっと僕にも異常なんじゃないかなとは思うけど、もう少し良い言い方があるんじゃないかな?彼女が自己紹介もなしに無礼極まりないことをしているのは確かなんだけど。」
「…アンタもアンタでコイツに何か恨みでもあるの?コイツに対してだけ酷く辛辣な気がするんだけど。」
「そうなんだよエレンちゃん。ケイってばいっつもメイに対して酷いことばっか言ってくるんだよ。他の人には優しくする癖に意地悪だと思わない?」
「アンタもアンタで大概だと思うわよ。って言うか何勝手に抱きついて来てるのよ。離れなさい。」
「あーん、もうエレンちゃんの意地悪。」
「…アンタたちの相手してると本当に疲れるわ。」
抱きついてくるメイと呼ばれる女性を引き剥がし、疲れたようにため息を吐くエレン。それを見てケイトも苦笑する。
「で、結局アンタは誰なの?受付のところに居たからこのギルドの関係者なのはわかるけど。」
「私はの名前はメイトって言うの。気軽にメイちゃんって呼んでね。ここのギルドではケイトやクラウスさんたちと一緒にお仕事をしてるのよ。基本的には受付とか書類整理何かをしてるけど、たまに初心者の人とパーティー組んだりして教えてあげたりしてるの。これでも一応はCランクの冒険者でもあるのよ。」
「えっ?アンタ冒険者なの?全然そんな風には見えないけれど。」
「以外でしょ。でも本当なんだよ。ほら、ギルドカードもちゃんと持ってるのよ。」
そう言って自分のギルドカードを見せるメイト。カードにもメイトの名前が刻まれている。
「普段はここに居ることが多いから、こんな格好してるの。もちろん出掛ける時はちゃんと着替えてから行くけどね。」
「ふーん、そうなんだ。」
「本当は私がエレンちゃんと一緒にパーティー組みたかったんだよ。それなのにケイトは替わってくれないし、クラウスさんにも言っても聞いてくれないんだもん。ホントみんなしてメイに意地悪なんだから。」
今でも不満に思っているのか、メイトは頬を膨らまして文句を告げる。それでも可愛らしく映えるは彼女の魅力のひとつである。男なら思わず彼女の味方になってしまうだろう。クラウスは別だが。
「そんなことを言われても仕方がないよ。クラウスさんの指示だし、何より君は魔法使いだ。パーティーを組むにしても安定性に欠けてしまう。万が一二人とも魔力が尽きた時に魔物に囲まれたりでもしたら危ないなんてもんじゃないんだ。下手したら全滅することだってあるんだよ。メイはそれをわかっていない。」
「そんなことないわよ。そうならないように魔力配分考えて使ってるし、例え魔力が無くなっても対処出来るように道具も取り揃えているわ。それに危険な時は転移石使って逃げるわよ。第一この辺りならそんなに強い魔物もいないからそんな状況になる方が異常だわ。」
「その考えが方が危険だって毎回言ってるじゃないか。いつ何が起きるか分からないから、どんな状況だろうと油断しては行けないって、最初の頃からクラウスさんに言われてきただろ。転移石も確実なものじゃないから過信しないように注意も受けてるはずだよ。そう言うことも含めてクラウスさんは今回のことを判断したじゃないのかな。」
「何よそれ。まるで私よりもケイの方が優秀だって言うの?人を馬鹿にするんじゃないわ。いくら私よりランクが高いからって調子に乗るんじゃないわよ。魔法も禄に使えない癖に。」
「馬鹿にしてるのは君の方だろ。魔法が使えるからって偉いなんて発想、それこそ傲慢な考え方じゃないのか。僕に言うならまだしも、他の人にそんなこと言ってないだろうね?もしそうならいくらメイでも僕は許さないよ。」
「何で自分のことじゃなくて他人のことで怒るのよ。意味がわからないわ。格好つけたいの?馬鹿なの?死ぬの?アホらしい。そんなのだからケイはいつまでも子供なのよ。」
「メイには言われたくないよ。」
「何よ。」
「何だよ。」
「…私もう帰るわ。正直アンタたちめんどくさい。」
「あーん、エレンちゃんは帰っちゃダメだよ。」
「アンタたちの口喧嘩に付き合ってる程私は暇じゃないのよ、ってだから抱きついてくるんじゃないわよ‼離れなさい‼あっ、ちょ、馬鹿‼どこ触ってるのよ‼」
「グヘヘェ、えぇ身体しとるのぅ。お嬢ちゃん。ここか?ここがえぇんか?」
席から立ち上がろうとするエレンの左側から縋りつくようにメイトが抱きついてくる。さらにまさぐるように身体のあちこちを撫で廻され、エレンが身悶えする。その様に歓喜するメイトの姿はまさにおっさんそのものである。
「ーっ、いい加減にしなさい‼」
「ごふっ。」
なかなか離れないメイトの頭にエレンが右手でチョップを放つ。流石に手加減はしているようだが、それでもかなり威力があったらしく、一瞬メイトが白目を剥いて倒れる。その隙にエレンは向かい側に座るケイトの隣に椅子ごと移動して警戒する。
「痛たたたっ。もうエレンちゃん酷いよ。私の頭がへこんだらどうしてくれるの?エレンちゃんが手取り足取り面倒見てくれるんだったら嬉しいけど。あ、そう考えたら気絶してた方が良かったかも。エレンちゃん、もう一回殴って。次はちゃんと気絶するから。」
「うわ、アイツとうとう頭壊れたのかしら。気持ちわる。ある意味アンタがパーティーで良かったわ。」
「素直に喜べない誉められ方だね。一応ありがとうとだけ言っておくよ。」
痛々しいものを見るような目でメイトを見るエレン。違う意味で心配事が増えた気がして寒気に肩を震わす。
「まぁある意味彼女の発作みたいなものだからそのうち慣れてくると思うよ。時間を置けばいつも通りに戻るし。」
「あんな魔物以上に恐ろしいもの、一生慣れたくはないわね。とりあえずアイツが近付く時はアンタの側に居るわ。気に食わないけど。」
「あ、それはやめておいた方がいいかも。」
「え?なんでー。」
「エレンちゃん。なんでケイトのところに逃げるのかしら?」
「ーっ!?」
ケイトに理由を聞こうとした刹那、エレンの全身に寒気が走る。その声はつい先程まで正面から聞こえていたはずなのに、いつの間にか後ろから聞こえてきたのだ。警戒はしていた。気を緩めたつもりもないし、目も離していなかったはず。それなのにな何故、どうやってコイツは私の後ろに立ったというのだ。わからない。ただひとつだけ分かることがあるとしたら、このままここにいたら良くないことが起きるということだけ。
エレンはすぐにその場を動こうとする。が、既にそれは手遅れだった。椅子から立ち上がる間もなく後ろからもたれ掛かるように抱きしめられ、身動きが取れなくなる。視界の隅に自分以外のピンク色の髪が映る。自分の顔の横で自分以外の熱を含んだ吐息が聞こえる。振り向けない。あまりのことに身体が強張り、動かすことが出来ないでいた。動悸は乱れ、震えと汗が止まらない。頭の中ではひたすらに警鐘が鳴り響く。でも動けない。動かすことが出来ない。次第に目の前が白に覆われそうになり、最後に舞い降りた音と同時に私の世界は白に染まった。
「わ・た・し・と・あ・そ・ぼ。」
と言うことで新キャラ登場茶番回です。
文字数増えてるのに全然話進まないなぁ。
本当にすみませんm(_ _)m
次回は8日(水)に投稿予定です。
読んでいただきありがとうございます!




