表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ド外道奴隷商くんと鬼畜クソ女ちゃん  作者: スヤニカ
四章 悪魔祓い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
103/108

四章 山の海神様は嫉妬深い エピソード17 次の目的地

 日が変わりリミックの死の翌日、社の裏にて。

 今日は朝から快晴であるためか、放射冷却効果も相成り冬が到来したかのような冷気がこの地域に漂っていた。もっとも、今日に限ってはその方が都合が良くもある。何しろ、社の裏にはグロテスクなリミックの死体を置いていたからだ。視覚的にも気味が悪いのに異臭まで漂ってはたまったものではいからな。

 リミックの死体の近くでは、ハンスがその凄惨さに耐えきれず吐き気を催している。

 一方、もう一人の人物――――マルファはリミックの死体を見てもドン引く程度で、むしろそのわけを訊ねてきた。

 だから、経緯を懇切丁寧に話してやったのだが、


「で、あ、()()を持ち帰って来たって事?」


 マルファはリミックの死体を持ち帰って来たわけを聞くと、ドン引き顔を更に引きつらせたのだ。

 ゆえに俺は苦笑しながら「そうです。」と簡素に返事した後、面倒なお叱り(追及)をされる前に、今後の展開へと話を移した。


「工事の最高責任者が居なくなったのですから、ひとまずの間、工事どころではないでしょう。」


「そ、そうかもしれないけど…………えぇ…………」


「あなたの言わんとする事は分かっています。強引がすぎる。そして、問題が増えた…………と言いたいのでしょう?」


「そうよ、いくらチャーチヒューズ工業が黒だろうと、相手は立ちばあるれっきとした企業よ。ここまで表立って荒事を為したら、残った作業員がギルドや衛兵に告げ口して、首を突っ込んでくるわよ。」


 「それに」と、マルファがその先を口にする前に、「分かっていますと言ったでしょう」と閉口させた。


「俺の存在が公になると言いたいのでしょう。大丈夫です。少なくとも、俺の姿はバレていませんよ。作業員は皆逃げまどっていましたから。あの視界不明瞭な喧騒と、降り出した土砂降りから一人を特定するなど不可能です。」


「…………なら、いいけど。じゃあ増えた問題って?」


「ああ、言い方が悪かったかもしれませんね。増えたというよりは、解決しなかったと言いたかった」


「陣の情報ね。そう言えばアルマちゃんなんで知ってたの?」


「俺の駒にも被験者が居るからです。」


「うそ!じゃ、じゃあアルマちゃん…………も、まさか…………?」


 と、その後のマルファは自身の口を何度も噛み合わせた。

 なんだそのジェスチャーは。もしかして「一噛みしてるの?」とでも言いたいのか…………。


「…………あのですね。言っておきますが俺が手を出したゆえではありせんよ。昔、数十人の悪党がそう言った研究をしていると聞き、仕入れに向かった次第。そこで拾ったのです」


「あ、そうなのね。早とちりしちゃったわ。でもそれならその人たちに情報聞けばいいんじゃない?」


「それらを買い取った方々の顧客名簿はありますが…………彼らとはそれっきり。リピートはされませんでしたので…………一応確認はしてみますがおそらくは空振りに終わるでしょう」


 と、俺が首をすくめた時。


「な、なあ、お前達」

 

 そう言って会話におずおずと割り込んできたのはハンスだった。


「ほ、本当に何者なんだ?」


「悪党です。」


「そ、それは…………そ、そうかもしれないが…………」


「詮索は止しなさいと言ったでしょう。」


「しかし、人死にが出たんだぞ?」


「…………だから?」


 俺が凄むとハンスは一歩退いた。でも、収まりがつかないと言わんばかりに再度聞いてきた。


「何が目的なんだ」


「何度も言っているでしょう。ここからあなた方が立ち去れば俺達はお役御免です」


「…………俺達を、口封じしないと?」


「だからしません。俺はね、一般人(カタギ)に手を出す気は毛頭ないのです。もっとも、あなたに後ろめたい過去があるのならば、話は変わりますがね」


「い、いや…………それは…………俺だって、何かしらの法には触れる事をしてるとは…………お、思うが」


「たとえば?」


「…………ご、ごみのポイ捨てとか…………喧嘩とか…………」


「ははは、軽犯罪でしょう。失笑こそすれ、小遣い稼ぎにはリスクが高すぎる。そもそも、その程度に罪悪感を抱くようなら、俺からすれば一般人の範疇です。安心しなさい。」


「そ、そうか…………」


「ただ、少し協力してほしい。」


「っ、何を。どんな片棒を担がせようと…………?」


「あぁ、そう固くならずともよいですよ。あなたの肩書を使い、この件をやんわり収めて欲しいのです。そうですね…………たとえば、昨夜の爆発は地震が起こった事により、水源が暴発したとか…………そんな感じで適当にぼやかしてほしい。」


「ま、まあ普通の人間が上級魔術を何度も放てるわけ無いしな…………たぶん、皆信じると思うが」


「よろしい。あとは、鉱石の採掘をそのまま続行してください」


「アルマちゃん!?な、なんで??」


「あくまでもふりです。チャーチヒューズ工業から監査が来ないとも限らないでしょう。その時だけふりをしてほしいだけ。それ以外の時はここの村民の農作業でも手伝いなさい」


