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天才は劣等感のある年上魔法騎士を逃さない  作者: 青門 利空


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恋の宣言

挿絵(By みてみん)


自分の部屋へかけこみ、俺はベッドへダイブすると、布団を上からかぶる。

いきなり走りこんできた俺にびっくりした、俺の相棒、小鳥のピーちゃんが、俺の上を飛び回る。


「ドウシタ?ドウシタ?ロズ、ダイジョブカー?」


さわぐ小鳥に返事する気力はなく、俺は、バクバクする心臓を鎮めるため布団の中で深呼吸をする。


なんか、エリアス、俺のことを好きって言ってた?……うそだろ?

だって、まだ会って初日だよな。俺のことをからかった……?

俺のどこが好きなんだよ。目がどうとか言ってたな……。

――この忌まわしい目が。


その瞬間、嫌な記憶が頭をよぎった。


罵声を浴びせあう両親、物が壊れる音、その場に立ち尽くす小さい自分……。

俺は布団の中で震えていた。


「大丈夫、大丈夫だ……。俺は大丈夫……」


気持ちを落ち着けようとつぶやき続ける。そうするうちに眠気が来て、俺はそのまま眠ってしまった。


翌朝。燦燦とまぶしい太陽の光が部屋に差し込む。


いやだ……、起きたくない。


布団の中で身じろぐが、無情にも朝の起床ベルがなる。


うぅ……、仕方ない。起きなければ。


無理やり体を起こす。

昨日着たまま寝てしまった隊服を脱ぐ。

そして、予備の隊服に着替えた。

顔を洗い、鏡に映った自分の顔をみると、目の下にクマがでていた。

睡眠時間はとったはずだけど、ストレスかなとぼんやり思う。


なんか、エリアスと顔合わせるのかなり気まずい……。

あいつ、本当に俺のことが好きなのか?

俺、そんな要素ないぞ。

この目だって忌目だし、他に俺の取り柄ないし。


唯一ほめられたことがあるのは、努力家ってとこだけ。

その努力家ってとこも、努力しないとついていけないから、仕方なくやっているだけだし。

あいつの好きは、気のせいなんじゃ……?


「好き」じゃなくて

「隙」なのでは。


……。

………。

…………!!


俺ははっとひらめいた。


そうだ。「隙」だったんだ。


人との距離が近いって言ってたし。

そういう、人間との距離感がバグっているところが

性格の欠点=「隙」があるって言いたかったのでは?


なるほど。

最近、上層部が外国のスパイとか警戒しているって言ってたし。

人を信用しすぎて、それが国防においても「隙」になってしまうという……。


あいつ、わかりにくいな。もっとわかりやすく言ってくれよ。


俺は、悩みが解決して、すっきりした気分になった。

やっぱ、睡眠って大事だな。寝たら、頭が冴えたわ。

さて、仕事に行くか。

 

俺は、急に心が軽くなり、小鳥のピーちゃんに餌と水をあげたあと部屋をあとにした。



騎士団の朝は早い。演習場での早朝訓練から始まる。


フォルセイン国の国軍は、

王国騎士団。

歩兵団。

弓兵団。

工兵・補給部隊。


そして。


俺が所属する、魔法騎士団で構成されている。

 

全部で約1万人の兵士がいるなか、魔法騎士団は約100人くらいの特殊部隊だ。


魔法騎士団は五隊に分かれていて、第一隊 攻撃魔法部隊、第二隊 防御魔法部隊、俺がいるのは第三隊の魔獣討伐部隊だ。(ちなみに第四隊は遠征部隊、第五隊 王都防衛になる)


フォルセイン国と隣国の間には、魔の森と呼ばれる深い森があって、そこには無数の魔獣が生息している。

魔獣は、たまに人里におりてきて被害をもたらすから、俺たちはその魔獣の制圧が任務だ。

 

魔獣は、まれに使役獣として飼いならすこともできる種族がいて、俺は、獣との親和性が高いと見込まれて第三隊への配属となっている。


第三隊は20人で構成されている。

ちなみに幼馴染のアルバートは第一隊の攻撃魔法部隊だった。



「はよー」


ダニーが目をこすりながら声をかけてきた。


「まったく、朝早いよな」


「それな。なんで、こんなに早朝から訓練あるんだろ。本当は昼まで寝てたい。」


「わかる!!俺、休みの日夕方まで寝てるときあるし」

 

「それはさすがに寝すぎだろ」



俺たちがくすくすと笑いあってると、頭に影がおちた。

 

なんだ?と見上げると、そこにはエリアスが太陽の光をさえぎるように立っていた。



「おはようございます」



にっこり笑って挨拶するエリアス。しかし、笑顔の奥の目に冷たい感情がのぞいている。


寒い。

なんか、急に周囲の温度が下がった気がする。

 


「……おはよ」



あいさつを返すが、笑顔がひきつるのが自分でもわかる。

なんか、こいつ俺より年下なのに妙な迫力があるよな。背が高いから?



「先輩、ちょっと話があるんですが」


「なんだよ」


「ちょっとプライベートな話なんで。こっちでいいですか」



エリアスに引っ張られ、俺は演習場脇の更衣室へとむかった。



「なんだよ、朝から」


「俺、昨日の返事ききたいです」



エリアスが、少しかがみ、俺に目線を合わせてくる。

それに、背が低いというのを突き付けられているみたいで、俺はむっとしながら返した。



「昨日の返事?」


「……先輩に好きっていいましたよね?」


「ああ、あれな。忠告ありがとう。気を付けるわ」


「は?」



エリアスがいぶかし気な顔になり眉間にしわがよる。



「なんの話ですか?」


「いや、だからあれだろ?俺に隙がありすぎるっていう……」


「は?」



エリアスが一層困惑した表情になる。



「いや、だから、最近外国のスパイが問題になってるから、誰にでも隙をみせるなって話だろ」


「…………」



一瞬の間の後、エリアスがはぁーっとため息をついた。

そして頭をおさえて横の壁に向かってぶつぶつと独り言をいいだした。



「(こんなに鈍いとは……。馬鹿なのか……?天然すぎるだろ。)」



小声で言っているから聞き取れないが、なんか不快なことを言われている気がする。



 「おい、お前ら。練習はじまるぞ!」



同僚のアレックスが呼びにきたため、俺はエリアスと更衣室を出て

仲間たちのいるところに向かう。


俺の後ろを、なんか不機嫌な雰囲気のエリアスがついてくるが、もう知らん。

自分の機嫌は自分でとってくれ、子供じゃないんだから。

 

俺もすこしむっとしながら、歩を進めた。




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