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俺の彼女が急に異世界令嬢になってしまいました。俺ってこのまま彼氏でいいの?  作者: 長嶺暦


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第12話 俺が図書館に行かない日

「なっ!俺の言ったとおりだろ。こいつ週一はここで爺のように日光浴してんだよ。」

「本当にこんなとこに恭介いるんだけど、うける!」

「それな。僕はまた中野氏とデートかと思いましたよ。」


 急に騒がしい。

 俺はここで一人の時間をチャージしに来てんの。この三人が普段から超絶騒がしいからなんだが、わかってんのか?


 でも心配してきてくれてるのは理解した。


「お前、午後にもなるとほんとボロボロだな。顔色わりーし、生きてるぅ?」

「ほんとーにねっ!手もなんか握り跡?みたいな傷跡できてんだけど、キモ過ぎない?どんだけ強く握ったら傷跡って出来んの?アニメの中でしかこういうの見たことないんだど!」

「僕は恭介君がこの前歴戦の勇者か?ってくらい傷心のズタボロだったのを介抱したんですよ。どっちがおかしくなってしまったのかわかりませんよね。中野氏ではなく恭介君が事故って頭打ったと言われたら僕は納得します。」


「お前ら自由に言い過ぎだろ…。」



「やっぱり弱ってる。いつもだったら…、いや恭介はいつもこんな感じだな。」

「いるよね~、弱ってるの他人に気が付かれない奴!」

「なんで中野氏やご家族には気が付かれないのでしょうか。学校でも普通に見えますし。怖いですよね。え、よく考えたらキモくないですか?」


 こいつら傷心してる俺のこと(けな)しに来たのかな?



 学校では翔子と違うグループで生活している。

 

 いくら幼馴染といえど、彼氏彼女が四六時中べたべたしてるのは陰キャではありえない。

 そういえばあいつら付き合ってるらしいよ。気が付かなかったわーまじー?一応いつも一緒に帰ってるらしいよ。へー、興味なー。

 こういう感じが理想なのだ。


 

 というわけでこの三人が俺のいつものメンバー、イツメンであった。

 俺の陰キャクリエイティブイツメン。安井康太。阿久沢サヨ。原大地。

 

 康太は友情に熱いやつだ。なんで陽キャグループに属さないのか。

 実はバリバリのサッカー部だったのだが、足を怪我して馴染めなくなっていたそうだ。今も足の調子はそんなによくなくて、体育は見学のことが多いし、若干足を引きずって歩いている。 

 そして一番辛かった時に俺に優しくされたらしい。まったく覚えがない覚えてなくていいのにそれから俺に恩義を感じてるらしい。本人が覚えてない恩義なんて感じなくていいって言ってるのにキモイ奴だな。

 だが、だからか気遣いが上手く、空気が読めるし、面白いことも言える。


 阿久沢サヨは、まぁオタサーの姫だな。肩に付かないくらいまでの髪をパーマでくるくるにさせている。少しきつめの目つきで化粧も濃いめ。だが可愛い。

 本人曰く性格が悪くて友達がいないとかいうがそんなこともない。このグループにも学校にいる時間は半分くらい不在だ。

 女子のグループでだべっていることが多い。なんで俺たちと絡んでいるかも不明。 

 動画に半分顔出しもしているし、動画に出ていることを公言もしているが、コスプレや化粧が上手すぎてまったく身バレの気配はない。

 性格も快活で懐っこく、なんでもはっきり言うが嫌味がない。俺たち陰キャは女子はそんなに得意ではないが裏表のないサヨはグループに馴染んでいた。


 ちなみに最後の原大地は大地と書いてヒロタダと読む若干のキラキラネームだがもうみんなから完全に大地(だいち)と呼ばれていて、ヒロタダと呼ぶ人なんぞいなかった。

 眼鏡をかけたヒョロ陰キャで友人にもため口で話す勇気もないらしい。暴言を吐く勇気はあるのにな。


 週二、三回薔薇子と図書館で放課後デートしているのを除いた週二、三回はこいつらと一緒につるんでるというか、動画制作などクリエイティブな活動をしていた。あとは日向ぼっこデイな。

 翔子に言っていたバイトの半分はこれである。

 四人で動画を作って動画収益を単純に四分割していたのだった。


 康太とサヨは企画撮影演者、俺と大地は撮影編集担当、大地は絵も描いてくれている。動画に関しては基本的に携帯で連絡もしくは放課後学校の教室を利用して直接集まって相談していた。学校には音が漏れないガラス張りの面談用?個室がたくさんあるのだ。生徒はそこを好きに借りれる。ガラス張りだから変なこともできないけどな。



「お前ら…、俺の癒しの場になんのよう?」


「あー、心配してきてやったのに恭介ってばひどくないか?」

「そーそー、今日は明らかに午後から顔色悪かったからさー、せっかく後をつけて?きたのにー。」

二人とも俺と肩を組もうとしてくる。

サヨはいいとしても、なんで康太まで近いんだよ、男はむさいから近寄るな。


「うじうじしてる恭介君なんて見ないと損ですからね!我がチームのポーカーフェイスだらけ裏チート努力キャラでいつも飄々《ひょうひょう》としているのに、こんなに体制を崩しているなんて見物です。今なら出会ってからずっと挑戦し続けてきて一回も成功したことがない恭介君に、ひざカックンをお見舞いできそうです。」


「いや、言ってしまったらさすがに警戒して引っかからねぇよ。

 っつか今日は動画制作するなんて言ってなかったろ。」


「別に動画制作なくても集まってよくない?恭介がいつも中野っちと逢瀬を繰り返してる最中、私たちは集まって遊んだりしてるんだし。」

「お前は四回に一回くらいしか来ない。」

「まぁ編集作業はかなり時間とられますからね。ですが二重生活をされてる気分なんです。しかも別家庭の方でいざこざがあってそっちで傷心とあらば妾として心配もします。」

「俺は第三夫人でいいぞ。」

「私は第五夫人でもいいよ。」

「じゃあ第四夫人誰なんだよ。つか恋人じゃなくて友人であれよ。」


「どうせ恭介のことだ。言われたことを思い返して、悩んでも仕方ないことでウジウジ悩んでるんだろ?プライドの高いやつって人がいないところで一人で苦しくなってるんだよなー。しかもどうしようもないようなことで悩みすぎ。」

「うわー!さすが経験者ぁ!身から出た、錆?」

「サヨさんそれ…ちがくねっすか?そういうときは、年の甲より亀の甲?」

「康太も年をとったんだなぁ…。」

「なんでだよ!そこは違うだろって恭介が突っ込むところだろ。ことわざもおかしいいし。そういうときは似たもの夫婦だろ。」

「おい第三夫人につなげるな。」


「よし、そうと決まれば昨日人気Vtuberさんが歌ってみたで出してた懐古ソング良かったので徹夜で練習したんでカラオケに行きましょう!」

「恭介の傷心慰めカラオケ大会だね!レッツゴー!」

「おーい、二人とも動きが速いよ。すまんがもう少しゆっくり歩いてくれー」


「おい。俺行くって言ってないんだが?」

「何言ってんだ恭介!お前が行かなかったら、恭介来なくて傷心カラオケ大会になっちまうだろ!行くぞ!強制参加だ!」



俺が図書館に行かない日はこんな感じなのである。





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