「し、しかし。それだと俺達の生活が…………」


「知った事か。と俺は既に言って聞かせてあります。」


「…………っ」


「しかしながら…………それでは反発が生まれてしまうのも分かっています。金のために働いているわけですからね…………なので、あなた方の作業現場を俺が買い取ります」


「は?はぁ?!」


「だから、金を払うと言っているのですよ。その代価はあなた方の演技。あぁ、安心しなさい。あの鉱石は金に生る。きちんと報酬を弾みますよ。こんな事があった後だ。ハンスさん、あなたも職を変えるでしょう?それまでの間手当を出すと言っているのですよ。」


「そ、それは…………そうかもしれんが、本当にか?」


「申し分なく。だからこの件が済んだ後、あなたはこちら側に関わり名が無い所をなんとしてでも探しなさい。子供は聡く機敏に異変を感じ取る。お子さんの情操教育にも響くでしょうから。」


「悪い奴では…………無い、のか…………?」


「勘違いせぬように。住む世界が違うと言って聞かせているにすぎません。ですから、俺は悪党です」


 ハンスとマルファが顔を見合わせた。マルファは口パクで「素直じゃない」と言った気がしたが、そちらへツッコむとまた話が広がると考え、あえて触れなかった。


「さて、これで一旦この件は終わりですかね。後は俺の部下がこっちへ来るまでの間、この集落には存分にも過分に、甲斐甲斐しくも丁寧に、そして何より上等に――――もてなしてもらいましょう」


「じょ、上等って…………アルマちゃん偉そうねぇ」


「何を他人事のように…………俺をもてなすのはあなたもそうなのですよ。」


「はぇ?」


「その低音バスボイスで『はぇ?』は些か無理がある。いいから早く話してください。悪魔祓いの情報を」


「あ、そう言う事。いいわ。でも、話の後アルマちゃんの左目を見せてね」


「…………そう言えば、許可を出したのでしたね。よろしい、言ってごらんなさい」


「実はね、エンバス地方にも神様の伝承が在るの。でも、ここのように敬われてるのではなく、逆に畏れられている。謂わば荒魂を祀り上げる事で宥めているのね。で、その神様は昔災害を起こしていた時、一人の人間に封印されたらしい。その封印が悪魔祓いになるかなって」


「なるほど…………封印ですか。」


 思い返せば、エーランド・ファミリーの縄張りに入った時、初めに出会った男は『荒神様』と口にしていた。その他にもクサナギは自身を神職に通ずる家系と言っていた気がする。

 情報の良し悪しはひとまず置いておき、吟味するには値すると見た。それに、クサナギ・エーランドは既に俺に屈服している。聞きだすのも易いだろう。


「………まぁまぁな話です。次の目的地が決まりましたね」


「あら、じゃあエンバス地方に行く?」


「ええ、これから招集をかけ、俺の駒がこちらへ来次第、出立します。」


「そう、残念だけど、アタシは付いて行けないわよ?エーテル結晶を大々的に発表して、ここの資源を守らきゃ」


「そうですね、構いません。エンバス地方であれば俺には()()がある。」


「伝手?」


「気にする事は在りません。」


「…………なんか、不穏だけれど。まあ何時もの事だしいいわ。」


 「それじゃ、目を見せてね」と、マルファの顔がずいっと近づいた。そして、片眉を上げながら様々な角度から俺の左目を覗き込む。

 すると、俺の魔眼に心当たりがありそうな吐息を漏らす。


「アルマちゃん、その目の事は知ってるのよね?」


「いえ、効力は知っていますが、それ以外はほぼ。詳しくは分かりません」


 「まぁ、そうよね。」と、マルファは観察を終え俺の傍から離れた。


「魔眼ってそう滅多に発現するものじゃないし、図鑑もないものね」


「でしょうね。それで?この目の名は?」


「率直に言うと、レア度は引くいわ」


「おや、手厳しいですね。と言うかレア度…………があるのですか。魔眼自体が珍しい筈なのに?」


「そうね、じゃあ簡潔に魔眼の説明からしましょうか」

 

 マルファ曰く、魔眼にはレアリティがあるらしい。それは美術的観点と固有能力の二つが組み合わされなされているらしい。 


「アルマちゃんの目は見目麗しさが最低値。能力も在ってないようなものだから、五段階評価で言うと最低の五等級…………で、その黄色を主体とした肉の断片のような模様は確か…………『毒の目』。最も最初に確認された人物名からとって、別名『サリーの瞳』とも言われる魔眼よ」


「毒…………まぁ、魔力を吸いますからね。そう言われても仕方ないでしょうか」


「その目は魔眼の発現者に最も多いって聞くわ。元々魔眼を発現する人はそれなりの魔力量があるらしいのよね。無意識にせよ意識的にせよ、瞳に多く魔力が注がれ続けると発現するとも聞くわ。だから、利き目の場合が多いんですって。もっとも、仮説の域を出ていないけれど。」


「ほう、一つ知見を得ました。流石ですね学者先生。」


「もう、お世辞はいいわよ。それじゃ、ひと落着いたし」


 マルファは俺とハンスを手招きし、輪を作らせると声を潜めた。


「これからの事を相談しましょうか。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