第27話 討伐前日
すみません!今回短くなりました!
あの緊急招集からもう一週間が経とうとしていたその頃、夜は相も変わらず朝のランニングをしていた。
この1週間は何もしていなかった。
などという事はなく、積極的に参加依頼をこなし戦闘慣れしていた。
元々日本という平和な国から来たのだから戦闘などということはやったことが無い。
この世界に来て戦闘ができたかは知識があったから、それに基づき戦っていたのだ。
(正直な所、この知識に全く穴が見当たらないのだが本当にすべて真実で知らないことはないのか?それにティアの髪のことも気になる。本当に偶然銀髪で銀色の目をした子が産まれるのか?こういった所は知識でも一切わからない。)
そう、この世界に来て謎だらけなのだ。
そもそも夜がここに来たことすらわかっていないのにも関わらず、次から次へと謎なことが湧いて出てくる。
(明日にはこの王国を出発して神獣と戦わなせればいけないのに、余計なことを考えてしまうな。気になるものは気になるんだ。それよりも神獣の情報が全く得られなかったのはなぜだ?)
この1週間、戦闘なれと同時に図書館に行って神獣のことを徹底的に調べてみたところ何の情報も得られなかったのだ。
何もというのは語弊だが、一体しか神獣の確認はされておらずその神獣すらの情報もあやふやなのだ。
どの文献にも神獣は天災をもたらす最悪の魔物だと書いてあるばかりである。
過去に確認されている神獣の特徴は調べてみたところ、龍だと確認されていた。
これは自分の知識と照らし合わせても確かにあっていたのだが、
(過去に確認された神獣が龍ならば今回もそうなのか?その龍によって大きな国が潰されたと書かれていたが、地図を見てもそんな所は見当たらなかった。俺の知識だと国が滅ぼされたことは無いのだが?やはり歴史と知識では食い違いが出るか。それに前回確認されたとが龍でも今回は狐だと聞いたぞ?)
緊急招集がかかった次の日に夜は1人でルノアに会いに来ていた。
まだその時は文献は何も調べておらず神獣のことは知識だけとなっていた。
質問は幾つかあったが神獣の特徴を聞いた時にルノアは言ったのだ。
「………狐と聞いたわ」
「狐だと?龍ではなく?」
「えぇ、全身黒く所々に赤いラインが入っている狐だと私は聞いたわ」
「狐か………他に神獣の情報はあるのか?」
「……ないわ」
「そうか、絶望的だな」
夜とルノアは重苦しい雰囲気とともに解散したのだが、そんな状況になるのも当たり前だった。
敵の特徴だけで何の情報も得られずに戦えと言われているのだ、無理難題にも程があった。
今日まで頑張って来たのだが、知識以上のことは何も得られなかった。
(役に立たないなこの知識も、あの果実を食べてからこんな知識が手に入ったがどういった感じで構成されているんだ?今までの1人1人が得てきた知識をそのままを俺に与えたのか?………いくら考えても答えは出ないよな…明日に備えないとな。)
こうして夜のランニングの時間は終わったのであった。
宿に帰ってくるとお決まりのノックをする。
「………入っていい」
もう起きて支度が終わっていたらしく、すぐに返事が返ってくる。
だがその返事はどこか元気がなかった。
あらかた理由はわかっているため聞くようなことはしない。
「ただいま、ティア」
「お帰りなさい、夜」
夜は扉を開けるとティアはベッドに座り悲しそうな顔をして俯いて返事をした。
明らかに明日のことを気にしていた。
その部屋の空気は冷たく重く張り詰めており、決して居心地のいいとは言えなかった。
(もう恋人になったティアには俺のことも教えてもいいかもしれないな。この世界に来てから誰にも話していないしな。いつまでも隠し事をしているのは罪悪感がある。)
そう明日が決戦の日なので、ここでちゃんと自分のことを話さないといけないと思っていたのだ。
だがこの1週間の時に話そうと思って何日も経っていた。
これと言って話しづらいというわけでもなかったのだが、何故か躊躇ってしまう。
もし異世界人だからと拒絶されたらとか、そもそも異世界人だということ自体を信じてもらえないとか、 そんなことを考えてしまう。
