森の中
森の中、レルシアは兵を撤退させた後、7人と合流していた。
「よかったの?あいつ、殺さないで・・・ かなり危険じゃない?」
レルシアは7人の内、外壁の上で真ん中に立っていた男に向けていった。
「危険だからあの場は放置するのだよ。藪をつついて蛇にかまれては、任務に差し支える。我々にはやらねばならんことがある。」
男はそういうと振り返り先へと進もうと歩き始めた。
6人もその後に続く。
レルシアは納得できないのかなかなか足が前に進まない。
それを見て7人のうち一番後ろにいた男が足を止めてレルシアに振り返った。
「心配ないよ、レルシア。レーヴェもあの男の危険性は危惧しているし、バッセが後始末をするから心配は要らない。我々の情報は漏れないよ。」
その言葉にレルシアは歩を進めて歩みだした。
足を止めた男もそれを見てレルシアと並んで歩き出す。
「ねぇ、シュルテ。あなたならあいつに勝てる?」
レルシアは並んで歩くシュルテに問うた。
シュルテは空を見上げて少し悩んだ後、答えた。
「基本的な戦闘能力では勝てないね。でも、彼は強力な兵器を持っているわけじゃない。だから、そこに勝算を導き出せると思うよ。」
「そう・・・ バッセは大丈夫かしら・・・」
レルシアはシュルテの話を聞いて残って後始末をしているバッセのことが心配になった。
バッセと呼ばれた者の戦闘能力が自分よりも下だからだ。
いくら、優れた兵器を持っていても一人では・・・
そう頭の中で考えてしまったのだ。
「大丈夫だよ。バッセは強いし、彼にはもうあれ以上戦う意思は無かったみたいだし・・・」
シュルテはレルシアを励ますように述べた。
「そうね。バッセなら大丈夫よね・・・」
バゴォォォオオン!!
彼らがそういっていると、先ほどまでいた廃監獄の方から巨大な破壊音がした。
その後、何かが崩れ去るような音辺りに響き渡った。
山中の森の中。
廃監獄から少し離れた地点でレーヴェ達は廃監獄の破壊と証拠の隠滅に向かったバッセを待っていた。
レーヴェの美しい銀髪が月明かりに照らされながら風に揺れる。
レーヴェはふと閉じていた目を開けて座り込んでいた岩から立ち上がる。
背後に気配を感じたからだ。
レーヴェの背後に現れた男は木の陰に隠れたまま膝をつき頭を垂れる。
「我ら忍集参上仕りました。」
背後に立った男はマスクをしているかのような少しこもった声でそういった。
「遅かったな。首尾の方はどうだ?」
「潜伏経路の破棄。証拠の隠滅と口封じ。それに、次の行動の前準備は完了しました。先遣隊が敗れたとの報告があり、予定変更のため時間がかかりました。申し訳ありません。」
レーヴェは背後の男に簡潔に質問を述べると、男は現状の報告をできるだけ手短に行い遅れたことをわびた。
「では、先遣隊が失敗して手に入らなかった我々の潜伏拠点の変わりは手に入れたのだな?」
「はい。」
レーヴェの問いに男は自信に満ちた声で答える。
「そうか。すまなかったな。遅れたことを攻めてしまって。」
レーヴェはそういいながら振り返り男に笑みを投げる。
「いえ。遅れたのは事実ですので・・・」
男は下を向いたまま答える。
ガサリッ
茂みの中から何かが動く音がした。
レーヴェとそこにいた者たちが一斉にその方向を向く。
ガサリッ ガサリッ
近づいてくる音に対してそれぞれが自身の得物に手を伸ばそうとしたとき。
「意外と遠くに潜んでるから探すのに手間取ったぞ。レーヴェ。」
茂みの中から体長2mを超える大男が姿を現した。
男は漆黒のマントに身を包みこんでいる上にフードで顔を隠し、背中にはなぜかアイアンメイデンを担いでいた。
「バッセ!」
その姿を見てレルシアが声を上げてバッセと呼ばれた大男に抱きついた。
その姿を見て全員が獲物に添えていた手を放し警戒を解く。
「すまないな。バッセ。あの男の探索範囲の外に出る必要があって少し遠めの位置に隠れることにしたんだ。」
レーヴェがバッセに遠くの位置に隠れたことをわびる。
「なるほど、確かにあれは警戒しなくてはなぁ~・・・」
バッセは「ああそうか」、という感じでレーヴェの言葉に納得した。
「では、拠点に移動する。黒は豪骸殿に引き上げるように連絡後、一緒に拠点まで来てくれ。」
レーヴェは先ほど背後を取った男を黒と呼びそう伝えた。
「御意。それとレーヴェ様、少しご相談が・・・。」
「・・・?」




