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離脱

「言う・・・」


弱弱しく放ったその一言にビランは首から上だけで振り返って兵を見る。


ビランの視線からは「何を?」という問いが含まれていた。


「あんたの質問に対して俺は答えられることは全部言う!だから命だげバぁ・・・」


兵が言い終わる前に塀の首から上が弾け飛んだ。


首からは大量の血が噴出し雨のようにあたりに降り注ぐ。


斬ったのはビランではない。


何か、大きなブーメランのようなものが飛んできたのだ。


カシャン


金属がこすれるような音がした。


そこにいた者たちが一斉に音の方を振り向くとそこには金色でセミロング髪に白と黒を基調としたフリフリのドレスを着た10代前半とおぼしき少女が身の丈ほどもある巨大な鎌を構えて立っていた。

少女の持つ巨大な鎌は漆黒の柄で長さが少女の身の丈と同じかやや長めであり、刃の部分は柄に負けず劣らず巨大でその刀身は月明かりに照らされ金色に輝いている。


男は少女を見ると剣を振りかざし、声を荒げて叫んだ。


「レルシア!貴様私の部下に何をする!!」


男が叫ぶのとほぼ同時にレルシアと呼ばれた少女は構えていた巨大な鎌を振りかざし


ブヲォン!


振るった。


すると、刃の部分が外れたのか巨大な刃はまるでブーメランのように宙に弧を描きながら飛び男の首から上を弾き飛ばした。


男は刃を避けることも防ぐこともできずに死んだ。


先ほどの兵同様、首から大量の血を吹き出しながら・・・


レルシアが投げ飛ばした刃は男の首を弾き飛ばした後、弧を描いて少女の頭上に舞い戻る。


カシャン


レルシアは舞い戻ってくる刃をまた柄に元に戻すように受け止めた。


レルシアが刃を受け止めると同時に男の首が地面に落ちた。


「任務失敗の上に、部下が敵に寝返るなんて、貴方は指揮官失格よ。だから、貴方の部隊は本国に撤収。貴方は隊を壊滅させられた責任を取ってこの場で自害。これが上の決定よ。異論は無ないわよね? だって死人に口なしですものね。」


レルシアは地面に落ちた男の首を見てそう告げた後、ビランを一瞥して甲冑の兵士達を見た。


「裏切ろうとしたものと無能な上官は死んだわ。各自速やかに撤収しなさい。」

レルシアは言い終わると甲冑の兵士たちに背を向けて歩き出した。


甲冑の兵士達はどうするか少し迷った後。


レルシアの背に続いて撤収を始めた。


レイチェルと騎士達は何がどうなったのかわからずただ呆然と立ち尽くし、ビランは剣を鞘に収めてカルキオの元へと歩み寄った。


「大丈夫? ごめんね。 咄嗟の事で蹴り飛ばしてしまって・・・」


右手を差し出しながらビランはカルキオにそう告げた。


カルキオはビランの顔と右手を何度か交互に見て少し迷った後、その手をとり立ち上がった。


「まったく驚いたよ。ドルキス家唯一の天才は伊達じゃないな。」


カルキオが冗談交じりに言うとビランはにっこりと笑みを返した。


「さ、僕らも引き上げよう。」


ビランは振り返りレイチェルや騎士の下に歩みだす。


ジンカは現状を理解できず、未だに立ちほうけている。


「お~い!ジンカ~!何、呆けているんだ?こっちも撤収だ。」


それを見たカルキオが声をかける。


その声にジンカは(ハッ)として正気に戻り、レイチェルや騎士たちの下に駆け寄った。


ビランはレイチェルの前に着くと片膝をつき、頭をたれる。


「遅れて申し訳ありません姫様。罰は後でいかようにも、今はここから脱出しましょう。」


ビランがそういうとレイチェルは驚いた表情を見せた後、落ち着いた表情に戻しため息を一回ついてから口を開いた。


「ビラン=ドルキス。此度の活躍は文句のつけようもありません。私は深くあなたに感謝します。さ、ここから離されましょうか。」


途中まではビランに向けて最後はその場にいる全員に向けてレイチェルは言った。


その場にいるほぼ皆が「うん」と頷く中、ジンカだけは声を荒げた。


「お待ちください姫様。敵がどこから来たものか突き止めるためにやつらを捕らえましょう。敵は甲冑の兵士30人余りに小娘一人。今ならば簡単に・・・!」


「それはやめた方がいい。」


ジンカの言葉を遮ってビランは言った。


ジンカは言葉を返そうとするがその前にビランは言葉を続けた。


「レイシアと呼ばれていた子は僕より強いし、何より・・・ これ以上続けるなら彼らが出てくる。」


ビランはそういって外壁の上に視線を向けた。


ビランが視線を向けた方を皆が一斉に見るとそこには怪しげな7人の集団が立っていた。


月夜に照らされ顔がはっきり見えるもの、仮面やフードで顔を隠しているもの、さまざまなものたちが外壁の上でこちらを見ていた。


正確にはビランを見ていた。


「我々の存在にいつから気づいていた?」


七人の真ん中にいる男が口を開いた。


「最初からね。いつ出てくるか不安だったよ。何せ9人とも僕と互角かそれ以上だからね。」

ビランの言葉にそこにいた7人だけでなくレイチェル達も驚いた。


7人は自分たちの存在に早くから気づいていたことに、レイチェル達は彼らの実力をビランが自分以上だといったことに・・・


もしそれが本当なら、この七人に自分たちは全滅させられる。


レイチェル達はそう思い武器に手をのばす・・・


「やめなよ。彼らに戦意は無い。る気なら最初からそうしているさ。」


ビランの言葉に騎士達は武器にのばす手を収め、元から持っていた武器をしまった。


「面白い男だな・・・ 我々も撤退する。」


真ん中の男がそういうと、7人は森の中へと姿を消していった。


7人が視界から消えたことを確認して一同は馬車や馬に乗り撤退を開始した。


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