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神之樹  作者: Uyu
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第二十二話ー再会ー

「出れたー!」

 ザイクさんに地上まで送られ数日ぶりに日の光を浴びることができた。

 風が木々の葉を撫で爽やかな音を奏でている。

 今まで地下にいた分開放感が凄い。

 なんて言うか、地下って空気の流れが止まってる感じがして若干息苦しいんだよね。

「それでは一週間後正午、この場所にて再びお迎えにあがります」

「了解しました」

 ザイクさんは私達とのやりとりを終えると再び地下の方へと歩み始め、姿が見えなくなると地下へと続く扉は消え去ってしまった。

 道中ざっくりと聞いたけど、これはザイクさんのスキルが可能にした芸当らしい。

 空間型のスキルでこんな感じに空間と空間を繋ぐことができるんだって。

 だから実際にはこの場所とも、私達が最初に見つけた入り口の場所とも違うところにノアがあるんだとか。

 多分幽鬼と同系統のスキルなのかもしれない。

 すると少し先の方で何かが衝突したかのような轟音が鳴り響いた。

「今度は一体何なの!?」

 音のした方へと向かうとそこには見知った顔が。

 白と黒の髪を織り交ぜた髪の青年が異形達を蹂躙していた。

「ちょっ、白夜ストップ! 緋翠、白夜を止めて!」

「しょうがねえな。白夜がいるってことは多分静月と紫音もいるはずだ、お前達は二人を探して加勢するように言ってくれ」

 異形が人間に戻れることを知った以上、この事態は流石に見過ごせない。

 異形解放した緋翠が異形を狩る白夜へと立ち向かった。

「んだお前、異形を庇うなんざどう言う風の吹き回しだぁ!? 少し顔を見ない間に頭でも打ったか!」

 おおよそ失踪してた仲間と再会できた時に交わす言葉ではないね。

 緋翠が手負になる前に二人を見つけないと。

 周囲を探し回ると案外あっさりと二人が見つかった。

「静月さん!」

 私の声に気がつくと二人がこちらに駆け寄ってきた。

「皆んな、無事だったの!? 何日も帰ってこないから心配してたのよ!」

 こんなに焦った顔の静月さんは久しぶりに見た。

 本当に心配かけちゃったみたい。

 と今はそんなこと思ってる場合じゃない。

「静月さん、白夜を止めて! 事情は後で説明するから!」

「よく分からないけど、分かったわ」

 緋翠達の元に戻るとまだ白夜は暴走状態にあった。

「ちょっ、白夜! 仲間を襲ってどうするのよ!」

 静月さん、紫音さんも加わって見事白夜を簀巻きにしてその場は収束した。

 簀巻きにされてもまだもごもご暴れてるけど。

「まったく、それで何があったのか聞かせてくれる?」

「いろいろあったから帰って師匠への報告する時に皆んなに話しますね。と言っても説明はいつも通り陽葵がしてくれると思うけど」

「変わってないようで安心したわ」

 そう言って静月さんは柔らかく微笑んだ。

 この優しい笑顔を見ると何だか安心するな。

「少し離れたところに幽鬼達もいるから合流して帰りましょうか」

 紫音さんが簀巻きになった白夜を抱え、私達はその場を後にした。

 その後幽鬼とも無事に合流し、ラディクシアへの帰路についた。

 道中幽鬼にしつこくこの数日間の経緯を聞かれたけど、何回も説明するのは面倒くさいからスルーした。

 絶対説明の途中でツッコミが入るし。

 ラディクシアへと無事帰還し、早速師匠の元へと報告に向かう。

 と言ってもこの人数で師匠の執務室に押しかけるのは流石に無理なので会議室でことの成り行きを話すことにはなる。

「お前達、無事だったか」

 相変わらず感情がこもってないように聞こえるけど、何処となくほっとしたような表情を浮かべていた。

 心配してくれてたんだな、なんか嬉しい。

 と感動の再会をそこそこに本題に入る。

 この数日間何があったのかを事細かに報告していく。

 あまりに奇想天外な出来事に皆んな様々な表情を浮かべている、特に幽鬼の表情がうるさい。

