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第三十五話 ドライブ

久しぶりの休み、私は家族を連れて従兄弟の家に遊びに行った。

仲の良い従兄弟で来い来いと言われていたのだが予定が合わずしばらく行けていなかった。

そんな時に急きょ会社都合で連休がとれたのだ、これはもう行くしかない。

妻と子供2人も喜んで着いてきてくれた。


私は乗り物酔いをしやすい体質なので行きは私が運転し、帰りは妻が運転してくれる事になった。

片道3時間のドライブだったが中々に楽しい。

運転しているからかあまり酔わなかったのも大きいだろう。

特にトラブルもなく従兄弟の家に着けた。



挨拶もそこそこに皆で昼食をとりつつ、これからどうするかを話し合った。

近くにある水族館に行こうか、従兄弟がそう提案すると私の子供も従兄弟の子供もとても乗り気だ。

水族館は歩いて10分程度の場所にあった。

小さめだったが展示が面白く大人でも飽きずに楽しめる。

3時間程堪能し、私達は帰路に着いた。


帰り道私達の祖父母が眠る納骨堂があるので寄っていく事にする。

お参りもあまり来ていないので怒っているかもしれない。

そう冗談を言いながらお参りを済ませる。

納骨堂を出る時少し寒気を感じた。

私以外は誰もそう感じてなさそうだし、気のせいだろう。

従兄弟の家で少し休ませてもらい、また来るよと言って私達は従兄弟の家を後にした。



帰りの車中、酔い止めを飲んでいたのに10分程度で気分が悪くなる。

運転していないとこんなに酔うのか・・・。

ごめん、そう言って私は1人だけ寝させてもらう事にした。


1時間程走らせると子供達がお腹が空いたと言い出した。

いつも子供達は6時くらいにご飯を食べているのだが、もうすでに30分過ぎている。

ああそれで騒がしいのか、私は揺れる頭でぼんやりと考える。


お菓子で場を繋いでも良かったが家に着いてもご飯を食べずに眠ってしまう可能性があった。

それよりは帰りが遅くなっても途中で食べたほうがいい。

妻に子供達と食事をしてくればと提案すると、パーキングエリアも近いしそうしようかと返事があった。

車を止めると3人は食事に向かった。

情けないが私は動く事がきついほど車に酔っていたので食事は遠慮した。

戻って来るまで寝させてもらおうとシートを倒し横になる。


「早く帰ろうよ!」


うん?

誰かが私に話しかけている。

私はもう少し待って、そう返事をした。

だがおかしな事に気づいた、車の中には私しかいない。

誰だ!?

飛び起き辺りを見回すが、誰もいない。

そうか、どうやら夢を見ていたようだ。

車の前方に食事から戻って来る3人が見えている。

もしかすると子供達の声が外から聞こえたのかもしれないな。

そう結論付けて私はシートを元の位置に戻した。



妻に大丈夫?と聞かれたが体調は一向に回復していない。

回復するどころか顔が真っ青になっていると言われ、子供達からは寝てた方がいいよと言われた。

確かに顔色まで悪くなっているのなら無理して起きているよりは寝ていた方がいいだろう。

残り2時間、申し訳ないがこのまま眠らせてもらう事にした。


私が眠っていると後ろから頭を叩かれた。

目を開けると出発してから30分ほど経っている。

子供達のいたずらかな。

相手をしないから怒ったのかもしれない。

放っておけばやめるだろう。

そう判断し、気にしないよう努めた。


また頭を叩かれる。

今日はしつこいな。

また叩かれる。

黙っているのをいい事に叩くのをやめようとしない。


これは放置できない。

私にならまだいいがよそで体調を悪い人相手にいたずらするような事があってはいけない。

注意しよう、そう思って後ろを振り向く。

だがそこには眠っている子供が2人いるだけだった。



子供達は寝ている?

じゃあ私の頭を叩いたのは一体誰だ?

妻に聞こうかと横を向くが妻は運転に集中していて私が起きたのにも気づいていない。

気のせいか、頭がガンガンしているせいで叩かれたと感じたのかもしれない。

その時だった、おはようという声が耳元で響く。

瞬時に後ろを振り向くがやはり子供達は眠っている。

叩かれたのは気のせいじゃなかった。

何かがいる、車の中に私達以外の何かが。


そこからは一睡もできず緊張の糸を緩める事は無かった。

妻には知らせていない。

こういう話が大の苦手で、もし私の話が原因で事故を起こしたらと思うと黙っているしかなかった。



幸いにもこの後は何も起きず、無事に家に着く事が出来た。

着いた、そう安堵して車を降りる。

子供達を運ばないとな、そう思って後ろのドアに手を伸ばした時、耳元でまたねと聞こえた。


叫び声をグッと我慢し、平静を装う。

寒気が背中を抜けていくのを感じた。

それと同時に頭痛が止み、顔色も赤みが差してきた。

妻からは車から降りた途端に顔色が良くなるのってどんだけだよと笑われた。


もしかすると納骨堂から何かついてきたのかもしれないな。

そんな考えが頭をよぎったが決して口には出さない。

もう二度と会わないよう祈りながら私は子供達を家に運んだ。

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