第9話 たなぼたっ!! たなぼたわっしょいっ!!
「たかし様、そのままの姿勢でお願いします」
「了解、おいその場を動くなよ。自動照準付きだ。撃ったら当たるからな」
目の前の女性を警戒し銃を向けるたかしくん。
神代さんは女性からIDを取り出すと何かの機械を取り出してそれをスキャンする。
「ID確認。これは……。ふむ」
「潔白は証明できた?」
女性が笑う。しかし神代さんは警戒を解かず険しい顔で彼女を睨み据える。
「危うく坊ちゃまを傷つける所でした。潔白も何も関係ありません。貴方の行動を危険です」
「いやぁごめんね。人が居るなんて。平日だし誰も居ないかと」
「今日は日曜日ですが?」
「ええぇ?」
素っ頓狂の声を出して女性が固まる。ともかく。だ。
剣。
地面にロングソードが転がっている。
これって。
これってさぁ。
「えっと、ともかく」
コホンと口に手をやり発言。
「ニートは黙ってろ。危ないぞ」
しようとしたのだが、たかしくんに止められた。
こういう場において自分の発言力は皆無なのだ。ちくしょうめっ!!
「柊智代と言ったな」
「はいはいそうですよ。巨乳美人メイドさん」
目の前の女性。智代さんが挑発するように神代さんの特徴を述べる。
美人で巨乳。そんな美点を述べられても彼女は眉一つ変えず刀を彼女に向けていた。
「そんな怒らないでぇ。えっと今日は日曜日?」
「そうです。そんな事も分からないんですか?」
「まぁ、普段は暇な役職だから……」
「しかしだからと言ってですねっ!!」
「ご、ごめんってーっ!! そんな怒らないでよっ!!」
「ともかくっ!!」
なんとか場に入っていこうと声を上げる。
たかしくんがこちらをちらりと見たが何も言わない。
一応は年長者。だから場を収めろ。
きっとそんな事を思っているのだろう。本当、たかしくんは利発な子だ。
「ともかくお互い誤解があったって事で。えっと智代さんだっけ?」
「はい。今回の事は。そのぉごめんなさい」
「うん、良いよ。でも後で勤め先に連絡は入れるね」
「ふぇええ。ですよねぇ」
言われてうな垂れる。まぁお叱りは確実だろう。
「ちょっと体が鈍ってるから自主訓練してただけなんだけど……」
「ならば持ち場でやれっ!! ここは公共の場だぞっ!!」
「そうなんだけど。最近はほら、軍縮傾向で」
「どちらせよ坊ちゃんが傷つきそうになったっ!! 言い訳など不要だっ!!」
「この事はしっかり報告するっ!! 市民を守るのは貴方の役目っ!! ならば市民を傷つけるなっ!!」
「まぁまぁ神代さん。彼女も反省してる事だし、もう良いでしょう」
「ニート親父は黙ってろっ!!」
あら言われちゃった。
「神代もう良いよ。恥ずかしい」
「あ、ぼ、坊ちゃま……」
「殊更に人を蔑むのはよせ。謝ってるだろしつこいぞ」
「す、すいません」
「ともかく、もう行こうぜ」
「そうだね結城くん。ありがとう」
「良いよ、じゃあ行こうか山菜取り」
「そうだね。じゃあ行こうか」
ここで自然に剣をバックに入れて……。
◇ ◇ ◇
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお――っ!!」
剣っ!! 剣だっ!!
ロングソードを手に入れたぞぉおおおおおお――っ!!
こん棒を手に入れようとしたのに、棚ぼたでロングソードを手に入れてしまったっ!!
俺はブラックソウルシリーズでは必ず剣を使っていたんだっ!!
正直こん棒は乗り気じゃなかったっ!!
しかしまさかこんな所で剣。いやロングソードが手に入るなんてっ!!
早速とばかりにゲームに剣を吸わせる。
どうだ? どうだ?
いやったっ!!
ゲームが剣を認識したっ!! ゲームの中にもしっかりロングソードの項目あったし当然か。
いやぁここまで長かったっ!! 武器1つ手にするのに一体どれだけ時間かかったんだってーのっ!!
装備出来る? 出来るか?
出来たっ!!
「はぁあああああああああああ――――」
思わずため息が出る。ゲームをゲームとして遊ぶ為にほぼ一月かかった。
しかしここでようやく「ゲーム」として独り立ち出来たような気がする。
まぁ自分の人生は独り立ち出来ていないが。
「ふうぅうううううううう――」
棚ぼたでこん棒より強力な……。
いやビルド次第ではこん棒も強力か。だがやっぱりこういう場合は剣が良い。
そっちのがやっぱ「らしい」じゃないかっ!!
そういう訳で片手に松明。もう片方にロングソード。
防具は……。まぁ仕方ない。
そんな訳で現状持ち得る中での最強の装備を手に入れた。
持ち主だった女性には悪いが、子供も入るような森の中で剣を振っていたんだ。
なら没収するのが筋だろう。うんうん。うふふ。
っという訳で。
「次はボス戦だなっ!!」
俺はコントローラーを握った。




