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第三十話 冷蔵庫

やっぱり、冷蔵庫の中から聞こえる。

聞き間違いじゃない、これはお経を読む声だ。

俺は思い切って冷蔵庫の扉を開けた。



何故こんな事になったのか、それは3時間前にさかのぼる。

俺は無駄に徹夜をしてしまって日の出くらいからずっと眠たかった。


ふぁ~眠い、昨日は失敗したな。

夕方まで寝てたらまさか夜寝れなくなるとは。

しかも朝方になると眠くなる黄金パターン。

最悪のコンディションだ、こんな状態でライブに出ないといけないなんて。


今日のライブは昼から、とりあえず寝ないようにしないと。

ライブが始まれば眠くなる事は無いから、会場に着くまでが勝負だ。

ぐ~~~~、腹から凄い音がしている。


そう言えば昨日の夕方から何も食べてなかったな。

俺は朝飯に肉まんを食べようと冷凍庫を開けた。

・・・無い。


そうだ、一昨日全部食べたんだった。

どうしよう、冷蔵庫に何かあったかな?

あ、その前にお湯沸かそう、ラーメンとかあるかもしれないし。



働かない頭で浮かんでくる思考のまま行動に移す。

さっきから合理性何てかけらもないが少なくとも眠らずに済んでいる。

俺は電気ケトルに水を入れ、スイッチを入れた。


その間に俺は食料探し。

何かあったと思うんだけど。

冷蔵庫、の前に下駄箱見に行こう。

カップラーメン入れてたかもしれない。


あった、激辛味噌ラーメン!

何で下駄箱に入れたかは忘れたけど食べ物があって良かった。

この際激辛って部分は無視しよう。

よしこれで朝飯はどうにかなったな。


お湯を入れて待つ間暇なので出かける準備を始めた。

顔洗って、コンタクト入れてる間にラーメンできるだろ。

ちゃっちゃと顔を洗うと少しさっぱりした。

さっとコンタクトを入れ洗面所を後にする。

冷蔵庫の前を通り自分の部屋に戻ろうとした。



ブゥゥゥゥゥン



冷蔵庫を通り過ぎた時、変な音がした。

古いからな、壊れかけたのかなと思い、とりあえず無視。

今は冷蔵庫よりラーメンだ!

美味い、辛い、でも美味い、俺は夢中でラーメンを食べた。


よし、片付けて、ひげ剃って、出発だ。

このまま家に言えると寝るかもしれないからな。

空のカップ容器を台所に運ぶ。



ブゥゥゥゥゥン



やっぱり変な音してんな。

これ買い替えか?

今金ないのに、きついな・・・

俺が冷蔵庫を眺めていた時だった。



ウ~ウ~ブゥゥゥゥゥン



あ!?

今音変わった?

嘘、だって、今のは機械の音じゃなくて人n



う~うううううううううううううう



うわあ!

キモッ、なんだ今の。

ヤバイ、これ明らかにヤバイ奴だろ。



え~お~お~お~あ~う~あ~



・・・短時間で変わり過ぎだ。

しかももう完全に人の声にしか聞こえない。

俺が夜中にジュースを取りに来た時は何にもなってなかったのに。

この短い時間に何が、ああ怖い。

開けたら何かいるんか、これ。


もう冷蔵庫から目を背けられない。

着替えるにも、髭を剃るにも、家を出るのにも、冷蔵庫に背中を向けちまう。

八方ふさがり、こうなったらもう開けるしかない。

開けて何もいなければそれでいいし、何かいたら全力で走ればいい。


俺は気合を入れる。

よし、開けるぞ、開ける!!

そう思って手を伸ばす。



な~ん~お~お~え~え~



ああああああああ、また聞こえた。

これあれだ、たぶんお経だ。

南無妙法蓮華経か南無阿弥陀仏のどっちかだと思う。

もしくは似たようなお経。


せっかく開けようと思ったのに、もう無理だよ。

冷蔵庫の中かお経聞こえるとか普通じゃねーじゃん。

ええ、どうすんのこれ。

・・・1回電話入れとくか。


俺はスマホを取り出しバンド仲間に電話をかけようとロックを解除する。

その瞬間、ブゥゥゥゥゥンとスマホから音が鳴った。

ウワッ!!

嘘だろ、スマホも?


ああ、あれか、全部の家電から音が鳴りだすパターンか。

ハッ!そうはさせるか

その前に開けてやるよこの冷蔵庫!!


俺が冷蔵庫に手をかけるとまた同時にお経が鳴りだす。

ああ、ああ、もう、うるせーよ!!

聞こえてくるお経を無視して俺は勢いよく冷蔵庫を開けた。


そこにはお経を唱えるような仕掛けも妖怪もいなかった。


・・・あれ何もいない。

やっぱり気のせいか!

そうか、俺がビビり過ぎて幻聴が聞こえてきただけだな。

ああ良かった、安堵して冷蔵庫の扉を閉める。



あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ



右の耳元から急に大きな音が聞こえる。

何だ!と思ってそちらを振り向くと、そこには生首が浮いていた。



うわああああああああああ



俺が叫ぶと相手も負けじと叫び出す。



ああああああああああああ



あああああ、悲鳴を上げながら俺は気を失った。

次に気がついたのはバンド仲間が俺の家に怒鳴り込んできた時だった。

お前何してんだという声で目が覚める。

俺が生首が浮いていてお経を唱えてたんだと言っても信じてくれない。


夢だったのかとも思ったがその希望は手に持っていたスマホに打ち砕かれた。

俺が気絶する瞬間偶然撮影してしまったようだ。

ほくそ笑む生首を。

早く売れて引っ越そう、俺は固く誓った。

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