 流石の師匠と静月さんは冷静に状況の分析に専念している様子。

「まさかナーテルの地下がそんな状況になっているとはな。とりあえずアルセリアの存在が杞憂に終わったのは僥倖だったな」

 まさか架空の存在を警戒してたなんてね。

 しかも仲間に加わる流れになるとは誰も思わなかったよね。

「同盟を受け入れるかを決める前に、実際に現地を訪れたお前達の意見を聞きたい。彼らが信用するに足る相手か否か」

「私個人的には問題ないと思います。同盟の話をしている最中もこちらを騙すような仕草は見受けられませんでした。何よりも街に住む人々の身の振り方を見ても彼らの存在が悪ではないことは明確だと思います。ただ、研究内容に関しては私に知見が無いため判断しかねます。そこは専門家の手を借りる方が良いかと」

「陽葵がそこまで言うか。他の者も同意見か?」

 私含め皆んな陽葵と同じ意見だった。

 街の人達のヴィーネさん達に対する信頼の大きさは話をしていて伝わってきたし、何よりアジャスタと人間が分け隔てなく関われる生活圏を作り上げるなんて一朝一夕にはできない。

 それを成し遂げられるんだから悪人の可能性は限りなくゼロに近いと思う。

 もちろんこれら全てを強制的に街の住民に課した可能性もあることにはある。

 でも強制的に住民を動かしたんじゃ住民からのあそこまでの信頼は得られない。

 必ず何処かで不平や不満が漏れ出す。それがなかったんだから、まぁそう言うことだよね。

「分かった、同盟の件に関して前向きに検討しよう。次の街への訪問は一週間後だったな。静月はラディクシアの全権代理者として陽葵達に同伴してくれ。こちら側の研究者代表として冥を同伴させて行われている研究について意見を仰いだ上で、最終判断は静月に任せる」

「了解しました」

 冥さんか、あまり関わりないな。

 ROOTS唯一のアジャスタの研究者。

 スキルも研究向けのものだったからEVEよりもROOTSでその能力を使う方がいいって事でROOTSに配属された。

 と言っても私がラディクシアの研究に関わることってほとんどなかったから詳細についてはわからない。

 稀にある身体検査の時くらいしかROOTSに足を踏み入れないもん。

「それとそのヴィーネとやらを一度この目で見ておきたい」

「ではラディクシアにお越しいただけるよう併せて伝えておきます」

「長官、一つお願いがあるんですけど。胡桃も同伴させてくれませんか?」

 会議中に瑠奈が発言するなんて珍しい。

 いつも傍聴のスタンスだったのに。

「何故だ?」

「この前私達と戦ったアルスだけど、私の技で腕を欠損させちゃって、それを治してあげたいなって思って」

「わかった、招集を掛けておこう。ただしそれは静月が問題ないと判断して同盟を締結した後だ」

 まだ師匠はヴィーネさん達の事を完全には信用できてないみたい。

 まぁ、一回の状況報告だけで完全に信用しろって方が難しいのはそうだけど。

 一番良いのは実際に師匠の目で見てもらう事だけど、人間の師匠にはナーテル中央区域の魔素濃度には耐えられないから静月さんの判断に任せるのがこの場では最適解なんだろうな。

「他に何かある者はいるか?」

「ナーテルの調査は今後どのような方針で進めますか? 異形が人間に戻るなら無闇に戦闘をするわけにはいきませんが」

「そこは要検討だな。同盟が締結されれば我々も異形の保護に回ることになるだろうが、ここは冥の意見も聞いておきたい。とりあえずこの一週間は調査は行わない方向で進める」

 やったー!

 一週間の休暇だー!

 何しようかな、まずは温泉に入ってその後美味しいもの食べてと……。

「この期間は装備の調整期間にする。この一ヶ月でお前達も強くなったからな、SEEDの連中がそれに合わせた装備を作らせろと騒ぎ出してるらしい」

 そういえば前回装備を新調してから強化訓練とか色々あったけど、一回もメンテナンスしてもらってないや。

 今の私を見たらフィンも驚くだろうな。

 会議も終わり早速フィンのところに向かうことにした。

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