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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
悲哀っ!! 正社員激闘編っ!!

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第90話 地上に帰還っ!! うぅーん。まだ結構……。混乱中?

 

 「よっと」


 地上に帰還した。アンノウン形態は飛んだり跳ねたり。

 なんか凄い存在になったみたいで楽しいが。

 力の加減が難しく、スプーンすら持てずに握りつぶしてしまう。

 っとまぁ。

 そんな厄介な形態を続ける訳には行かないので、やる事やった後はさっさと解除する。


 やる事は。


 やった。

 

 「はぁ——————」


 思わずため息が出る。

 マリス。

 正直もう絶滅しと思っていた。それがまさか……。


 「嫌いなんだよなあいつ等。相手するの疲れるし」


 マリスは、嫌いだ。話がまったく合わない。

 本当、自分達の世界に閉じこもった。みたいな連中で。

 ともかく不気味で気持ち悪い。かつては対話を試みた事があるが。

 結局マリスという存在は。

 殺すのが正解。


 そういう結論に至り、頑張って排除した。あれから20年。もう全部倒したと思ったのに。

 まさかまだ居るなんて……。


 あーあ。これから色々と人生設計を考えていたのに、これで全部おじゃんだよ。

 今まで出来なかった事。色々やろうと思ったんだけど。


 「あ――あ――――」


 地上に戻り、降り立ったのはマリスと遭遇した例の河川敷。

 何か手がかりはないかと探しに来たのだ。


 マリスを最初見つけた場所にあった不法投棄の家電ゴミを漁る。

 電子レンジ。冷蔵庫。髭剃りなんてのもあった。

 捨てたのは男性だな。まったくこんな場所にゴミなんて。


 あれやこれやと漁っている内に、そこにある物を見つけた。

 それは、強力なバッテリーを積まれているバッテリー駆動のテレビだった。

 ここ20年で長時間駆動するバッテリーの技術は向上し。

 コンセントではなくバッテリー式で稼働するテレビも出ているらしい。


 確かウォーカーにも同じようなバッテリーが組まれているとか。

 そんなバッテリー式のテレビが転がっていて。

 

 あれ? このテレビ……。

 そこにあったテレビは電源が付いていた。

 恐らく何らかの弾みで電源ボタンが押され起動したのだろう。

 画面の端に欠けがある、動くが、恐らくこの欠けが原因で捨てられたのだろう。

 

 テレビ。テレビ……。


 「まさか……」


 テレビから出てきた?

 そんな事ある訳が。っと。

 一瞬考えた。だが……。


 テレビを使って物の出し入れをする様は。

 身に覚えもあった。


 「あのゲームの……」


 マリスの言っていた言葉を思い出す。異世界。魔法。

 その言葉、聞き覚えが無いか?

 

 異世界……。異世界、か。


 「英雄」


 そうだよな。


 「まぁ、分かってたつもりだったんだけど、でもまさかって事もあるし」

 

 現状この世界で英雄と言ったらまぁ、俺が指名されるよね。

 アンノウンの力は強大だ。その力を持ってすれば異世界を救う事など容易いだろう。


 だが、彼らは俺を直接召喚出来なかった。

 一体どんな不具合が起きたのかは分からないが、その結果ゲームのキャラが召喚され……。


 「でも結果的には良かったのかも」


 流れる川を見る。先ほどまで色々大変な事があったが。

 しかし目の前の川はまるで何事もなかったかのように、静かにゆったりと流れている。


 もし俺があちらに召喚されていたらこの光景は二度と見る事は出来なかっただろう。

 

 川。ああ。雄大な川よ。

 俺も。


 「こうやって流れて生きたかったんだけどなぁ」


 しかし現れた。

 再びの脅威。って奴。

 まさか……。


 「テレビの中から。か」


 考えたなぁ。なんて。


 「そんな事も言ってられないよねぇ」


 今までなんとなく「他人事」の気分が大きかった異世界。

 しかし事がこちらと繋がっている以上、おざなりには決して出来ないだろう。


 全ては。


 「繋がってる……。ああ、また世界を救えって言うのかい?」

 「なぁ、京子」


 流れゆく川に写る。己が変化した「妹」の姿を見る。

 自分が変化した姿ではあるが。


 「可愛いよなぁ。お前がそんなだから色々な人が狂うんだぞ」

 「男の人弄んで遊ぶのは止めなさいって。何度も言ったよな?」


 あはは。自分相手に何言ってるんだか。

 しかし、こうしてみると。


 「俺、中々イケるよな」


 付けている乳パットで弱点だった貧乳も克服だっ!!

 清楚で可憐で美しい。そんな巨乳美女がしっかり写ってるぞっ!!


 あはは。

 はぁ……。


 いつまでも女装なんてしてるんだか、みっともない。

 早く着替えないとなぁ。

 ああ、そうだ。服屋さん探しに行かないと。

 服屋さん。服屋さんかぁ。


 河川敷の壁を昇り、そこから見える街を眺める。

 そこは。


 「まだ、みんな戦ってるのかぁ」


 街から所々火の手が。爆発音なんかも聞こえてる。

 恐らく降ってきた怪獣の取りこぼしとの戦闘が続いているのだろう。


 大本は片付け、もう増援は来ない。

 残る怪獣は小ぶりばかりだ。ならば彼らに任せておいて良いかもしれない。


 良いかもしれないが……。


 「だからってじっとは出来ないよなぁ」


 そうだ。自分には力があるから。

 だから。


 その責任を果たさなくちゃ。

 

 ならば俺が今取るべき道は……。


 「変身」

 

 宣言し、体を変化させる。そうして俺は「成る」のだ。

 それが。


 アンノウン。かつて20年前、地球に飛来したマリスを絶滅させた。

 人類の。地球。


 英雄。

 それが……。


 まぁ良いや。ともかく皆を助けに行かないと。

 でもアンノウン形態で他の人達と協調して戦うって難しいんだよな。

 こっちの力が強すぎてさ。


 でもま。

 やってみせるさっ!!


 そうして俺は「アンノウン」となり、街の中心。

 未だ続く戦場へと、向かっていった。


 結局。


 こうして戦う以外の道はないのなら。

 それでも。


 それでも……。良いさ。



 

 ◇ ◇ ◇



 

 「おねえ、さん……?」




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