逆様の城 2
相克の教会編第十九話目となります。
今回は逆様の城の本格的な攻略開始となります。
では本編へGO!
ダンジョン攻略もいよいよ半分を過ぎようとし、ジャック達はいい加減階段で登って行くことに不満を抱きつつあった。
しかし、こればかりは慣れるしか無いと己に言い聞かせ、引き続きディラブが一人で戦っていたわけだが、流石に半分も過ぎると疲れが若干見えてくる。
流石に次で休もうかとと言う話になり、ジャック達は一旦階段を上り切った所で驚いて足を完全に止めてしまった。
ただ広い空間に上の階を支える為にだけある装飾を乞っている石造りの柱、空間全てが色とりどりの花々と石造りの家が並んでいるのだ。
「人が住んでいたようですけど…誰がこんなところで?」
「…どうだろうな元々は中央大陸の一部だったものが加工して場所を変えただけと言う想像だったが…」
「そうか。分かったわ。元々この場所は上から降りてくる際に作られた最下層の居住区画だったんじゃないかしら? その後、その場所を追われたかして逃げる際に上に浮かせ、その際に新たな出入口近くにセキュリティとしてあんな感じな場所を作ったのよ。だから人工モンスターが選ばれていたのよ」
「アンヌの言う通りのようじゃな。この階段から見える上の階も別段キング種クラスのようなモンスターは徘徊しているわけじゃないようじゃしな」
「一旦ここで休みますか。流石にハイスペースで上に登っているように思います。此処で少し休んでから。この上も流石にキング種は居ないかもしれませんが、自然発生したモンスターは居るかもしれません。ダンジョン化しているわけですし」
「ダンジョン化して逃げ去ったのか、逃げ去った後にダンジョン化したのか…」
ジャックは「どっちかね?」と言いながら建物にそっと触れながら見て回ると、中は案の定もぬけの殻となっている。
ディラブは「疲れた」と言いながら適当な場所に座り込んで休みだし、アンヌ達も手分けしてみて回ってみることにした。
しかし、五分程見て回ると違和感に気が付いたのはジャックだった。
「奇妙だな。上の階には普通にモンスターが徘徊しているはずなのに、どうしてこのフロアだけ…」
「そういえばそうですね。何か理由が在るとすると、中心の上へと繋がる螺旋階段にある結晶でしょうか?」
立派なサファイア色の結晶であり、全長だけでも三メートルはあるだろう多きを誇り、その周りをリアンが上へと向かって覗いていた螺旋階段が作られている。
ジャックはその目の前で見ているファリーダの左隣に立ちながら同じように見上げた。
アンヌも同じように見上げてみる。
「これが本物の宝石なら高く売れるでしょうけど。でも、魔石って感じもしないのよね?」
「いや…これは宝石だな。そのままサファイアだ」
「え? でも…」
「魔除けの術式が込められている。あくまでもこの宝石は術式の発生装置替わりに使っているのかもしれないな。同時に周りを明るく照らす照明代わりなのかもしれないな」
「エネルギーは周りに植えてある木かしら?」
「だな。この木そのものが魔力を宿している。その木から流れ出た魔力をこの宝石を使ってモンスターを封じているわけだ。となると…」
「モンスターが居た頃からこの場所は使われていたという事になるわね」
「多分だけど。元々は上に住んでいて、少しずつダンジョン化していく過程で下へ、下へと降りてきてこれ以上降りれなくなって全滅したのかもしれないな。生き残った数少ない人たちは下に降り、今のこの街に上へと戻る方法を残した」
「有り得そうですね。ならこの上にこのダンジョンを使った術式の正体があるわけですよね?」
「そういう事ね。とりあえず休憩が終わったのなら上階に上がらない? ディラブの体力はすっかり元に戻ったようだし」
アンヌの言葉でジャックとファリーダがディラブの方を見ると、体力はすっかり元に戻ったディラブが準備運動している姿が見えた。
ネリビットとメイビットの二人もその準備運動の周りで騒いでいる。
リアンが歩いてジャック達に近づいてきて、ある場所へと促す。
この空間の一番端っこに位置する場所、他の家よりは若干大きめに作られている建物からして恐らく一番偉い人の家なのは間違いが無かった。
ジャック達が家の中に入り、書斎と思われる場所で一冊の本をリアンはジャックへと手渡した。
赤く分厚い本。
日記と書かれているその本の中身を軽く説明すると、この場所は先ほどのジャック達の言う通り中央大陸の中心部近くのとある国の侵略戦争が切っ掛けで故郷を出ていくことになり、上空に身を隠していたが、その内その国が滅び、故郷がダンジョン化していたことに気が付き、下へと降りることにした過程が描かれていた。
その際に今の場所を見出したことが描かれていた。
「この土地は元々教会の本部が置かれており、その教会の原型の組織と話し合い合流する形で決まった。そこで日記は終わっている」
「その前は元々何か特徴的な種族だったのかしら?」
「中央大陸に古くから住んでいた種族? ナーガか?」
「かもしれませんね。それがジャック様達の種族の大元かもしれませんけど」
「ナーガの血を引くヒューマン族の種族だな。あくまでも。でも、今じゃ多分…」
「そうじゃな。辺境に住むジャック達の一族だけになってしまったのじゃろうな」
「ああ。元々ヒューマン族との間に血を分けた勇者専門の一族だったんだろうな。恐らく前任者と俺は何処か遠い血の繋がりがある」
「その上で最後の一回。今回の勇者で勇者が完成するという時にほぼ全滅。そう思っていた際にジャックのお母さんを発見したんじゃな。で、二人を作ったわけじゃ」
「アンヌ様は孤児院に分けたのは何か理由が?」
「ジャックが勇者として選ばれ、同時にアンヌを下手に巻き込ませたくなかったのか、まあ聞けば分かる事じゃろう。そろそろ上がろう」
「そうだな。このダンジョンの一番上にこの街に掛けている結界を解除できるはずだ」
ジャック達は螺旋階段へと向かって歩き出していくのだった。
どうでしたか?
次回はこの逆様の城でどんな風に生活していたのかを断片的にでも語りたいと思っています。
では次は第四章相克の教会第二十話でお会いしましょう!