そんな理由で躊躇うなよと思う人もいるだろうが、夜はティアに拒絶されることを一番恐れているから真実を明かすことが怖いのだ。
今まで癒しを希望を絆を愛情を求めてきた夜だが、やっと見つけた大事な人に拒絶されれば、壊れてしまう自信が自分自身でもあった。
それ程、怖いのだ。
だからと言って墓場まで持っていくようなことでもないので、決戦前に自分のことを知って欲しいと思っていた。
「なぁ、ティ「……ヨル」…どうした?」
「……私は小さい頃からこの髪の色と目の色に悩まされてきた」
「あぁ、知ってる」
「……でも、最近それを気にする人が少なくなってきている」
「そうだな」
「……それは嬉しいことのはずなのに、何故か怖いの」
「!!……」
突然放たれたその言葉に夜は驚いた。
昔から目と髪の色だけで気持ち悪がられていた子が、逆に気にされないことに恐怖を感じていたのだ。
普通なら嬉しいはずなのに恐怖を感じてしまうのは、環境ががらっと変わったからだろうと夜は思ったのだが、それは違った。
「……多分夜といて有名になって、無理に笑わせているだけ、優しくさせているだけだと思っているからだと思う。」
「ティアが言いたいのは恐怖でみんなに無理をさせているのではないか?という事か?」
「……そう」
「ティア、考えすぎだぞ。」
「……なんで?なんでそんなことが言えるの?私は支配なんて大嫌い。もしかしたら皆を支配するように無理に笑わせているかもしれない「ティア……」…!!!!」
夜はベッドの上で不安でいっぱいの顔をしたティアを優しく抱きしめた。
その瞬間ティアはビックリしたが、すぐにいつものように戻る。
ティアがまた口を開こうとしたが、それを夜は止めるように口を開いた。
「言ったはずだぞ、考えすぎだと。今まで酷い扱いを受けてきたけど、今の待遇の良さに戸惑っているんだろ?」
「……そう、それが無理をさせていると考えて…」
「でもティアは知っているはずだぞ?」
「……何を?」
「恐怖で無理に笑うという表情がどうなるかをな。」
「……!!!!」
そう、夜もティアもいつだって行儀良くしなければと、いつも笑って過ごしていたのだ。
そんな2人が恐怖を感じながらの笑顔がどんなものなのか知らないわけがなかった。
「ティアには今まで優しくしてくれた奴らが無理に笑っているように見えたか?」
「……そう考えたら、見えない。」
「だろ?なら、みんなそんなこと思ってないんだよ」
「……でも少なくとも思ってる人はいる」
「それは、1人や2人はいるだろうな。でも違う人もいるだろ?」
「……」
「あまり考えるな。」
「……うん」
ティアはやっと納得してくれたようで下がってくれた。
夜からも先程まで伝えようとしていたことをティアに言うことにする。
「なぁ、ティア。俺ずっとティアに黙っていたことがあるんだ。」
「……黙っていたこと?」
「あぁ、信じられないことかもしれないけど、俺は別の世界から来た人間なんだよ」
「……別の世界?言ってる意味がわからない?」
「だろうな。つまりは異世界から来た人間で、この世界の人間じゃないという事だよ。」
「……冗談?」
「いや、本気だよ。」
ティアは突然言われた謎の言葉に戸惑う。
それもそうだろう、突然異世界から来ました。
などと言われたところで信じられることも出来なければ、言っている意味すら正確に捉えることは出来ないだろう。
だが夜の目は真剣な目だったために嘘をついているようには見えなかった。
「……そう」
ティアから発せられたのはたった短い一言だった。
だがティアとしても何と反応していいのか分からなかった。
「それだけか?謎の人間が来て怖くないのか?」
「なぜ?ヨルはヨルでしょ?」
「はぁ、ティアは本当に……」
「……本当に?」
「俺の一番の愛しいやつだよ」
「……そう」
夜の不意の言葉にティアは戸惑うがすぐに冷静になる。
明日が決戦だと思えない甘い雰囲気が漂いながら、今日は二人一緒に過ごした。
次の話からは出発となります。
夜とティアの運命はいかに!
夜)いよいよ明日は
ティア)……うん、出発だね
ユミル)頑張ろうね
夜、ティア、作者)頑張ろーーー!!!
夜)なんで作者もいるんだ……




