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【完結】俺の彼女が急に異世界令嬢になってしまいました。俺ってこのまま彼氏でいいの?  作者: 長嶺暦


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第23話 赤い靴

 いつもの図書館併設の喫茶店で俺たちは今日もワクワク放課後デートの時間だ。

 今日の薔薇子はほうじ茶ラテを飲んでいる。

 俺はいつものホットコーヒーだ。寒いものね。


 薔薇子は相変わらず、なんかタブレットPCと夢可愛いリングノート、そしてポンポン付ボールペンを使っている。


「よく見るとボールペンのインク緑だな…。」

「えぇ、この世界の化学を学びましたが、緑は目に優しいのでしょう?緑を取り入れるよう心がけておりますの。」

 それって、植物の方の緑だったり、遠くにある緑をみるととかそういう話じゃなかったっけ?

「そ、そうか…。」

 それしか言えなかった。

 ってかそのポンポンボールペンっていろんな色あったんだな。海外製だから青いインクが主流だと思ったわ。



「わたくしも一つ質問があるんですの…。」


「そうか…。いいだろう。いくら払う?」


「え?」


「質問したいんだろ?いくら払えるか聞いてるんだ?」

「えっと、質問するのにお金がいるのですか?」

「そりゃそうだろ。俺の時間を奪ってるし、俺の個人情報だぞ。」

 嘘である。

 今まで本を読むのに飽きて外を眺めるふりをはさみながら薔薇子の顔を眺めてたよ。

「え、えっと、その、わたくし今本当に何も持っていませんでして…。あの、その…。」

「ったくしかたねぇなぁ、わーったよ、仮でいいよ仮で。借り1な!」

「どうして急にそんな横暴な態度ですの!わかりました借り1でいいですわ!」

 まさかの了承だった。

「放っておいたら簡単に詐欺に騙されそうだな。どこのお嬢様だよ。人間はみんなクズだと思って生きた方がいいぞ。」

「あなたの認知の方が歪んでますわ!

 というより、今の発言ですとあなたは立派な詐欺師ようですわね。」

「一度口に出した言葉を撤回するんですか?」

「女に二言はありませんわ!」

 そういう言い回し、やっぱりどんどんこっちの書物に毒されてるなぁ。侯爵令嬢様が言わなそうな台詞だろ。

「なぁ、もっと貴族の言い回しで言い直してみてくれよ。」

「えぇ…。いったい何なのですか。」

「偉そうに頼む。」

「仕方ありませんわね。こほん。

 わたくしのような生まれの人間が、庶民へ下した発言を撤回するなんてありえませんわ!侯爵家の名折れです!借りは借りとしてありがたく受け取りなさい。」

 なんかいいな。


 俺がありがたがっていると、薔薇子はすごく嫌そうな顔をして、今ので借りはチャラですわ!と言った。こりゃ一本取られたな。



「そんで質問ってなんだ?」

「別に大したことはありません。最近赤いスニーカーを気に入って履いているようですね。お気に入りなのですか?」


 そう、何を隠そう、最近学校用品を一新したのだが、その際に一緒に購入したものだ。今着ている白いセーターに合うと思っている。


「かっこいいだろう!」

「えぇ似合っておりますわ。恭介は思い返すといつもファッションセンスが良いですわ。初めは気が付きませんでしたが、わたくしも現代ファッションを学ぶうちに割とすぐにあなたがかなり身なりに気を使っているということに気が付きました。

 それにあなたが赤色を選ぶのを初めて見ましたわ。」

「実は、こだわりがあるんだ。」

「こだわりですか?」

「あぁ、最近気が付いてしまったんだ。

 赤い靴履いた主人公ってかっこよくね!?って。」

「?どういうことでしょうか?」

 薔薇子は腕を組み顎に手を当て、本気で悩みだした。


 はぁー、異世界侯爵令嬢にはまだこのかっこよさはわからんようだなぁ。

「つまりは、ただかっこいいだけじゃないんだ。ここには少年誌主人公への憧れも詰まっているんだよ。

 よくわからんけど、流行が生まれるのと同じだ。誰かが着ているのが素敵だったから真似したい。自分も同じように素敵なものを身に着けたい。

 しかも物語の主人公が着ていたってことはつまり、その主人公のように外見だけじゃなく、内面もかっこよくありたいという少年心も詰まってるのさ。」

「ふふふ、何故かそれだけ聞くと、子供っぽくてかわいいですわ。

 あらでも格好よくありたいと切に願う男性にこのようにかわいいなどと言っては失礼ですわね。」


 薔薇子は失礼とか言いながらも口を手で隠しただけで、少し小馬鹿にしたような笑いは隠そうとしていない。



 俺は机の上に置いてあった薔薇子の方片方の手を自身の手でぎゅっと握った。


「そんなに子供っぽいかな。好きな子を全力で守ろうとする主人公って。」


 そう言ったら薔薇子はあっという間に耳まで赤くしたのだった。


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