02 一章 惡の華 エピソード19 ド外道君は奴隷商4
バーバラが一家を連れて行き、その姿が見えなくなってから。
俺は、雑木林からずっとこちらを伺っていた気配へと、声をかけた。
「フェリル。いるのは分かっています。」
その時の俺の声は、柔らかかったのだろうと思う。何しろ、「はい、お迎えに上がりました」と、姿を現したフェリルは、仄かに口角を上げていたのだから。
まったく、
「はぁ…………」
嘆息も漏れると言うものです。
「ミシェルの差し金ですか」
「お察しの通り。泣きつかれては流石に跳ね除けられませんでした。」
「そうですか。分かりました参りましょう。」
フェリルを従え、帰路に振り返った時。一歩踏み出した俺は「あぁそう言えば」と、背後に聞いた。
「例の件はどうなっていますか」
「は?」
「俺の字を広めた不届き者です。」
「ぁ~…………まだ。手掛かりは掴めず」
「なんてことだ…………いえ、決めました。次の標的はその者です」
「っ!し、しかし、その者達が一般人ではないとの確証もありませんが…………」
「いいえ、俺の事を知っていなければ、あんな字の数々出てはきません。裏社会の者に決まっています」
「ですが、コソ泥や、既に収監された囚人の線も捨てきれません。捜索は難航する事は確実。お考え直しを。もしくは、時間をかけるべき優先事項ではなく、低い事柄へと修正するべきではないかと。最優先は、貴方様の悪魔祓いの情報です。」
驚いた。珍しい事だ。フェリルがこれほど流暢にも声を発するなど。
なにかありますね…………?
「…………あなた、いやに俺を引き止めますが、何か知っているのですか?」
「自分がまさかであれば即刻お耳に入れます所ありえません」
「それもそうですね。では、即刻、幹部を集めなさい。」
「…………まさか」
「目には目を。歯には歯を。悪には悪を。」
この件はこれでお終い。
例外はもう無い。慈悲も、容赦も、俺には必要のない事。
正道は俺の歩むべき道ではないのですから。
「ド外道にも、俺を謗り挙げた悪人は全て、粛清致しましょうか。」




